無名仮名人名簿 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (1983年8月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784167277031

作品紹介・あらすじ

われわれの何気ない日常のなかでめぐり合いすれ違う親しい人、ゆきずりの人のささやかなドラマを、著者持前のさわやかな感性とほのぼのとしたユーモアで描き出した大人の読物。

みんなの感想まとめ

日常の中に潜む人々のささやかなドラマを、著者は独自の感性とユーモアで描き出しています。庶民的な視点から、人間の多面性や変わったところを愛でる姿勢が、読者に安心感を与えます。作品を通じて、家族や仕事、身...

感想・レビュー・書評

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  • 向田邦子(1929-1981)さんが日常のなかで、めぐり逢いすれ違った人、行きずり人たちとのささやかなドラマを、豊かな感性と爽やかなユーモアで描き出された、週刊文春に連載された52篇のエッセイ集。黙祷の号令で本当に目をつぶる人、目をあけている人(大抵は女性)を観察した『目をつぶる』、蛇に似ている鰻が食べれない友だち『長いもの』、映画雑誌編集の仕事で会ったハリウッドスタ-の素行『普通の人』、人の食べてるお弁当のおかずを覗き込まずにいられない『拾う人』など、美味満載の魅惑の作品集。

  • 本棚整理中につき再読62

  • 向田邦子は芸能界に身を置いていたけれど、至って庶民の感覚で庶民の感覚を語るから読んでると安心するというか、心和らぐ。
    変なところってみんな持っているはずだけど、そんな手近ですぐ見つからないな〜。今では人の変わったところを(悪気はなくとも)いじる風潮が根付いてしまって、面白いところがある人は奇怪な人とみなされるのを恐れて、必死に隠したり、変なところがないか周りを窺うことも多いような気がする。

    向田邦子の文章はさらっとしていて冷たすぎず感情的すぎない。でも、読んでいればわかるけれど、向田邦子もかなり変なところをたくさん持ち合わせていたと思う。そして、いろんな人の欠陥を愛でることもできた人だろう。

  • (そのうち読もう、そのうち読もうと考えていたらこんなにも時間が経ってしまっていた…。申し訳ない…。)

    家族のこと、親類のこと、お仕事のこと、お仕事で関わるあの人のこと…。
    向田邦子の目を通して書き連ねられる日常風景には、ついついのずぼらと、ぴしりと一本筋の通った正しさと、その両方を常に感じる。
    人間って多面的な生きものだよね。
    私だってそうだし、世の中ってそういうものよね。
    ふふんと鼻歌まじりで、今でもどこかでそんなことを誰かに話していそうな、そんな近しさとリアルを感じる。
    向田邦子はやはりすごい。

  • テレビドラマ脚本家である向田邦子氏は50歳代そこそこ、台湾旅行中に飛行機で死亡した 。かつてドラマのTBSと言われ多くのドラマをプロデュースした久世光彦はそのエッセイで、彼女の才能について、その早すぎる死を悼み「あと10年、いや5年生きていてくれたら、日本のドラマはもっと変わった」と嘆いた。結局ホームドラマは衰退し、フジテレビを初めとするトレンディードラマが台頭する訳だが、今、見直してみるとその芝居としてのクオリティーの差は歴然である。日本のテレビドラマを駄目にした歴史を、お役者家元はつぶさに見てきた。
    閑話休題、エッセイの才能にも恵まれた著者、「臆病ライオン」では、私はチビである。から始まるが、何故だかアフリカのライオンの話になり、羽仁進氏の説明を拝借する。マサイ族はその背の高さと赤い布を身にまとい体を大きく見せている。ライオンはその大きさに慄き襲うことはない。最後は知人の大型の犬の話。飼い主の言う事を聞き小さく蹲っている。著者がトイレを借りようと立ち上がった途端唸り声をあげ威嚇した。怖いのだ、山高い故に尊からずと言うが、やはり山は低いより高い方がいい、と綴り自分とこの犬は同じ臆病なライオンだとむすんでいる。他、森羅万象、記者会見で45分も演説したマーロン・ブランド、しびれを切らすほど待たされた客、その主人に「お待たせしました」と言い放った友人、愚痴をこぼす代わりに真っ赤になるまでおみおつけに唐辛子をかける祖父。等など。

