三国志 第一巻 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2008年10月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784167259211

感想・レビュー・書評

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  • ゲームの動画配信を見て正史三国志に興味がわいたので、なんかないかと探したら宮城谷版があるじゃない。宮城谷歴史小説は学生時代よく読んだ、楽毅、孟嘗君、重耳が好きだった。で、本書、衰退していく後漢王朝が舞台。蒼天航路でちょっとだ出ていた曹操のおじいさん曹騰は巻末でまだ30代。先が長いなー。

  • 読む前はちょっと腰が引けていました。
    宮城谷昌光だからなー。
    史実に基づいたエピソードが、多少時系列を前後させながら淡々と書かれているんだろうなー。
    難しくなきゃいいけれど、ま、三国志だし、なんとかなるか。

    いや、もう、面白かったのなんのって、久しぶりに手を引っ張られる勢いで物語世界に引きずり込まれました。
    普通の三国志は、人心がすさみ食べる物にも事欠くような世の中で黄巾の乱が起こり、それを憂いた劉備と関羽と張飛が桃の木の下で兄弟の契りを結ぶところから始まるのですが、この本は違う。
    「四知」から始まります。

    「四知」とは「天知る。知知る、我知る、子(なんじ)知る」のことで、誰にもバレないだろうと思っても、悪事は露呈しないわけがないという意味です。
    この言葉を言った楊震(ようしん)は、後漢時代の儒者であり、請われて重臣となった人です。
    その清廉潔白の人が、陥れられ死なねばならなかったのが、後漢という時代。
    三国志と言いながら、物語はここから始まります。
    まるで、幕末を描こうと思って関ヶ原から始まった、みなもと太郎の「風雲児たち」みたいじゃありませんか。

    少し前の時代から始まることによって、時代の背景が明確になり、何年とか誰がとかの個別のことはさておき、流れがつかめるようになります。
    どういうわけか短命な帝が続いた後漢時代。(後半は毒殺じゃね?って思っているんですが、どうでしょう)
    帝が若くして亡くなるということは、皇太子が幼いということ。
    皇太子が幼いということは、後見人が力をもつということ。

    というわけで、帝の未亡人である皇太后と、その血族が力を持つ時代が続きます。
    善政を布くならそれで構わないのですが、そういう人ばかりではありません。
    自分達の好き勝手にふるまうことに歯止めが効かなくなる人が多いわけです。
    降ってわいた権力ですからね。

    そして、王朝が堕落すると、官僚も堕落します。
    自分たちだって好き勝手やっていいだろうと。

    もちろんたまには正しいことを言ったりやったりする人もいますが、そういう人はたいてい目の上のたん瘤扱いされて、最終的には追放されるか命を奪われます。
    ローマ帝国の末期みたいですね。

    そんな時、帝に子どもが生まれます。

    しかし生みの母は殺され、父に愛されることもなく、見かねた皇太后が手元に置き慈しんで育てたのが後の順帝です。
    いつ何時命を狙われるかわからない立場の皇太子ですが、大仰に警護すると却って敵を刺激することを畏れた皇太后は、幼い宦官たちで順帝の周りをガードします。
    なので、一度皇太子の座を追われた彼に帝の座を持ってきてくれた宦官たちを、順帝はとても信頼しています。
    しかしそれが、官僚対宦官、外戚対宦官の火種にもなってしまいます。

    いや、順帝の時代なんて、ほんのちょっぴりしか書かれてないんです。
    ほとんどは彼の父親安帝のころか、その前。
    で、順帝の死後の後継者争いでこの巻は幕を閉じます。

    固有名詞は難しいので、なんとなくで判断。
    時代は後漢の中盤なので、福岡県の志賀島で発見された金印のちょっと後の時代。卑弥呼より結構前。
    くらいの知識でも十分読み進めることができます。(よいこはもう少し勉強してね)

    書き忘れましたが、順帝が幼い頃から身近にいた宦官の一人が、曹操のおじいちゃんです。
    一般的な三国志ではあまり評判のよくない曹操ですが、私は曹操一押しなので、今後がめっちゃ楽しみです。
    よく考えたら、三国志って三国ができる前の話がメインなんですよね。
    なら、このアプローチもありだな。

  • これは新しい三国志だ。本当に三国志を知ろうとすれば、後漢王朝が何であったのかを知悉する必要がある。曹操の祖父、曹騰もそんな時代の人であり、混乱、衰退する王朝にあっても、王朝に尽くした楊震のような人もいたことに勇気づけられる。

