管仲 下 (文春文庫 み 19-17)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167259181

感想・レビュー・書評

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  • 管仲メインではあるけれど、管仲1人ではなし得なかったことばかり。人と人との繋がり、運命、そういったものが重なってその人の人生がある。
    上巻はつまらないと思ってしまったが、当然ながら上巻が無ければ下巻にはならない。管仲という人の偉業と、その周りの人物に納得がいくのは上巻があってこそ。

    徳を積むとは、どういうことか。本書には色々書いてあったが、少なくともハンムラビ法典の生き方ではいけないな。
    大変、勉強させられました。

  • 全2巻

  • 「倉廩(そうりん)実(み)ちて則(すなわ)ち礼節を知り、衣食足りて則ち栄辱(えいじょく)を知る」――管仲の言葉が色褪せることはない。否、時代を経るごとに輝きを増してゆくだろう。
    https://sessendo.blogspot.com/2022/03/blog-post_56.html

  • 管仲の苦節・活躍、実にみずみずしく描かれた名品である。我々日本人に比べ、中国人がいちいち前置きの話を始めて、人物にせよ政治にせよ、評価を定めようとする癖は特有だが、奇襲や神出鬼没を得意とする、倭寇のような日本人がまだ多い中、中国人のこの合理性は見るべきものがある。理屈っぽいと言って日本人の中には忌避する人が多いけれども、中国人のノリも親しむと、苦笑してしまうような近さがあり、面白い。どうも管仲の才は中国の礎を形作った大きさを持っていたらしく、笑い飛ばす類ではないが、そのへりくだった心構えは親しみを感じ、距離は近くなった。中国の世界に浸ってみるのもたまにはいい。

  • 上巻の感想に、女性の描き方が古めかしい、と書いてしまったけれど、下巻に登場する文姜の捉え方はとても現代的。男性のつくった倫理に挑戦する女性としての文姜像を、歴史から掬い上げようとする視線には作者の真摯さや誠実さを感じる。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    「管鮑の交わり」の故事で有名な管仲・鮑叔が主人公の小説
    下巻は斉の公子に傅として使えた管仲・鮑叔が斉の宰相、重臣となり、斉が覇者となるまでの物語となっている。
    上巻と比較すると歴史上の出来事をベースに物語が構成されており、要所要所の物語は読んだことのある内容だった。しかし、連続した物語として読むと別の面白さがあった。
    管仲が残した言葉に「倉廩満ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る。」があると読み、有名な「衣食足りて礼節を知る」は管仲の言葉が由来となっているのだと感心した。紀元前の時代に民生を考えた人が存在したことに感動した。
    一方で敵対する公子に使えていた管仲を宰相として推薦した鮑叔も一角の人物であると感じた。

  • 初めて著者の小説を読んだが、自分には合わないと思った。著者の作風なので全くの自分の好みじゃなかった。著者の登場人物の描き方がマクロ的というか、つまり、空の上から見ている感じに描くのでどうしても感情移入ができない。管仲という非常に魅力的なキャラクターなのだが、違う作者で描かれた小説も読んでみたい。

  • 中国の古い時代の思考や行動を知ることができ、参考になった。料理の味にうるさいものは徳が薄く、楽しみに耽るものは憂いに反る。壮年の時に怠ければ時宜を失い、老いて怠れば名声を得られない。

  • 上に同じ。上下二巻でさらっとは良くもあるが、具体的に何を行って何が良かったか見えてのないのはマイナス。とにかくすごかっただけに終わった感じ。

  • 紀元前6世紀、中国春秋時代の政治家、管仲の話。斉の名宰相として名を馳せる。実家を離れざるを得なかった若い頃の境遇や、婚約破棄で別れ別れになったつらさを経て鮑叔と出会い、お互い優れた才能を発揮していく。
    この作品は管仲の話なのだが、断然鮑叔という人物のほうがすばらしく描かれている。管仲が名宰相となれたのも、鮑叔がいたからこそ、であるとしみじみ感じた。管仲を推して自分は身を引くところも感動である。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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