阿修羅のごとく (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.65
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本棚登録 : 899
レビュー : 111
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167277178

作品紹介・あらすじ

年老いた父に愛人がいた!四人の娘は対策に大わらわ。だが、彼女たちもそれぞれ問題を抱えていた。未亡人の長女は不倫中、次女は夫の浮気を疑い、三女は独身の寂しさに心がすさみ、四女はボクサーの卵と同棲、そして母は…肉親の愛憎を描き、家族のあり方を追求してきた著者の到達点ともいうべき力作。

感想・レビュー・書評

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  • 再読。四姉妹の名作といえば、『若草物語』『細雪』などがあるが、これも四姉妹。当然四姉妹にはそれぞれの悩みがあるのに、年老いた父に愛人が発覚。母に隠し通せるか。これだけの設定をまとめあげるのは大変だ。タイトル通り皆「阿修羅」です。誰もが阿修羅を心の中に隠し平気なふりをし、相手の阿修羅を見て見ぬふりをする。四姉妹で致命的に対立しないのは、阿修羅のおかげなのだろうか。

  • 始まりはファミリードラマのようでこんなワイワイがどこまで続くのかといささか食傷気味でしたが、読み進めるうちにどんどんスピードアップして、真ん中以降はものすごいスピードで読んでいました。
    高校生の頃、滅多に本なんか読まないガールフレンドが電車の中で珍しく文庫を読んでいるのに出くわし、「何読んでるの?」と聞くとそれが向田邦子さんでした。その頃は司馬さんにハマっていたワタシはちょっと彼女を軽蔑したものですが、女と男の心の様子を性的な描写抜きでしっかり描けていて、会話も軽妙で、本当に楽しく読むことができました。

  • 四姉妹と、その父親・母親。旦那。愛人。子供。
    四姉妹が四姉妹とも、性格も違えば考え方も違う。そんな4人が、互いに抱える問題を、干渉しすぎるでもなく、でも気にかけていて。
    実際の家族ってのも、こういうもんなんじゃないかな、と思う。
    個人的には、父・恒太郎が、口数は少ないが、やはり四姉妹のことを常に気にかけているところに、人間の暖かみを感じる。

    たまに出てくる核心をつくような発言にヒヤリとしたり、納得したりしつつ。
    気づけばあっという間に読破。

    さて、この物語が書かれたのが昭和五十四年頃だという。まるで現代小説のように読み進めていたが、、おそるべし、向田邦子。
    向田邦子の作品は今回はじめて読んだが、具体的に「こうだ」と語られなくても、読者に「ああ、きっとそういうことなんだろうな。」と思わせるところが、なんというか、機微 と言いますか、、
    そう感じさせるところがすごいな。

    他の向田作品も読んでみたい。

  • 父・恒太郎の不倫疑惑をきっかけに、4人の姉妹が策を練る。しかし四姉妹もそれぞれ悩みや隠し事を抱えていた。家族、姉妹、男女―それぞれの人間模様から、人の抱える「阿修羅」を見る。1979年のNHKドラマの脚本、その後映画化、舞台化された本作。

    なんて寂しく、孤独で、人の生き様を正直に描いた作品なんだろう。両親と四姉妹からなるひとつの家族と、その周囲の人物。それぞれが心の内に黒く苦々しい想いを抱えつつも、表面的には出さず「今」を維持して平穏を取り繕う。
    母・ふじが家族に見られないところで襖にミニカーを投げつけ、その後にこっそり千代紙で修復して何食わぬ顔で過ごす描写が強烈に印象的で、この作品全体を表しているようだった。
    10代では気付けなかった現実が年齢を経て心に刺さり、平穏や幸せは努力と忍耐の賜物なんだと思わずにはいられない。ずしりとしたテーマを背負っているからこそ、途中から三女滝子と勝又の不器用な恋模様は良い小休止になった。
    近しい間柄だからこそ感じる愛憎や歪みを第三者的視点で見つめる。読む時期によって感じ方や感情移入する人物が変わりそう。
    2003年版の映画キャストが好きだったので、観てみたいと思う。

  • 男と女に教科書があるのなら、私はこの本を教科書にしたい。

  • WITTY!

  • 静と動。それぞれの心の動きがリアルで面白かった。
    映像が目に浮かぶ。タイトルもいいね!
    【2020.03】

  • 特に好きなシーンをば。
    ----------
    父「恒太郎」の浮気を知った家族。父が相手のところに出かけているときに母親が倒れてしまった。次女の巻子が父にすごい剣幕で詰め寄ります。
    巻子の夫、鷹男が父を庇うセリフがせつない。

    「お母さんね、口でなんか言えないくらい、焼き餅やいてたのよ。腹立ててたのよ。寂しかったのよ。お父さんのこと、好きだったのよ!」巻子の目から涙がどっとあふれた。
    「それをなによ、お父さん!」
    鷹男は巻子の一肩に両手を置いて、
    「真面目に働いて家を建てて、四人の子供を成人させて、そのあと誰にも迷惑をかけないで、少しだけ人生のツヤを楽しむのが、そんなにいけないのか」
    「女房泣かせて楽しんでいるのよ!」
    「その分、手合わせて拝んでんだよ。すまない、すまないって思いながら」
    「それだけの気持ちがあったら別れればいいでしょう」
    恒太郎はなにも言わず、うなだれている。

  • 向田邦子 原作「阿修羅のごとく」、1999.1発行。竹沢恒太郎68歳とふじ65歳、その娘たち、三田村綱子45歳、里見巻子41歳、竹沢滝子30歳、竹沢咲子25歳の4姉妹の、とりとめのない話。ドラマや舞台(南田洋子さんがふじ役を演じたそうです)だと面白いかと思いますが、小説としては読むのに時間がかかりすぎました。(5日間)

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    年老いた父に愛人がいた!四人の娘は対策に大わらわ。だが、彼女たちもそれぞれ問題を抱えていた。未亡人の長女は不倫中、次女は夫の浮気を疑い、三女は独身の寂しさに心がすさみ、四女はボクサーの卵と同棲、そして母は…肉親の愛憎を描き、家族のあり方を追求してきた著者の到達点ともいうべき力作。

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著者プロフィール

1929年、東京生まれ。脚本家、エッセイスト、小説家。実践女子専門学校国語科卒業後、記者を経て脚本の世界へ。代表作に「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」。1980年、「花の名前」などで第83回直木賞受賞。おもな著書に『父の詫び状』『思い出トランプ』『あ・うん』。1981年、飛行機事故で急逝。

「2020年 『向田邦子ベスト・エッセイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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