新装版 父の詫び状 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
4.07
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本棚登録 : 3195
感想 : 285
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167277215

作品紹介・あらすじ

宴会帰りの父の赤い顔、母に威張り散らす父の高声、朝の食卓で父が広げた新聞…だれの胸の中にもある父のいる懐かしい家庭の息遣いをユーモアを交じえて見事に描き出し、"真打ち"と絶賛されたエッセイの最高傑作。また、生活人の昭和史としても評価が高い。航空機事故で急逝した著者の第一エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 今ごろ読むなんて!と著者に叱られそうだけど、どっこい全く色褪せない珠玉のエッセイ集ですね。24篇のエッセイ何れもがキラリと光る逸品揃いで、どこから何時読んでも肩が凝らないしとても良い♪ さすがの向田邦子さん、飛行機事故で亡くなられたのが如何にも惜しまれる! 
    印象に残ったのが黒柳徹子が何度も何度も留守電かけて来た話で抱腹絶倒モノでした笑
    うんうん そうそう!と腑にいっぱい落ちる話ばかりで思わずにやにや。お父上の勤め先 東邦生命やら、石川県七尾市やら、鹿児島の海とさつま揚げやら と私的にも馴染み深い箇所がてんこ盛りでした。
    まさに時の朝ドラ「カムカムエブリバディ」みたいな濃い昭和の匂いでホカホカと心温まる読後感でした。満点です

  • 筆者の心に残る、ふたつの“ごはん”の話。
    父親が家を、家族を守り抜けないと覚悟した昼餐。
    母親が、病気の自分だけに食べさせる鰻丼。
    そのとき子であった筆者の視点で綴られる。
    自分の家族を思わずには読めない。
    「ごはん」

    学校で書かされた慰問文。
    ーチャボが卵を生んだこと
    ー庭から見える桜島の煙のたなびく向き
    ー五右衛門風呂の焚き口からはい出してきたがま蛙
    あの手紙は嬉しかったと兵隊達が家に訪れる。
    ここにある小さなことを綴ることの持つ力。
    「卵とわたし」

  • 向田邦子さんの、24篇のエッセー。

    それにしても色々なエピソードの記憶がしっかりしていて、さすが作家さんだなと思いました。
    沢木耕太郎氏が解説を書いている途中で墜落事故を知ったようでした。あとがきでは、癌の治療をして奮起してるところが記されてました。もう亡くなられて40年経つのですね。
    あ・うんは色々とドラマ化、映画化されてますが、杉浦直樹が出ていたNHKのが好きだったかな。

    • nazunaさん
      Tomさま
      いつも「いいね」をありがとうございます。

      杉浦直樹が出ていたNHKのドラマとは「阿修羅のごとく」でしたかしら。杉浦直樹と...
      Tomさま
      いつも「いいね」をありがとうございます。

      杉浦直樹が出ていたNHKのドラマとは「阿修羅のごとく」でしたかしら。杉浦直樹と加藤治子の道ならぬ恋、加藤治子の秘められた情念の演技が素晴らしかったですね。民放では「冬の運動会」が忘れられません。そうそう、先日「向田邦子の恋文」を読了ばかりです。

      遅ればせながら、フォローさせて頂きました。これからも宜しくお願いいたします。
      2022/03/10
    • Tomさん
      nazunaさま。コメントありがとう。
      記憶がしっかりされてすごいですね。
      そうです、加藤治子さんがとても可愛らしい演技をされてました。最近...
      nazunaさま。コメントありがとう。
      記憶がしっかりされてすごいですね。
      そうです、加藤治子さんがとても可愛らしい演技をされてました。最近はそういうドラマが少なくなりました。

      今後もお互いに良書に巡り合えるといいですね。
      2022/03/10
  • 父親の厳しさと理不尽さ。大人では大事な思い出に変わるのですね。

  • 【私の本棚】女優、エッセイスト・美村里江さん 「父の詫び状」向田邦子 家族の奥まで捉えた観察眼 産經新聞
    https://www.sankei.com/smp/life/news/200801/lif2008010026-s1.html

