三国志 第九巻 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2013年10月10日発売)
3.80
  • (12)
  • (33)
  • (22)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 301
感想 : 17
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784167259303

作品紹介・あらすじ

敗因をつくった部下を処刑する諸葛孔明

「出師の表」を書き魏討伐の軍を発した孔明。しかし馬謖の失敗で惨敗、孔明は目をかけていた馬謖を誅す。激動の第9巻!

みんなの感想まとめ

物語は、諸葛孔明が魏討伐のために出発するも、部下の馬謖の失敗によって惨敗を喫し、彼を処罰するという厳しい決断を下す様子を描いています。著者の描写は非常に緻密で、戦の雰囲気やキャラクターの内面が巧みに表...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 一押しの曹操亡き後の三国志なんぞ…と思っていましたが、やっぱり面白い。楽しい。
    圧倒的に非凡な人材というのはもうどこにもいないので、あっちもこっちもいろいろと停滞していますが、そこに人間が表れると言いましょうか、ドラマですなあ。

    曹丕について思うところは次回に、と八巻の感想で書きましたが、特にこれといって功績も残さずさっくりと病死してしまいました。
    大失態はしませんでしたが、全てにおいて能力不足を露呈した曹丕。
    いや、能力が足りないだけならしょうがない。
    でも、努力をしない。
    しかも情に薄くて礼を失し、徳も持ち合わせていない。

    諫言はことごとく退けるので、曹操が恃みにしていた重臣たちもあっけなく左遷されたり処刑されたり。
    そして自分のやりたいことばかりを優先させる(前線に赴く)ので、大軍を率いて呉の征伐に向かった割には成果を得ることもなく…。
    一体君は偉大な父さんのそばで何を見ておったのか!
    これじゃあ魏も長くは持たないはずよのう。

    と思ったら、後を継いだ曹叡(曹丕の息子)がなかなか良い子で、諫言は進んで受け入れる。
    やりたいことよりやるべきことを、わきまえる。
    内政も、軍事も、適材適所で任せることができる。
    じゃじゃじゃあ、何で司馬懿は?って思ったら、最後の最後で予兆が現れた。
    建造好きで、戦で疲弊していようが、農家の繁忙期であろうが、造営のための人手が優先される。
    うーむむ。
    ここは諫言を聴かなかったらしいぞ。
    28歳、謙虚が大事なお年頃なのに。

    さて、曹操には行政手腕を買われていた司馬懿だけど、本当は軍を動かしたかった。
    曹叡の代になって、曹操時代の優秀な将軍たちも年を取り、世代交代の機に乗じて蜀に対峙する軍を率いることになった。

    蜀は、本当に諸葛亮しか人材がないのね。
    で、彼は兵法は知っているけど戦場を知らない。
    彼は大軍を率いては、大した成果も得られずに蜀に帰っていくしかない。
    しかし正直にそんな事を言うと国の士気にかかわるので、小さな勝利を大手柄に、諸葛亮の作戦ミスを馬謖のせいに。

    とはいえ、遠征を重ねるごとに戦というものを理解した諸葛亮と、彼を侮る司馬懿。
    長期間忍耐強く向かい合い、腹を探り合い、結果ようやく蜀の勝利。
    二人とも、軍師としての成長途中。
    有名なあれはもう少し先ですな。

    そしてついに孫権が皇帝に。
    後漢の皇帝から禅譲された魏の皇帝。
    劉家以外の皇帝はならぬという正論(劉家の正論だよね)を基に立った蜀の皇帝。
    しかし、呉には何一つ皇帝に立つ正当性はないのだよね。
    ただ今後の三国のバランスを考えて、今立っておいた方がよかろうという…。

    結局後漢王朝のことを最後まで考えていたのは曹操だけなんだよね。
    その曹操がなぜ皇帝に親政をさせなかったのかというと、やっぱり献帝に問題があったんじゃないかなあ。
    政治的・軍事的能力の欠如というよりも、世間に対する視野の狭さというか。
    保身のためなら愛妻をもサッサと切り捨てる非情さとか。
    だけど劉備もそうだったし、当時はそれはさほど問題じゃなかったのかなあ。
    曹操が宦官の家ので出なければ、後漢王朝はまだしばらく続いたんではないかしら。

  • 多くの作家が三国志という壮大な歴史的ストーリーを描いてきましたが、著者のそれは一番難しかったです。
    ただ、三国志のコアファンの一人として、読み応えは抜群でしたし、細かな描写から戦の雰囲気まで、かなり楽しませてもらいました。
    三国志初心者の方にはオススメ出来ないと思ってしまったのは、一巻は主要な登場人物が現れないし(曹操の祖父の話など)、桃園の誓いもなければ、赤壁の戦いにおける劉備軍の活躍もないです。
    なので、初心者の方はシンプルに横山光輝の漫画をオススメします 笑

  • それなりに面白かったのだが…… 筆致と言うべきなのか文体と言うべきなのか、が統一されていない気がしてならなかった。宮城谷昌光はもう老齢なので多作を維持するために、お弟子さんなど複数で執筆している気がしてならない。そのため、これまでの宮城谷作品らしく思われない描写がある。魏を高く評価するため、諸葛亮及び孫権(呉)を貶めて描写するのは気にいらなかった。

  • 曹丕って在位期間七年だったんだ……
    進軍が遅い、諫言を聞き入れないなど思いがけずパッとしないけど後継者選びを誤らないあたり。
    父親の明朗さと比べてこう暗すぎないか。

