父の詫び状 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 123
  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167277017

感想・レビュー・書評

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  • はじめての向田邦子です。

    この歳になってようやく向き合い、じっくり読ませていただきました。

    とにかくとっても文章が「綺麗」です。
    それから構成が絶妙。

    この本に出会ってはじめて、これからというときに
    逝ってしまったことも知りました。

    沢木耕太郎さんの解説ならびに、引用していた「ねずみ花火」が、私にも印象的です。

  • すごい。読み進むうち、目の前に、昭和の生活が生き生きと再現され、路地裏の音が、生活の匂いが、さては、戦時中の光景までが、浮かんでくるようです。まさに生活の昭和史と言っていいのでしょう。
    昔のことなんですが、読んでいて、全然違和感なく、引き込まれていくのは、いかに向田邦子氏が、すごい作家であったことの証なんでしょう。

  • 幾つかの違う記憶がタイトルに収束され、最後の数行で一つの作品として立ちあがる様が、ホントに素晴らしい。記憶にどっぷりと浸かりたくなる。自分自身の忘れているささやかな記憶を、なんとか思い出して愛でたくなる。

  • 庶民の日常史の一つというところでしょうか?正直に言って現実感が持てないのですが、時代は大きく変わっているということの証かと。それこそこんなの今だったらニュースになりそうな話もあるけれども(まぁニュースになること自体おかしいというレベルの話もありますけれども)。
    それにしてもどのエッセイにも死の影が漂うのは意図したものなのか、はたまたこの作家の個性なのか、判断しかねるところですが、凄みは間違いなくあります。簡単に読める読み物ではなく、ゆっくり味わい、余韻に浸るエッセイかと思われ。

  • 著者の人生を振り返っての、些細なそれでいて多彩な出来事が綴られていきます。
    本当にその多彩さには驚く。
    著者の記憶力と表現力、感受性の豊かさには感嘆するばかりです。

    そして、これは明らかに家族の幸福な思い出を綴ったものでもある。
    関川夏央がこのエッセイ集をモチーフの一番手として「家族の昭和」を書こうとしたことに深く共感することができます。

    数ある魅力的なエピソードの中で個人的にもっとも印象的だったのは「お辞儀」。
    年老いて心臓を病み入院した母を姉弟4人が見舞いに訪れた見送り際、エレベーターの扉が閉まる向こうで深々とお辞儀をする母。
    その姿を笑いながら涙ぐむ姉弟たち。
    家族の深い深い絆を感じないわけにはいきません。

    向田家の父は貧しい出自から叩き上げで大保険会社の支店長を務めるまでになった人物。
    向田家はけっして金持ちではないが貧乏でもない。
    父の厳格さ横暴ぶりには苦労させられるが、けっしてギスギスした雰囲気の家庭ではない。
    そういう家庭環境の中で著者の魅力的なパーソナリティが育まれたことは想像するに難くありません。

    著者は自身を評して「行き遅れ」「甲斐性なし」「オールドミス」「テレビのシナリオ書きなどというやくざな商売」などと卑下する言葉が連発されます。
    また、鼻が低くて丸いことなどを取り上げ、器量もいまいちだと云う。
    しかも食べ物の大きい小さいがついつい気になってしまうような貧乏臭さが抜けないことなども書き連ねます。
    その一方で、少女時代から勘が鋭く目立つ子供であり、この時代の女性としてはかなりアクティブであったとも思われ、また、その器量(写真をみれば本人の卑下に反して明らかに美人である)と利発さから特に年上の大人の男性から好意をもたれることが多かったことをほのめかすようなエピソードも散見されるなど、その庶民性と才女ぶりという両面を持ち合わせていることが、著者の魅力なのだと思う。

    この本には、飛行機事故を心配する場面が2か所も出てくる。
    一か所は母と妹が海外旅行に旅立つ飛行機を見送りながら「どうか落ちませんように」と祈る場面。
    もう一か所は著者自身が友人とペルーに旅行し、アマゾン行きの飛行機に乗る場面。
    飛行機事故に遭う可能性が限りなく低いことは広く知られていることなのにもかかわらず、このような場面を描いていた著者が、これを書いた数年後に飛行機事故で生涯を閉じることになった皮肉。
    著者の勘の鋭さがこんなところにも不幸にして現れてしまったのかも…などと今となってはふと考えてしまいます。

  • 2017.2.1

  • さすが、お見事、と思ったら、コレエッセイとしては初モノ?ドラマの脚本ではなくての書き物として。
    すごく気分良く読めて嬉しい。

    解説の人の言うこともよくわかる。
    飛行機のことが出てくるとドキッとしてしまうけれそ、書いているときはまさか自分がそんなことになるとは、もちろん想像もしていなかっただろうし、生きていてくれていたら、あれからどんなにまたたくさんの面白い作品を私たちにくれていたんだろうと思うと、返す返すも悔しい。

    また向田邦子は読みたい。

    日本語学校バザー ¢10

  • 星3.6

  • なんとなく、有名っぽいので読んでみた
    向田邦子さんって人は何した人かも知らず
    解説よんでびっくりした
    けっこう面白くて、それなりに共感したり、なんか向田さんという人のことをちょっとわかってる感覚で読んでたから、(けっこう前だけど><)突然死んじゃったって知ってびっくりした・・

    戦時中のこととか、不条理なお父さんのこととか
    おもしろかった。

  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“文壇レシピ”で登場。
    http://nestle.jp/entertain/cafe/


    本の中に登場するあの美味しそうな一品を
    実際に再現してみよう!というこのコーナー。

    第53回目に紹介されたのは、向田邦子の「父の詫び状」に登場する『幼少期に食べた記憶の中のカレー「昔カレー」』。

    ―カレーライスとライスカレーの区別は何だろう。
    カレーとライスが別の容器で出てくるのがカレーライス
    ごはんの上にかけてあるのがライスカレーだという説があるが、私は違う。

    金を払って、おもてで食べるのがカレーライス。
    自分の家で食べるのが、ライスカレーである。

    厳密にいえば、子供の日に食べた、
    母の作ったうどん粉のいっぱい入ったのが、ライスカレーなのだ。

    思い出はあまりムキになって確かめないほうがいい。

    何十年もかかって、懐かしさと期待で大きくふくらませた風船を、自分の手で
    パチンと割ってしまうのは勿体ないのではないか。

    だから私は、母に
    子供の頃食べたうどん粉カレーを作ってよ、などと決していわないことにしている。



    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/

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著者プロフィール

1929年、東京生まれ。脚本家、エッセイスト、小説家。実践女子専門学校国語科卒業後、記者を経て脚本の世界へ。代表作に「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」。1980年、「花の名前」などで第83回直木賞受賞。おもな著書に『父の詫び状』『思い出トランプ』『あ・うん』。1981年、飛行機事故で急逝。

「2020年 『向田邦子ベスト・エッセイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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