大名廃絶録 (文春文庫 な 6-16)

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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167282165

作品紹介・あらすじ

武家にとって御家断絶以上の悲劇はあるだろうか。慶長5年の関ヶ原役以後、徳川幕府によって除封削封された大名家の数は240。理由は世嗣断絶、幕法違反、乱心などさまざまだが、幕府は狙ったら必ず何かを見つけ出した。本書は廃絶の憂目にあった大名家の中から福島正則、本多正純、松平忠直、堀田正信など12の悲史を描く名著。

感想・レビュー・書評

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  • 何気に買ったのだが、それなりに面白かった。小説風の・・・やっぱ歴史小説。(笑)作家だけあってすごく読みやすくわかりやすい。
    福島正則、松平忠輝、本田正純、加藤忠広、徳川忠長といった有名エピソードなど12家の改易物語。親藩4、譜代2、外様6の配分ですね。付録の廃絶大名一覧もなかなか良い。

  • 幕臣の小田彰信が著した「廃絶録」をもとに、12の改易・廃絶した大名をまとめている。

  • 江戸幕府がいかにして大名家を潰したのか、初期から中期、つまり綱吉までの家を使って語っている本。ある意味勝者の傲慢が露骨に出ているためか、土井利勝が悪人に見えたのは新鮮だった。その意味からも、大名廃絶という重大な仕事に関わった彼の有能さが見て取れる。

  • 江戸時代260余年の間に改易・削封された大名の数は240家にものぼる。
    そのりゆうは世嗣断絶・幕法違反・乱心などさまざま。
    本書では御家滅亡の憂き目にあった代表的な12家の大名をあつかっている。
    内容は割と硬派で、取り潰しに至るまでの原因と経過を細かく分析している。
    本書で取り上げた十二家は取り潰しの理由も様々。
    藩主自身の個性や藩の重臣の不手際、そもそも藩主と重臣との不和による内乱などなど。

    特に面白かったのが、会津藩主加藤明成のエピソード。
    若くて藩主の座についた明成。
    家老とそりが合わず家中でいがみ合いが続く。
    家老は普段から明成をバカ殿と蔑んでいたから、遂に城に向けての発砲を置き土産に他国へ退去。

    「武士の面目にかかわる!』と怒ったのがこの若い君主。

    高野山に逃げ込んでいた家老一家をひきずりだして
    処刑するという話。
    戦国の気風が残っているエピソードだけに凄まじかった。
    特にこの家老が処刑されるシーンは印象に残った。


    当日の斬首役は、堀川嘉兵衛。
    本来であれば、家老に顔をあげて物を言う事さえ出来ぬ軽輩。
    この男が処刑される家老の顔色が尋常ではないのを見て、刀を抜いてその目先へ突きつける。

    「只今が最後ぞ、頸が曲がっておるのは見苦しい。しゃんとせい」

    家老は思わずカッとなって
    「推参なり、下郎、言葉が過ぐるぞ」と嘉兵衛の方を顧みようとしたところ、すかさず一刀打ち下ろして頸をはねた。

    後になって同僚から家老に対してなぜ無礼な態度をとったのか?と聞かれて答えたのが、

    「罪人の面色ただならず、死後の害心を現している時は、その憤りを一瞬他に転ぜしめてから斬るのがよいのだ」

    と、言ったというのだからスゴイ。。。。
    首切り役にもいろんなノウハウがあるのだと、感心しました。

  • 20100327戸塚図書館

  • 江戸時代の大名除封減封の数は、除封九十前後、総石高四百二十数万石。減封四家、削地二百二十数万石。あわせて約六百五十万石となる。序章では、徳川幕府の大名廃絶策全般について解説し、次の12の具体例を詳細に説明している。それらの大名は、里見忠義・松平忠輝・福島正則・最上義俊・本多正純・松平忠直・加藤忠広・徳川忠長・生駒高俊・加藤明成・堀田正信・松平光長。

    2007.1.29読了

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著者プロフィール

明治四十一年(一九〇八年)、東京・銀座に生まれる。代々医師の家の生まれ、東京大学法学部、経済学部を卒業。小説家のほかに経済学者の顔を持ち、長く大学で経済学の教鞭をとる。昭和三十一年「燈台鬼」で第三十五回直木賞を受賞。一躍人気作家となり、時代小説、歴史小説を執筆するようになる。デビュー作『出べそ物語』、『子守の殿』(オール読物新人賞)『細香日記』で吉川英治文学賞を受賞。人気シリーズとして「月形兵庫シリーズ」はよく映像化されている。昭和五十四年(一九七九年)死去。

「2023年 『傍若無人剣』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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