  • 140809 中央図書館
    岩波文庫『演義』、吉川三国志、北方三国志を読んできた上で、ついに宮城谷三国志に挑戦。連載時もまったく近寄らなかったので、事前知識ゼロで読み出したところ、後漢のHistoryから縷々はじめられていることに驚いた。
    帝の継承、外戚勢力の扱い、皇太子選定といった営みが、王室継承プロセスの不安定さの根源となっているさまが、連綿と綴られていく。それこそがヒトと権力の歴史を語ることである。

  • 世に三国志、数あれど、最も入りづらい。その辺が爺さん受けする理由か。

  • 曹操の祖父が少年の頃なので正確にいうと後漢史であり三国志zero。大抵の三国志本は劉備三兄弟の出会いから始まるが、宮廷闘争史から始まる骨太な内容。

  •  三国志といえば、血沸き肉躍る劉備、関羽、張飛の大活躍するドラマ、と思って読み始めると大違い。著者にいわせればこうでなければならないのだそうだが、40年近く前に吉川英治版を文字通り寝る間も惜しんで一心に読みふけった身には、違和感大きすぎ。これが同じタイトルの物語なのか。
     正直、最初のうちは読みにくい。三国志の主要人物の1人曹操に至る人物列伝をはるか昔の後漢王朝時代から語っているのだが、個々のエピソードというか枝葉が多く、それにからむ人物が錯綜していて何が重要な幹なのかがわかりにくい。吉川版が簡明直截なのは、こういう前提を一切省いて、ごろついていた上記3人が誓いを立てるところからはじまるからだろう。
     しかし、辛抱して読んでいれば、主要な幹が見えてくる。まずは揚震。天知る、地知る、我知る、子知る、の四知。こういうところから説き始められるところが、単なる娯楽小説ではない。そして、曹操の祖父にあたる曹騰が登場し、暗愚な安帝と跋扈する佞臣たち、その後の済陰王擁立クーデターと場面は転換する。このあたりが第一巻の山場だろう。臥薪嘗胆勧善懲悪という感じで胸がすく思いがする。しかし皇帝が変わって国家安寧となったかというとさにあらず、またまた大悪人が現れて、というところで次へ続く。
     いつになったら関羽や張飛は現れるのだろうか(笑)。

  • 「底なし三国志沼」の入り口へようこそ。

    いつまでたっても曹操も劉備もでてきません。

    しかし、それでいいのです。

    外戚・宦官。光武帝の子孫は翻弄されつつ皇帝の座は形骸化して行き、積み重なった側近の私欲の結果、天下にようやく乱がおとずれます。
    吉川三国志では空気同然の人(コーホスウ?何の人だっけ?)も元は天下に名を知られた奇跡の将軍であり、ひどキャラ董卓もそもそも虐げられてきた異民族出身者が皇帝を崇拝するわけないっての、と納得でき、その他、今までより一段深く三国志を読むことができます。

    文庫がまだ途中までしか発刊されてないんだー
    もう忘れてしまうがね次が出たころには。

  • 感想というより覚書

    ・1巻が終了してまだ後漢が滅びてない。
     まだ曹操のおじいちゃんが30歳くらい。

    ・登場人物多過ぎ!!
     ノートにまとめながら読んでますが、後漢帝室だけでも1ページ埋まりました。



    ・曹操のひいおじいさんは曹萌。

  • 確かな読みごたえのある一冊。

    物語としての三国志を一通り楽しんだ方向けかも。

  • 多くの作家が手がけている三国志。当然、全体の流れやら史実やらは判っているわけで、それをどう表現するか、どこに切り口を入れるかで、読みやすさや興味の視点が変わるものだと思う。
    この著者の書き方はというと、三国志初心者には少し辛い。何故なら、分かり易い、誰でも知っているようなところから始まらない。第一巻もしばらく読み進めて、1/3ほどきたところでようやく「曹操」の名前が出る。しかも、名前だけで本人の登場まではまだしばしかかる。というのも、後漢の終焉の部分から書き始めているからだ。外戚の内憂、外患……けして単純な理由で崩壊していったわけではないことが、淡々と綴られている。誰もが思い浮かべる三国志の舞台に入る前に知っておくべき歴史の流れなのかもしれないが、英雄譚的な三国志演義を想像して本書を手に取ると、まぁ、十ページも進まないだろう。
    しかし、著者の漢字の使い方や語彙の豊富さには感嘆する。文章が美しいと私は思う。俯瞰的な視点で説明、或いは蘊蓄の多い文章にも関わらず、きちんと物語に集約されていく。

