父の詫び状 新装版 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2006年2月10日発売)
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  • 本 ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167277215

作品紹介・あらすじ

宴会帰りの父の赤い顔、母に威張り散らす父の高声、朝の食卓で父が広げた新聞――。

だれの胸の中にもある、父のいる懐かしい家庭の息遣いをユーモアを交じえて見事に描き出し、“真打ち”と絶賛されたエッセイの最高傑作。また、生活人の昭和史としても評価が高い。

航空機事故で急逝した著者による、初めてのエッセイ集。全24篇を収録。初出は、日本初のタウン誌「銀座百点」。

解説・沢木耕太郎

感想・レビュー・書評

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  • 今ごろ読むなんて!と著者に叱られそうだけど、どっこい全く色褪せない珠玉のエッセイ集ですね。24篇のエッセイ何れもがキラリと光る逸品揃いで、どこから何時読んでも肩が凝らないしとても良い♪ さすがの向田邦子さん、飛行機事故で亡くなられたのが如何にも惜しまれる! 
    印象に残ったのが黒柳徹子が何度も何度も留守電かけて来た話で抱腹絶倒モノでした笑
    うんうん そうそう!と腑にいっぱい落ちる話ばかりで思わずにやにや。お父上の勤め先 東邦生命やら、石川県七尾市やら、鹿児島の海とさつま揚げやら と私的にも馴染み深い箇所がてんこ盛りでした。
    まさに時の朝ドラ「カムカムエブリバディ」みたいな濃い昭和の匂いでホカホカと心温まる読後感でした。満点です

  • エッセイ?確かに文章は、徒然なるままに、自由に書かれてはいるのですが、内容が驚きの連続でして。エッセイ??もしも向田邦子さんとお話しできる機会があったら、きっと「話、盛ってますよね?」と先ず聞いたでしょう。空襲のエピソードや、人の死や貧困の話が出てくるため、おもしろい、という言葉はしっくりこないけど、今更ですが、出会えてよかった一冊です。

  • これぞエッセイ!エッセイの原点ですね♪
    思い付いたことを取り留めもなく書き連ねていますが、向田邦子さんらしく、話があちこち跳びまくり(笑)。
    話題も、今から思えば前近代的で、ああ、そんな時代がさほど遠くない過去にあったんだなぁと。
    全体的にほのぼのしていて、ふんわりした気持ちで読める1冊です。

  • 父親の厳しさと理不尽さ。大人では大事な思い出に変わるのですね。

  • 向田邦子さんの、24篇のエッセー。

    それにしても色々なエピソードの記憶がしっかりしていて、さすが作家さんだなと思いました。
    沢木耕太郎氏が解説を書いている途中で墜落事故を知ったようでした。あとがきでは、癌の治療をして奮起してるところが記されてました。もう亡くなられて40年経つのですね。
    あ・うんは色々とドラマ化、映画化されてますが、杉浦直樹が出ていたNHKのが好きだったかな。

    • nazunaさん
      Tomさま
      いつも「いいね」をありがとうございます。

      杉浦直樹が出ていたNHKのドラマとは「阿修羅のごとく」でしたかしら。杉浦直樹と...
      Tomさま
      いつも「いいね」をありがとうございます。

      杉浦直樹が出ていたNHKのドラマとは「阿修羅のごとく」でしたかしら。杉浦直樹と加藤治子の道ならぬ恋、加藤治子の秘められた情念の演技が素晴らしかったですね。民放では「冬の運動会」が忘れられません。そうそう、先日「向田邦子の恋文」を読了ばかりです。

      遅ればせながら、フォローさせて頂きました。これからも宜しくお願いいたします。
      2022/03/10
    • Tomさん
      nazunaさま。コメントありがとう。
      記憶がしっかりされてすごいですね。
      そうです、加藤治子さんがとても可愛らしい演技をされてました。最近...
      nazunaさま。コメントありがとう。
      記憶がしっかりされてすごいですね。
      そうです、加藤治子さんがとても可愛らしい演技をされてました。最近はそういうドラマが少なくなりました。

      今後もお互いに良書に巡り合えるといいですね。
      2022/03/10
  • 筆者の心に残る、ふたつの“ごはん”の話。
    父親が家を、家族を守り抜けないと覚悟した昼餐。
    母親が、病気の自分だけに食べさせる鰻丼。
    そのとき子であった筆者の視点で綴られる。
    自分の家族を思わずには読めない。
    「ごはん」

    学校で書かされた慰問文。
    ーチャボが卵を生んだこと
    ー庭から見える桜島の煙のたなびく向き
    ー五右衛門風呂の焚き口からはい出してきたがま蛙
    あの手紙は嬉しかったと兵隊達が家に訪れる。
    ここにある小さなことを綴ることの持つ力。
    「卵とわたし」

  • 【私の本棚】女優、エッセイスト・美村里江さん 「父の詫び状」向田邦子 家族の奥まで捉えた観察眼 産經新聞
    https://www.sankei.com/smp/life/news/200801/lif2008010026-s1.html

  • 今の時代には考えられない、厳格で煙ったい父親。思い出が辛くもあり懐かしくもありといったエッセイ。子供心に理不尽な態度を取る父親への反感、母親に感じる不憫な気持ち。
    母親に初めての海外である台湾旅行をプレゼントしたくだりがあり、「どうか落ちないで下さい。どうしても落ちるのだったら帰りにして下さい」と書かれているのを読んで、その後、飛行機事故で亡くなった向田さんの皮肉な運命を感じた。

  • 題名からもわかるが今回は家族について書いたものが多かった。ごはんの中で綴られた東京大空襲の話は心をえぐられた。かと思えばあの有名な黒柳さんの留守番電話の笑い話が出てきた。毎度読み終わるのがもったいないとしみじみ思う。この一冊は、今や私達にはわかり得ない、昭和の家族史を色鮮やかに伝え続けてくれる大切な作品だと思う。

  • これぞエッセー。昭和の初期から終戦、高度成長期を過ごしてきた向田邦子の、父についての記憶を皮切りに、どんどんテーマが広がっていく。主に子供の頃の記憶に基づくのだけど、よく覚えてるなぁと感心。つるつるっと展開していくのは文章が上手なのだろう。読んでても、大病したあとで右手が思うように動かない状態で書いていたとは驚く。
    向田邦子の小説も興味が出た、思いでトランプとか。

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著者プロフィール

向田邦子(むこうだ・くにこ)
1929年、東京生まれ。脚本家、エッセイスト、小説家。実践女子専門学校国語科卒業後、記者を経て脚本の世界へ。代表作に「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」。1980年、「花の名前」などで第83回直木賞受賞。おもな著書に『父の詫び状』『思い出トランプ』『あ・うん』。1981年、飛行機事故で急逝。

「2021年 『向田邦子シナリオ集 昭和の人間ドラマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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