    諸葛亮に対して辛い。
    馬謖を見誤る、馬謖を処断する決断が早すぎる、魏延、用兵が袁紹並み……
    趙雲への情緒はなんだ。

    曹叡の有能さ、諫言を聞き入れる器の広さ。
    曹丕や孫権とは大違いだね!
    曹操人材バンクの恩恵がまだまだある、賢臣の多さと有能な君主のタッグは強い。
    と思いつつ悪癖が出てきたので喜べない。

    魏延を冷遇する諸葛亮、張コウを疎んじる司馬懿、似た者同士じゃん。

    赤壁での孫権の成功体験が根深い。
    土盛り合戦は正直なにやってんの感あるが。

    国境をつつきあっているだけともとれるがこの手詰まり感も楽しい。

  • 老将「超雲」の強く、美しく、そして、どこか哀しい戦いぶり。
    老境に至った彼の心に、劉備との出会い、関羽の生き様がよぎります。
    三国志中、最高の英傑は曹操であるとしても(たぶん、そう。宮城谷さんの三国志では、間違いなく、そう)、それの逆を行く劉備がいるからこそ、この物語が単純な英雄譚に終わらず、それぞれに命の輝きを感じるものになるのでしょう。

    この巻は、人間「諸葛孔明」の巻です。

  • 第9巻の主人公は諸葛亮。

    作者はこの人気キャラに厳しく、「天才軍師」の幻想を打ち払う。

    「諸葛亮には天才的な軍師が必要であった」の一文を見て、笑うしかなかった。

  • ※2015年に続き2回目の読了。
    かれこれ2年も三国志を読んでいなかった。。。

    【作品紹介】
    後世に名高い「出師の表」を書き、孔明は魏を征伐すべく軍を発する。しかし先鋒を任せた馬謖は兵法には精通しているが実戦経験に乏しく、惨敗を喫す。未だ成熟をみない国の法を重んじ、涙を流しながら馬謖を誅す孔明。一方、尊号を王から皇帝に改めた孫権は、早期の天下平定を目指し遼東の公孫淵と手を結ぼうと使者を送るが…。

    【感想】
    独自の視点と冷静な人物判断。宮城谷三国志が一番正史に近いのではないかと思えてくる。
    完結まであと3巻。ゆっくりと楽しもう。

  • 通常、帝国の興廃は二代目・三代目にあるといってもよい。一生をかけて戦場を駆け巡った曹操・劉備の後を、魏は曹丕と曹叡が、蜀は劉禅が継承する。そして、皇帝の器量は、最早本人の武将的才覚というより、優秀な臣下を集め、働かせるかにある。

    魏の二代目曹丕に対する評価はいま一つだが、鍾繇、陳羣、華歆、そして司馬懿といった多士済々に支えられているのが魏の強さ。この時代、魏は軍事的拡張を遂げた訳ではないが、内政的には充実していったのだろうと推測できる。国を支えるのはそのような臣たちなのだ、という陳寿の心の叫びが聞こえてきそうだ。

    一方、呉と蜀には人がいない。呉は周瑜・魯粛の時代に大きな成功を収めて以降、長い停滞期が続く。蜀には孔明がいるが、逆に言えば孔明しかいない。ただでさえ国を支える人材が乏しい辺境にあって、人を育てることができないのが劉禅-孔明体制の弱点である。三国志演義が「出師の表」あたりから悲観調を強めるのは、さすがに史実を無視できないからだろう。

  • 【敗因をつくった部下を処刑する諸葛孔明】「出師の表」を書き魏討伐の軍を発した孔明。しかし馬謖の失敗で惨敗、孔明は目をかけていた馬謖を誅す。激動の第9巻!

  • 神格漂う孔明を常識軍人諸葛亮と描写しており正史に忠実である。

  • 今回は、第一次北伐から まで。
    宮城谷さんは、孔明を真正面から鋭く抉っていきます。
    少し酷評かなとも思わないでもありませんが、作者の
    これまでの作品の主人公と比べると確かに劣るかもです。

    ですが、そういった、巷の「三国志」とは違う観点が
    宮城谷三国志の醍醐味です。

    今回の白眉は、残念ながら、なし

  • もう前巻までの話を忘れちゃったよ。
    劉備亡き後の蜀と魏の争いから、燕の公孫淵の自立に向かう話まで。
    諸葛亮の軍略のまずさなど、従来の三国志にはない具体的な書き方。相変わらず本当に細かいマイナーな人までフィーチャーしている。

  • 街亭の戦い。「泣いて馬謖を斬る」がどんな風に描かれるのかと思いきや、これが全くさっぱり。笑って敵兵の作業を蔑視しているうちに勝機を逃してしまった。理論だけ口先だけで実戦経験がなかったということ。諸葛亮にしても内政には破綻がなかったが、軍事においては全くの常識人。演技のような虚を実として実を虚とする玄妙な用兵は全然なかった。用兵と戦略が漸く地に足がついたのは武都と陰平の攻略あたり。これが実相。諸葛亮に抱いていた思いが急速に自分の中で醒めていくのを禁じえなかった。

  • 魏は曹叡の時代へ。そして、呉は孫権が皇帝を称し、魏の曹叡、蜀の劉禅とと天下に三帝が存在することに。
    蜀は諸葛亮が出師の表により北伐を開始するが拙い戦いで、、、

  • 諸葛亮へのダメだしがすごいです…そしてもう死んだのに相変わらずの曹操推し…面白いです。

全15件中 1 - 15件を表示

著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮城谷昌光の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×