  • 今の時代には考えられない、厳格で煙ったい父親。思い出が辛くもあり懐かしくもありといったエッセイ。子供心に理不尽な態度を取る父親への反感、母親に感じる不憫な気持ち。
    母親に初めての海外である台湾旅行をプレゼントしたくだりがあり、「どうか落ちないで下さい。どうしても落ちるのだったら帰りにして下さい」と書かれているのを読んで、その後、飛行機事故で亡くなった向田さんの皮肉な運命を感じた。

  • 文庫本の裏表紙には「真打ち」と評されていたが、本書は本当にエッセイの傑作。何より、登場人物が生き生きしていて読んでいて楽しい。
    日常の何気ない場面から連想が様々に飛び、それらは一見バラバラで脈絡の無さそうに見えるのだけれども、その実有機的に結び付いている、というのが(解説にもあったが)職人芸の極みだと思う。

    24編のエッセイが収録されていてどれも魅力的なのだが、1番のお気に入りは「お辞儀」。親がお辞儀する姿を見た居心地の悪さ。とてもよくわかる

  • アンソロジーで『昔カレー』は読んだけど、それ以外は初の向田邦子さん。
    唐突にあらぬ方向に話が飛ぶのだが、
    最初は面食らうものの読みにくさが全くなかったのが不思議だった。

    戦前や戦中は『贅沢は敵』だとか『欲しがりません勝つまでは』といった
    世の中全てが我慢を強いられる空気だったと思っていたので
    今の空気感とさほど変わらない、生き生きとした日々が綴られていたことに
    失礼ながら吃驚してしまった。
    人間には限られた中から豊かさを紡ぎ出せる能力があるということに気付かされ、
    モノが溢れているのに豊かさを実感できない自分になんとなく反省。

    殆ど飾りのない、竹を割ったようなストレートな筆致がかっこいいと思った。
    先ずは向田さんのエッセイを先に読破してみたい欲求に駆られた。

    • nejidonさん
      はじめまして。
      向田さんの記事を探しておりました!とっても嬉しいです。
      向田さんは端正な文章で、理知的なところが光る方ですよね。
      お料理の本...
      はじめまして。
      向田さんの記事を探しておりました!とっても嬉しいです。
      向田さんは端正な文章で、理知的なところが光る方ですよね。
      お料理の本も書かれていて、何品か真似して作ったこともあります。

      【欲しがりません、勝つまでは】なんて、ほんの数年間だけのことです(笑)
      それ以外は、しっかりとそれぞれの暮らしを工夫して楽しんでいたんじゃないでしょうか。
      なんて、この眼で見たわけじゃないですが。
      【豊か】という観点だったら、今よりも豊かだったかもしれませんよ。
      また向田さんの作品に出会いましたら、教えてくださいね。
      素敵なレビュー、ありがとうございます!
      2013/07/03
  • 初めて読んだのはもう30年くらい前のことで
    20代から30代のときに、何度も何度も読んだエッセイ
    わたしも知らない、戦前戦後の昭和の時代が生き生きと瑞々しく、
    まるで、向田邦子さんと一緒にお茶の間に座っているようです
    何十年も読み継がれている向田作品、
    いまさらですが、やはり面白く、そして切ないです

  • 確か中学か高校の現国の試験に出たのだったと思う。
    お父さんが酔っ払って帰ってきて、子供たちにお土産を渡すエピソード。
    妙に印象的で、ずっと覚えていた。
    鮮やかで、面白くて、正に天才的だと思う。
    いつかこんな文章を書きたい。

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著者プロフィール

1929年東京生まれ。放送作家としてラジオ・テレビで活躍。「だいこんの花」「寺内貫太郎一家」等。80年に短篇小説「思い出トランプ」で直木賞を受賞したが、81年飛行機事故で急逝。著書に『父の詫び状』等。

「2022年 『家業とちゃぶ台』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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