新装版 父の詫び状 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
4.08
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本棚登録 : 2296
レビュー : 243
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167277215

作品紹介・あらすじ

宴会帰りの父の赤い顔、母に威張り散らす父の高声、朝の食卓で父が広げた新聞…だれの胸の中にもある父のいる懐かしい家庭の息遣いをユーモアを交じえて見事に描き出し、"真打ち"と絶賛されたエッセイの最高傑作。また、生活人の昭和史としても評価が高い。航空機事故で急逝した著者の第一エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 【私の本棚】女優、エッセイスト・美村里江さん 「父の詫び状」向田邦子 家族の奥まで捉えた観察眼 産經新聞
    https://www.sankei.com/smp/life/news/200801/lif2008010026-s1.html

  • 今の時代には考えられない、厳格で煙ったい父親。思い出が辛くもあり懐かしくもありといったエッセイ。子供心に理不尽な態度を取る父親への反感、母親に感じる不憫な気持ち。
    母親に初めての海外である台湾旅行をプレゼントしたくだりがあり、「どうか落ちないで下さい。どうしても落ちるのだったら帰りにして下さい」と書かれているのを読んで、その後、飛行機事故で亡くなった向田さんの皮肉な運命を感じた。

  • アンソロジーで『昔カレー』は読んだけど、それ以外は初の向田邦子さん。
    唐突にあらぬ方向に話が飛ぶのだが、
    最初は面食らうものの読みにくさが全くなかったのが不思議だった。

    戦前や戦中は『贅沢は敵』だとか『欲しがりません勝つまでは』といった
    世の中全てが我慢を強いられる空気だったと思っていたので
    今の空気感とさほど変わらない、生き生きとした日々が綴られていたことに
    失礼ながら吃驚してしまった。
    人間には限られた中から豊かさを紡ぎ出せる能力があるということに気付かされ、
    モノが溢れているのに豊かさを実感できない自分になんとなく反省。

    殆ど飾りのない、竹を割ったようなストレートな筆致がかっこいいと思った。
    先ずは向田さんのエッセイを先に読破してみたい欲求に駆られた。

    • nejidonさん
      はじめまして。
      向田さんの記事を探しておりました!とっても嬉しいです。
      向田さんは端正な文章で、理知的なところが光る方ですよね。
      お料理の本...
      はじめまして。
      向田さんの記事を探しておりました!とっても嬉しいです。
      向田さんは端正な文章で、理知的なところが光る方ですよね。
      お料理の本も書かれていて、何品か真似して作ったこともあります。

      【欲しがりません、勝つまでは】なんて、ほんの数年間だけのことです(笑)
      それ以外は、しっかりとそれぞれの暮らしを工夫して楽しんでいたんじゃないでしょうか。
      なんて、この眼で見たわけじゃないですが。
      【豊か】という観点だったら、今よりも豊かだったかもしれませんよ。
      また向田さんの作品に出会いましたら、教えてくださいね。
      素敵なレビュー、ありがとうございます!
      2013/07/03
  • 初めて読んだのはもう30年くらい前のことで
    20代から30代のときに、何度も何度も読んだエッセイ
    わたしも知らない、戦前戦後の昭和の時代が生き生きと瑞々しく、
    まるで、向田邦子さんと一緒にお茶の間に座っているようです
    何十年も読み継がれている向田作品、
    いまさらですが、やはり面白く、そして切ないです

  • 確か中学か高校の現国の試験に出たのだったと思う。
    お父さんが酔っ払って帰ってきて、子供たちにお土産を渡すエピソード。
    妙に印象的で、ずっと覚えていた。
    鮮やかで、面白くて、正に天才的だと思う。
    いつかこんな文章を書きたい。

  • 文庫本の裏表紙には「真打ち」と評されていたが、本書は本当にエッセイの傑作。何より、登場人物が生き生きしていて読んでいて楽しい。
    日常の何気ない場面から連想が様々に飛び、それらは一見バラバラで脈絡の無さそうに見えるのだけれども、その実有機的に結び付いている、というのが(解説にもあったが)職人芸の極みだと思う。