  • 先日、映画『あ・うん』を観たあと、原作との差分が気になって「向田邦子」の原作を再読しました。

    原作のほうがイイよなぁ・・・ と、改めて感じるとともに、久しぶりに「向田邦子」のエッセイを読みたくなったので『無名仮名人名簿』を読みました。


    「向田邦子」のエッセイって、日常での出来事や少女時代の家族のエピソードを、うまくユーモアに包んで描いてあり、とても親しみやすく感じるんですよね。

    うちの両親と同じ世代なので、私とは生きてきた時代が全く異なるのですが、、、
    感覚(価値観なのかな…)が近い感じがするのは、なんだか不思議です。

    彼女の生き方に憧れを感じているのも、親しみやすく感じる要因なのかもしれませんね。

  • 文学

  • 一編ごとの内容それぞれについては流石に素晴らしいが
    一気に読むと麻痺する味
    甘めの味噌カツ
    狭さとか深さとかで言い表しにくい
    作者による人間表現の妙を得ているけれども
    瑕がないだけに決まりきった形式の枠を感じてしまう
    長く残ることが価値でなく時代に沿うこともまた同等の価値だと思うが
    その一時代の一断面を巧みに切り取る筆が作者の芸なのだろう

  • 向田さん初心者なので、おもしろいなぁと思うのは、素直に、鋭い観察眼とか、古くさくならない文体とか、その言葉選びなんだけど、このエッセイで思ったのは、向田さんはけっこうおっちょこちょいだし、ズボラだし、見栄っ張りだし、キツイことを言う人で、そこに親近感がわきまくりつつ、それを読ませてる文体は「ははぁー」と唸ってしまうところ。
    謙遜しすぎてて小賢しいっていう人もいるみたいだけど、才女すぎなくてむしろかっこいい。

    それにしても、いまから34年前の作品なのに「どうも自ら個性派をというか変人奇人を標榜する人は、実は普通の人という気がする。芯のところに人と変わったところがあれば、殊更に変わった振りをすることはないように思えるからだ。」という一文があって「ああ、こういう人って昔からいたんだな」と笑ってしまった。

    それから「内股の男が増えるのはいいことかも知れない。少なくとも彼等は戦争は起こさない。小さな迷惑をかけても大きな迷惑はかけないからである。」というのも。なんか、分かる。

  • 私も「席とり」苦手。共感。
    憧れ。

  • 図書館で。
    そうだよなぁ、ちょっと前はワープロでその前は万年筆で文筆家は文章書いてたんだよな、となんとなく改めて実感。テレビとかのシナリオって大変そう… ストレスかかりそうな仕事だろうなあなんて思いました。

    それにしても締め切り終わって寝巻の上にコートで外出って…ちょっとスゴイ。この方、お化粧しない方だったんだろうか(笑)変な話ですがエッセイアンソロジーとかに向田さんの作品が一作入っていると物凄い印象に残るのにまとめて読むとさほど響かない感じがする。人間って贅沢だなぁ。

  • 小説より、エッセイのほうが合う。
    使われている言葉が勉強になります。

  • 大学目薬 なんだか懐かしい響きだ 確か 家にあったような…と朧げな記憶が蘇り ネットで調べたら 出てきた!懐かしいし 向田さんの エッセイで面白いし いいなあ向田さん。

