- Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167275969
感想・レビュー・書評
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これは凄い!洞窟探検物では最高傑作のひとつではないではないでしょうか。
日本人を含む混成チームが考古学調査のためにユーゴスラビアの洞窟に調査にいくのですが、地震より閉じ込められてしまいます。
そこからの大脱出という直球勝負。枝道に迷い込む恐怖はあまり描かれていませんが、洞窟の構造、水没域突破、虫の大群、危険ガス域など洞窟の危険を余すことなく(!?)描いて息苦しさ満点。極限状態のチームは徐々に原始の部族のように力の理論による編成となっていくなど、闇の中で蝕まれていく精神のほかにも人間の薄皮をめくっていく要素多数。ここまでめくられると自分には何が残るのだろう。
古書でしか入手できないのが惜しまれます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
長い長い冒険でした。
暗闇・閉塞感…尋常じゃないです。
毒虫が出てきた時はさすがに「えー、『海の底』じゃあるまいし〜」と思いましたが、思えば1番エグい場面でした。
日本人地質学者が非常に好意的に書かれていて、なんかこそばゆいのですが、嬉しかった♪
究極の状況に追い込まれ、登場人物それぞれの心理描写はいちいち尤もで、シンパシー感じてしまいました
。太古のシーンがフラッシュバックする、そんな経験もアリですよ。
とにかく皆さんお疲れ様でしたという気分。
洞窟小説、すっかりハマっております(^^;; -
単調になりそうな話を、人間ドラマを織り込みながら最後まで一気に読ませてくれました。冒険小説は年に数冊は読みたい。でもね、閉所恐怖症には辛い読書です。
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淀みなくストレート。冒険小説の神髄をみせる一気読みの傑作。派手な活劇を排し、培われた経験と研ぎ澄まされた直感、結実する智恵の連鎖によって、数多の窮地を脱し、ひたすらに生還を目指す者たちの冒険行を活写する。ハイド1986年発表。今だに冒険小説ファンに読み継がれている名作でもある。
ユーゴスラヴィア・カルスト台地の大洞窟。遥か4万年前に描かれたネアンデルタール人の壁画発見により、国際調査団が派遣される。だが調査中に発生した地震のために洞窟が倒壊し、著名な考古学者や助手らが閉じ込められる。漆黒の闇の中、微かな灯火を頼りに地底から抜け出す穴を探り、肉体を極限まで酷使するケイビングで活路を開く。揺らぐ理性と野性の狭間、眼前を力強く照らす根源的生存本能の命ずるまま、歩み続け、光を求め続ける。
物語には、隠された陰謀も邪悪な裏切りも強大な敵も存在しない。地獄巡りの先に待ち受けるものとは、土砂流、水没洞、大瀑布、毒虫など、未曽有の恐怖と行く手を阻む障壁のみ。閉所と闇、欠乏と餓えに挫かれていく希望。極限的状況下で脱落する者、狂気へと墜ちゆく者。次々と人命が奪われていく中で、いつ果てるともしれない死闘を繰り広げる。
未知の世界が拡がる大洞窟で展開する究極のサバイバルが本作最大の魅力だが、予測不能の困難に協力して立ち向かう人間ドラマとしても充分読み応えがある。中でも、ストーリーが進むにつれて中心人物として一行を率いることとなる日本人の地質学者・原田以蔵の造形が素晴らしく、ハンス=オットー・マイスナーの傑作「アラスカ戦線」に登場した軍人・日高を彷彿とさせる。日本人に対するエスプリ的な理想化がやや過剰な面もあるが、時に太古の人間と呼応し死地を脱するエピソードは本作に深みと安らぎをもたらし、中盤からの主軸として動いていく。
終盤に向かうほど息苦しさは増す。そして、全てを越えた先で僅かな生存者と共に味わう光の美しさ。恐らくハイドはこのクライマックス・シーンを描きたいがために本作を著したのではないだろうか。 -
汗の存在を感じ取るために、東洋のパワーに頼ったのか、日本人が活躍するのだが、メンバーの死に方が酷くて、爽やかな読後感とまではいかない。
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閉所恐怖症の人は絶対読んではいけません。
息苦しくなるほど狭くて暗いけどこんな冒険小説、大好き。