新装版 父の詫び状 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1872
レビュー : 209
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167277215

作品紹介・あらすじ

宴会帰りの父の赤い顔、母に威張り散らす父の高声、朝の食卓で父が広げた新聞…だれの胸の中にもある父のいる懐かしい家庭の息遣いをユーモアを交じえて見事に描き出し、"真打ち"と絶賛されたエッセイの最高傑作。また、生活人の昭和史としても評価が高い。航空機事故で急逝した著者の第一エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • アンソロジーで『昔カレー』は読んだけど、それ以外は初の向田邦子さん。
    唐突にあらぬ方向に話が飛ぶのだが、
    最初は面食らうものの読みにくさが全くなかったのが不思議だった。

    戦前や戦中は『贅沢は敵』だとか『欲しがりません勝つまでは』といった
    世の中全てが我慢を強いられる空気だったと思っていたので
    今の空気感とさほど変わらない、生き生きとした日々が綴られていたことに
    失礼ながら吃驚してしまった。
    人間には限られた中から豊かさを紡ぎ出せる能力があるということに気付かされ、
    モノが溢れているのに豊かさを実感できない自分になんとなく反省。

    殆ど飾りのない、竹を割ったようなストレートな筆致がかっこいいと思った。
    先ずは向田さんのエッセイを先に読破してみたい欲求に駆られた。

    • nejidonさん
      はじめまして。
      向田さんの記事を探しておりました!とっても嬉しいです。
      向田さんは端正な文章で、理知的なところが光る方ですよね。
      お料理の本...
      はじめまして。
      向田さんの記事を探しておりました!とっても嬉しいです。
      向田さんは端正な文章で、理知的なところが光る方ですよね。
      お料理の本も書かれていて、何品か真似して作ったこともあります。

      【欲しがりません、勝つまでは】なんて、ほんの数年間だけのことです(笑)
      それ以外は、しっかりとそれぞれの暮らしを工夫して楽しんでいたんじゃないでしょうか。
      なんて、この眼で見たわけじゃないですが。
      【豊か】という観点だったら、今よりも豊かだったかもしれませんよ。
      また向田さんの作品に出会いましたら、教えてくださいね。
      素敵なレビュー、ありがとうございます!
      2013/07/03
  • 初めて読んだのはもう30年くらい前のことで
    20代から30代のときに、何度も何度も読んだエッセイ
    わたしも知らない、戦前戦後の昭和の時代が生き生きと瑞々しく、
    まるで、向田邦子さんと一緒にお茶の間に座っているようです
    何十年も読み継がれている向田作品、
    いまさらですが、やはり面白く、そして切ないです

  • 確か中学か高校の現国の試験に出たのだったと思う。
    お父さんが酔っ払って帰ってきて、子供たちにお土産を渡すエピソード。
    妙に印象的で、ずっと覚えていた。
    鮮やかで、面白くて、正に天才的だと思う。
    いつかこんな文章を書きたい。

  • 懐かしい、という言葉はむしろ、当てはまらないかもしれない。それは向田さんの記憶であると同時に、誰かの記憶。向田さんの目であると同時に、誰かの目。誰かが見ていて、誰かが覚えている。

    読んでいて、時代が流れているのだな、ということも感じた。
    細かい感覚が、自分とは微妙に違う。自分が「さらさら」と感じた手触りが、違う世代の人には「つるつる」だと感じられるような、そういう違い。

    例えば、家庭がとても<父親>を立てているなぁ、と思った。そして、はたしてこれを感覚として理解できるのは、どれくらいの世代までなのだろう、とも。
    娘の入学試験の朝、脂汗を流してうんうん唸って心配していた父に対して、「あなたが合格したのはお父さんのおかげよ」「ありがとうございますはどうしたの」と言われるのは今の家庭で感覚で理解できるだろうか。良い悪い、理屈屁理屈ではなく。首をかしげる人もいると思う。

    それはもちろん、個人の感覚の違いでもあるだろう。しかし、それでも理屈でなくそうした細かな「違和感」を私が覚えたのは、向田さんの生きていた時の時間の流れと、今の時代の時間の流れが、やはり違うせいではないかと思う。

    だから……どうしても、彼女の最期に話に向かってしまう。向田さんがもっと長生きしていたら、いったいどのような「記憶」を書いてくれたのだろう、と。

  • 私が好きなのは伊勢海老の話。

  • 読み終えるのにものすごい時間がかかってしまったけれど、いい作品だなぁと思いました。
    中学校の国語の教科書に「字のない葉書」という話が出ていて、向田邦子とそのお父さんに興味をもって。また、生徒から「お母さんはどんな人だったのかなぁ?」という話を聞いて確かにと思ったから。

    タイトルがひとつひとつ魅力的で、中身も鋭い感性で書かれているなと思います。なるほど、そういう捉え方をするか、ということが多々あった。
    黒柳徹子の留守番電話の話が一番笑った。流石である(笑)

    『父の詫び状』だからお父さんの話が多いかと思いきやそういうわけでもなく(もちろん沢山出てるけど)、母親や祖母の話やそれ以外についても沢山書かれていて面白かったです 。
    ただ、個人的にストーリーじゃないものは読むのがとてつもなく遅くなるなぁと実感しました(笑)面白いし嫌いではないんだけれどね。

  • 大変面白かった。この人の文章にはまったく嫌味がないからだろう。それに全く飾り気がない。リズムもいい。

    かなり記憶力のいい人だなと思って読んでいたら、お父さんの記憶力が良いと書いてある。彼女がそういうのだからかなりのものだったのだろう。

    この人は御巣鷹山の事故で亡くなったと思っていたが、調べたら台湾の飛行機事故で亡くなっていた。どこで記憶が混線したのだろう。私の記憶力はまったく信用ならない。

    この本の中でお母さんの香港旅行で空港まで見送って、どうか落ちませんようにと祈るところがある。またペルーの話で、ちょうどその頃にランサという会社の飛行機が墜落したことを書いている。何か暗示しているようで不思議。

    自分が癌になりながらお母さんの病気を心配している場面がありますが、2008年まで生きておられたようですね。

  • 名文。つらつらととりとめもなく書いているようでいて、芯がしっかりしている感じ。家族の様子とか、働く現場での出会いとかがばらばらでいてつながるように書いてある。

  • ベビーブーム生まれなので、時代背景は違ってもなぜだか懐かしく感じてしまう。素晴らしい観察力と表現力。読みながらにやけたり、泣いたり、びくりしたり。多くの感覚を味わえるステキな一冊。
    この人が生きていたら、今は何が見えているのだろう。

  • いわゆる“おひとり様”の先駆けのような印象を受けました。一人でも十分人生、生活を楽しんでいるような感じです。恐れ多いですが自分も似たようなことを考えているなあと思い、歳を重ねると著者のようになっていくのかしらと考えたりしました。時も変わりもっともっと著者の言葉や考えを聞きたかったと思いました。未だに向田作品が色褪せずTVなどでも残っているのは同じように思う人が多い証拠ですね。 

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プロフィール

1929年東京生まれ。放送作家としてラジオ・テレビで活躍。「だいこんの花」「寺内貫太郎一家」等。1980年に短篇小説「思い出トランプ」で直木賞受賞したが、81年8月飛行機事故で急逝。『父の詫び状』等。

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