  • にやにやしながら読んでしまう。楽しい一冊。

  • 向田邦子さんの文章は、
    読んでいると落ち着きます。

  • 何気ない日々の出来事、向田邦子さんの出会った人々のエピソードを綴ったエッセイ。
    向田邦子さんは脚本家で、俳優や有名な方々との交遊もある。
    だけど、そういう人々と普通の名もない人々をちっとも区別せずに公平に同じ人間としてこのエッセイには描いている。
    そこに好感をもちました。
    だから、このタイトルなのか・・・と読み終えて思いました。

    共感した幾つかの話を挙げると、「拝借」で、人の口紅を貸してくれない?という人の話。
    そういうのは全く気にしない人は気にしないんだろうけど・・・。
    見も知らない人間に口紅を貸すのは正直嫌だったと書かれてあり、そりゃそうだと思った。
    私も友達にそう言われて「嫌だな~」と思った事があるし、どこかに食べに行って別々のものを頼んだ時、「ひと口ちょうだい」と言われるのも嫌だと思う。

    また、落語を聞きに行った際、エレベーターの先頭に並んでいて、奥につめたため、席に座れずに納得のいかない思いになったというエピソードから始まる「席とり」という話にも共感した。
    そこで要領よく奥につめずに扉近くに陣取るという事ができない人なんだと思う。
    そして、その後二時間立ちっぱなしになり、ひいきの噺家が久々に出ていたのに笑えなかったという文章に好感をもった。
    そんな時でも笑えとか、心穏やかに・・・なんて書いた自己啓発本があるけど、私は「笑えなかった」向田さんはとても人間的だし、自然だと思う。
    そして、そんな事を正直に書けるのが素敵だと思う。

    そういった不器用できっちりした性格が感じられるエッセイで、それでいながらこのエッセイはカチッとして堅苦しい感じはない。
    ちゃんとしているけど、ちょっと抜けていてドジなエピソードがちょいちょい書かれていて親しみを感じる。
    また、文章は歯切れが良く、最初の一文から人を惹きつける。
    『自分は中流である、と思ってる人が九十一パーセントを占めているという。』
    『舗道にマスクが落ちていた』
    『女がひとりで小料理屋に入り、カウンターに坐ってお銚子を頼むのは、ひとりで外国旅行に出掛けるぐらいの度胸がいる』
    なんて何気ない文章から入り、何となく次を読みたいと思わせる。

    『小さなしあわせ、と言ってしまうと大袈裟になるのだが、人から見ると何でもない、ちょっとしたことで、ふっと気持ちがなごむことがある。
    私の場合、七味とんがらしを降ったおみおつけなどを頂いていて、プツンと麻の実を噛み当てると、何かいいことでもありそうで機嫌がよくなるのである。』
    こんな何気ないエピソードが好きです。
    こういうのを読むと、幸福とは幸せだと感じる心のことだとつくづく思う。

  • サザエさん的な、雰囲気。

    日本が、前向きな時代にあった、良き時代の物語という感じがする。戦中、戦後という激動の時代の中にあった人たちの姿が日常目線で描かれていて、親しみを感じるとともに、ちょっとうらやましくもある。

  • あっぱれ。

  • さすが向田邦子。読ませるなぁ~。

  • まあ、女性らしい視点で、日常のこまごました出来事からネタ?を探し出して文章に仕上げている。

    特に印象に残るエピソードはないが、人間としての作者がよく表れている。

    何にでも興味を持つ、好奇心。
    そして、その自分の好奇心を自分自身、かなり気に入っているようだ。

    何もない平凡な暮らしから物語を紡ぎ出すというのが作家の才能とするなら、この作者はまさしく才能のある作家であろう。

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著者プロフィール

向田邦子(むこうだ・くにこ)
1929年、東京生まれ。脚本家、エッセイスト、小説家。実践女子専門学校国語科卒業後、記者を経て脚本の世界へ。代表作に「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」。1980年、「花の名前」などで第83回直木賞受賞。おもな著書に『父の詫び状』『思い出トランプ』『あ・うん』。1981年、飛行機事故で急逝。

「2021年 『向田邦子シナリオ集 昭和の人間ドラマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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