時雨の記 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1998年7月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167273040

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

プラトニックな大人の恋愛を描いたこの作品は、安易な性描写に頼らず、深い感情を繊細に表現しています。美しい文章が特徴で、特に「、」の多用が独特のリズムを生み出し、読みやすさを感じさせます。恋愛の理不尽さ...

感想・レビュー・書評

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  • 「時雨の記」中里恒子著、文春文庫、1998.07.10
    286p ¥460 C0193 (2024.12.29読了)(2002.01.26購入)(1998.10.25/4刷)

    【目次】
    『時雨の記』によせて
     見事な捨身  河上徹太郎
     或る高度の愉しさ  宇野千代
     恋を描き得た小説  江藤淳
    解説  古屋健三
    中里恒子案内
     中里恒子・人と作品  阿部昭
     中里恒子年譜

    ☆関連図書(既読)
    「浮雲」林芙美子著、新潮文庫、1953.04.05
    「風の盆恋歌」高橋治著、新潮文庫、1987.08.25
    (「BOOK」データベースより)
    知人の華燭の典で、二十年ぶりに再会した実業家と、夫と死別して一人けなげに生きる女性。人生の道のなかばで、生涯に一度の至純の愛にめぐり逢った二人を描き、人の幸せとは?人を愛するよろこびとは?を問う香り高い長篇小説。作品解説のほか、雅びな恋愛小説を遺した中里恒子の作家案内と自筆年譜付き。

  • 恋愛小説といえば、安易な性描写が多い中で、プラトニックな大人の恋愛が、新鮮に思えた。

  • 映画化された原作ということで購入
    附箋
    ・不足を知って暮すことに、安住しておりました
    ・生きたのです。もう壬生と、充分生きたのです。時間は問題ではありませんでした。
    ・楽士がスペインの誕生日の曲をひいていた どんな曲?
    ・二尊院の木陰の中の道しるべの囲みの中に、時雨亭の跡という立札が立っている
    ・「時雨だわ、さあっと来て、さあっと過ぎるわ、」
    ・多江は、車の方に向って駆け出した。多江と自分との肉体の違いを感じた。(松岡くんも同じようなこと言っていたわ)
    ・また殺し文句、顔はなってなくても、心意気なんて言われれば、たいがい降伏するわ
    ・死に目に会えたのは、多江ひとりなのです。壬生が最後に見たのは、多江の顔だけでした。
    ・ひとを待つ気持のなくなった寂しさも、たとえて言えば、いっときの時雨のようなものでありましょうか。

  • 目次
    ・時雨の記
    『時雨の記』によせて
    ・見事な捨身 河上徹太郎
    ・或る高度の愉しさ 宇野千代
    ・恋を描き得た小説 江藤淳
    中里恒子 案内
    ・中里恒子・人と作品 阿部昭
    ・中里恒子年譜

    二十年ぶりに再会した熟年の二人。
    実業家の男性と夫と死別して一人で生きる女性。
    なんか渡辺淳一臭がプンプンしていそうじゃないですか?

    しかし全然違います。
    二十年ぶりに再会したといっても、男・壬生の方は覚えていても、女・多江の方は「以前会ったことがありましたか?」とにべもない。
    めげずに多江に接近する壬生。

    あのね、この二人最後までプラトニックなのよ。
    純情ぶっているわけではない。
    互いを大切に思うから、無理強いはしない。
    気持ちが追いつくのを待つゆとり。

    どのシーンを切り取っても、絵になる。
    光と影、涼やかな風や、しんとした空気、しっとりとした湿度。
    饒舌じゃないのに、情景がきちんと立ち上がる。

    吉永小百合が、この作品を読んで映画化を強く望み、大手の映画制作会社にお願いしたけど叶わず、ノーギャラと多数のトークショーを行う条件で製作したのだそうだ。
    うん。いかにも吉永小百合が好きそう。
    たおやかで、凛として強い女性。

    明治生まれの作家の書いた作品とは思えないくらい、瑞々しい作品。
    そしてこの作者、女性初の直木賞受賞者なんですって。
    いや~、久しぶりに文学読んだ気がするわ~。

  • 藤田千恵子「愛は下克上」つながりで。ただ、自分にはあわなかった。壬生のまっすぐな(にみえる)思いに対し、多江は高潔だ。それをことさら際立たせるために、壬生の妻をことさら悪妻に造形してやしないか。「気に入らないおくさん、何故貰ったの、お皿一枚だって、あれだけ吟味なさるのに」という多江の問いに、なんでもよかったが、聡明な母とうまくやってもらうのにすこし頭の悪い女のほうがいいと思った、という壬生に、なんともいえない違和感。時雨のように、壬生がさっと通りすぎていってしまっても、多江の肩に、濡れた露がしっとりと残っていることは、疑いようもないことでした、という感慨はわかるのだけれども。

  • 吉永小百合さんと渡哲也さんの映画を見て、原作も読んで見たくなり手を取りました。二人の逢瀬は純粋に楽しそうでしたし、最期の場面は切なかったです。

  • いま検索したら吉永小百合で映画化された名作のようなのだが、昔のお妾さんの美徳というか、そういうのを描いたような作品。最初は、まったりした男女恋愛ものかと思ったけど、まあ文体も読みやすいとは言えず、テーマも今ひとつだったな。

  • 「凛として個」
    知らなかった、40年ちかくも前にベストセラーになっていたこの本!