    24編のエッセイが収録されていてどれも魅力的なのだが、1番のお気に入りは「お辞儀」。親がお辞儀する姿を見た居心地の悪さ。とてもよくわかる

  • 昭和の時代を生きてきた私には、大正時代生まれた父と、明治時代に生まれた祖父母がいました。
    戦争はもちろん知らないですが、向田さん生きてきた時代は、父母が生きてきた時代と被り、懐かしい昭和の香りが色濃くしてとても懐かしかったです。
    見栄っ張りの父親、意外と度胸があり世間をも敵に回した祖母、お嬢様なのに文句ひとつ言わないで父に仕える母。
    ああ、こんな感じだよね、昭和って。

  • 懐かしい、という言葉はむしろ、当てはまらないかもしれない。それは向田さんの記憶であると同時に、誰かの記憶。向田さんの目であると同時に、誰かの目。誰かが見ていて、誰かが覚えている。

    読んでいて、時代が流れているのだな、ということも感じた。
    細かい感覚が、自分とは微妙に違う。自分が「さらさら」と感じた手触りが、違う世代の人には「つるつる」だと感じられるような、そういう違い。

    例えば、家庭がとても<父親>を立てているなぁ、と思った。そして、はたしてこれを感覚として理解できるのは、どれくらいの世代までなのだろう、とも。
    娘の入学試験の朝、脂汗を流してうんうん唸って心配していた父に対して、「あなたが合格したのはお父さんのおかげよ」「ありがとうございますはどうしたの」と言われるのは今の家庭で感覚で理解できるだろうか。良い悪い、理屈屁理屈ではなく。首をかしげる人もいると思う。

    それはもちろん、個人の感覚の違いでもあるだろう。しかし、それでも理屈でなくそうした細かな「違和感」を私が覚えたのは、向田さんの生きていた時の時間の流れと、今の時代の時間の流れが、やはり違うせいではないかと思う。

    だから……どうしても、彼女の最期に話に向かってしまう。向田さんがもっと長生きしていたら、いったいどのような「記憶」を書いてくれたのだろう、と。

  • 再読。向田さんが航空機事故で亡くなった年に文庫化されている。執筆はその3~5年前。母を香港旅行に送り出した飛行機に「どうぞ落ちないで下さい。どうしても落ちるのだったら帰りにしてください。」と祈っている。澤地久枝さんとペルーに旅行した際、アマゾンに行く直前に現地で墜落事故があり、「同じところで二度つづけて落ちることはないだろう」と飛行機に乗り込み、「非人道的なショック」の揺れとともに着陸している。時を経て読み返すとこういった些細なことが心にひっかかり、どうしてこの人はもういないのだろうかと泣けてくる。

  • 喪中葉書の返事に1円切手を貼りながら、昭和に生まれ平成、令和、手紙が遠くなり、電話も遠くなった気がします。向田邦子さん「父の詫び状」(2006.2、文庫)、24のエッセイが収められています。しみじみ読了しました。「お辞儀」、微笑んだり、しんみりしたり。留守番電話で黒柳徹子さんが「一人連続九通話」されたとかw。お母さんが「お母さんだけどね。そうお。居ないの」とあきらかに腹をたてた内容w。間違い電話で、上品かつたしなみのある内容・・・。そして、お母さんに香港旅行をプレゼントした時「どうか落ちないで下さい。どうしても落ちるのだったら帰りにして下さい」と。

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著者プロフィール

1929年、東京生まれ。脚本家、エッセイスト、小説家。実践女子専門学校国語科卒業後、記者を経て脚本の世界へ。代表作に「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」。1980年、「花の名前」などで第83回直木賞受賞。おもな著書に『父の詫び状』『思い出トランプ』『あ・うん』。1981年、飛行機事故で急逝。

「2020年 『向田邦子ベスト・エッセイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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