    第一巻は曹操の祖父にあたる曹トウが出てくるので、漫画:蒼天航路を読んでおくと取っ付きやすくなる、かもしれない。

  • 7巻終了。次巻が出るまで期間が空くので、最初の方は複数回読んだ。
    宮城谷氏の作品のうち、創作キャラメインではなく史実の小説で、どちらかといえばこちらの方が好きだ。
    1,2巻は三国志というよりは後漢末期を舞台にした宮城谷作品ととらえると他の作品同様非常に楽しむことができる。
    名の知れた登場人物でさえも、あまり名前を知らなかったこれまでの登場人物と同じ調子で描かれ、文体に溶け込んでいるのが新鮮だった。英雄も悪役も凡人も、それぞれの人物の人間性を探り、行動を理解しようとしているのが印象的だった。
    私は曹操が好きだが、宮城谷氏の捉える劉備が何故か途中から魅力的に思われてきた。劉備に魅力を感じたのは初めてだ。劉備の行動の元になる思想の解説が興味深く、妙に納得してしまう。劉備はいったい何者なんだろう。一人別次元の思考をしているようだ。

    • pbookbirdさん
      確かに。劉備の描き方が違うんだよなー
      どの面下げて生きてるの君?というような
      しかし、「生」が感じられるような
      「覇者としてしか生きて...
      確かに。劉備の描き方が違うんだよなー
      どの面下げて生きてるの君?というような
      しかし、「生」が感じられるような
      「覇者としてしか生きてけない」というような
      2011/12/08
  • みんながよく知ってる三国志の前段のお話。三国志に触れたばかりの方は、この巻ではほとんど知ってる人は出てこないと思います。三国志に突入する前に、こんな歴史があるんだなって勉強になるけど、諦めちゃう人は諦めちゃうかも。個人的には楽しく読めました。
    済陰王が順帝になるまでにした孫程の頑張りとかも個人的には好きなエピソード。曹嵩は曹騰の養子で、しかも夏侯家から引き取ったとか、インドでおこった仏教が中国に伝わった時の元号から、日本の永平寺の名前の由来が来てるとか、なるほどと思うこともたくさん。続きが楽しみです。

  • 黄巾の乱までの過程にこれほどのドラマがあるとは知らなかった。面白い。

  • 想像していた三国志と全く違う。前半は難解で、なかなか進まなかった。後半一気に面白くなり、やっぱり宮城谷先生さすが!
    一巻では曹操のおじいさんが出てきます。それ以外の人物はほぼ知りませんでした笑。
    安帝の乳母は別の本で読んだことがある。

  • 初めての三国志。
    ゲームやドラマ、マンガでは見たことはあれど、読み物としてはこれが初。(うろ覚えの吉川三国志は不参入)
    まさかの曹騰から始まる物語と宮城谷さんの細やかな解説に、今まで軽くしか理解していなかった王朝事情が身近なものに感じられ瞬く間に読み終えられる。
    四知、から始まる書き出しも大変印象的。

  • 一般に三国志の小説や漫画は黄巾の乱からはじまる事が多いですが、この作品はそれより前の外戚や宦官などによる宮廷内の陰謀が中心に描かれている。
    これから本格的に三国志の群雄が登場してくると思うので楽しみ。
    長い作品なので一気に読むことはできないですが少しずつ読んでいきます。

  • 「三国志演義」には何かが隠蔽されている、という作者の言そのままを感じたが故に手を出してみたけれども後漢時代はやっぱり難しい。これから面白くなると思っている。

  • 四知を唱えた楊震。三國志という題名だが、第一巻は後漢覇権争いに纏わる物語に終始する。今まで親しみのあった吉川英治の小説や横山光輝コミックスの三國志が三国志演義ベースなのに対して、主に世の中が三国時代に向かうまでの後漢の政治の腐敗による混迷を史実に基づき書かれている。Bethesdaのfallout風に言わせると、歴史は繰り返すに終始している巻。馴染みのある人物は曹操の祖父(しかも宦官)が描かれているが、演義でまばゆい光を輝かせる劉備、曹操、孫堅などの登場はまだまだ先のようです。

  • いつもの三国志だと思い ったら、全然ちゃう。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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