    でもね、そのころ読んでいたとしても今ほど共感したかどうかね?
    つまり中里さんが、今のわたしの年齢でお書きになったからなのではないのかな。

    おいらくの恋、とひとくちに言ってもさまざま。
    なまなましいのやら、枯淡のやら。

    でもこの小説の年齢設定は40代女性と50代の男性。
    そこにわたしはうーむと思う。

    プラトニックなのだ。
    なのだけれども、しかるべくしてプラトニックなのではないところにいろけがある。

    なぜ60代も後半に書いた作者が作品の年齢を若くしたか?
    いまでは実年齢が年より若くなったという、うがったことではないと思う。
    (少々ややこしい言いかただが)

    いろけがあるけれどもこの小説の神髄はちがうところにある。
    そこがシンクロする。

    精神の奥底で恋愛するには、「個」の魅力を輝き出しあっていなければならない。
    個の魅力には年齢がない。

    でも、いろけがなければ恋愛はなりたたない。

    この小説の魅力は中里恒子の凛とした個性のたまものだ。

  • 今まで読んだことのない作風だったけど、わりと好き。
    50過ぎの会社社長(壬生)と未亡人の女性(多江)との恋愛、壬生にとっては不倫になるのかもしれないけど、二人の気持ちが純粋でプラトニックなのでいやらしさもなく、なんとも微笑ましい関係。壬生が少年のように自分の気持ちに正直にぐいぐいいき、多江が最初はとまどいつつ徐々に暖かく受け止めていく。二人の関係が粋で、このまま二人で静かに楽しく暮らさせてあげたいなぁと思う。
    結末はハッピーエンドというわけにはいかないけど、多江には暖かいものが残ったのではないかと。

  • 中年期の恋のお話。あくまでプラトニックな関係を貫いていて、女も毅然としているので、いやらしさがなくて、さらっと読める。感情移入をするようなお話じゃなかったけど、面白くてスラスラ読めた。
    「瑠璃無地のずん銅の口の締まった瓶は古伊万里であったから、わたしは、それに小さな花一輪を短く入れたその強い美に首をかしげてしまった。教えてできることではない。金で買える美ではない。こりゃあ、ただの女じゃないな、気に入った···」
    こんな風に自分のセンスを分かってくれる感性があり、なおかつ、超強引で、頼もしい男。いますか?!五郎丸歩が、茶道にも精通している、みたいなことでしょう。

  • 「じゃ、帰る、」
    「帰るとき、いやだわ、」
    「居据わろうか、どうする、」
    多江は、笑っているような、愁い顔で、車のところまで送って来た。
    2015/02/12-02/21

    2023/11/01-11/07

  • とても切ない恋愛小説。

  • いい歳して恋に狂う二人。その距離感がオトナというか、禁欲的。私小説として読むと壮大なノロケ話に感じてしまったけど、人生の残り時間を感じながらの恋の深みなんて…もっと歳とって読めってことでしょう、きっと。

  • 書体が古いので、物語に入り込むまではちょっと読みにくかった。
    武者小路実篤の「愛と死」を彷彿とするなと思いながら読み進んだ。
    二人の想いがとても美しく、生き生きと描かれている。
    読後感は哀しいような、なにかひたひたと迫ってくるものがあるような。
    そして何よりも豊かな情感。

  • 同年代の話のはずなのに、こんなしっとりした様子は、今の私にはないなあ、と思いつつ、淡々と読んでいたのだけれど、結末にしんみり。人を愛するって、確かにこういうことなのかも。

  • 40代の侘び住まいの未亡人多江と勤務先の関係の葬式で出会ってから20数年ぶりに親族の結婚式で再会した50代の男で会社社長の壬生は、次の日にはもういきなり多恵に会いにやってくる。それを自然体で受け入れる多恵。壬生の家庭は冷え切っており、多恵と会話するだけで心と言葉を取り戻す。この2人の関係はプラトニックで精神的な友愛と恋情で満ち溢れていて、会話の端々にもそれが見て取れる。心臓を病む壬生は最期は多恵の家で以前から願っていたとおりの死を迎える。しっとりとして、時雨がさあっとふった後の様なこれは大人の恋愛小説。

  • 中年を迎えた男女の恋愛小説。
    年を重ねているなりの知識と生き方は爽やか。
    引き算という言葉が合うような。
    でも、社長という役柄はちとズルい。そこも引き算してみておくか。

  • 2010年7月9日(金)、読了。

  • これは不倫ではなく大人の純愛小説だと思う。
    しっとり時雨の降りしきる雨のシーンがきれいでした。

  • 1988
    1997

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