松風の家 上 (文春文庫 み 2-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167287047

作品紹介・あらすじ

明治初年、京の茶道宗家後之伴家は衰退し家元も出奔。残された者達は幼き家元を立て、苦難を乗切ろうとする。千利休を祖とする一族の愛憎の歴史を秀麗に描く傑作長篇。(阿川弘之)

感想・レビュー・書評

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  • 始まりは少し、わからないまま読み始め
    グイグイと読み進んで、読了後、また
    始まりを読むと、胸が熱くなった。

  • やはり、力強い女性に惹かれます。
    信念がしっかりしてるというか。
    伴家になってるけど、どう考えても千家のことだから、これは事実なのかなーと想いを馳せながら読みました。

  • 裏千家の極貧時代、今日まで茶道を普及させた家元をはじめ、裏で逞しく家を支え続けた女性たちの話。

  • 初代千利休から十三代続いた後之伴家は、劇的に衰退、そして存続の危機を迎える。由緒正しき一族にはその存続や子孫繁栄の責任があり、その苦難は想像を超える。書き出しから目が離せず、由良子の子供時代から結婚、出産、死別するまでが上巻。あの時代に生きる人たちの、生活の不便やひたむきさ、情が心に訴えた。
    そしてその時由良子は、優しくとても健やかに少女のように生きていた。まだ見ぬ母親を思う場面や、新しく夫となった人に戸惑いながらも素直に心を開いていくところが愛らし。

  • 2016/04/26完讀

    後之伴家(裏千家),經過十一代中興之祖得得斎(從五家過繼而來)。邁入御一新之後大名解體、公家搬遷,學茶者大為減少,十二代養子恭又齋從隅倉家來,不受認可,和妙壽庵的女性生下由良子,最終出奔,在這一代走向急速地衰敗,也只能不斷地變賣祖先的寶物和十二代的的嫁妝以維持體面,後來業躰也都離開。圓諒齋十幾歲就接下這個爛攤子,故事也從他這代開始,他留下妹妹由良子、母親真鏡院猶子,弟弟壽二郎送進大德寺修行,他獨自到東京發展,獲得齋藤中將的協助回京,慢慢開始累積新的門人,也想辦法買回過去的家寶(明日齋的掛軸真的很重要!)。沒想到業躰的統領、由良子丈夫忠心耿耿的不秀居然因為辛苦往返奈良想要回中宮寺贈與的寶物經筒而暴卒。

    **
    現在看到軍容壯盛的裏千家,實在很難想像它們也曾經有這麼衰敗的過去。剛搬來小川通一帶時就曾經騎著腳踏車到千家門口東張西望,書中所出現的大德寺、聚光院、丸太町道具屋等等都覺得親切無比。尤其是山崎妙喜庵,之前去那裏參觀過待庵,是一間很安靜的尼寺,也是這個故事裏很重要的舞台,由良子曾經為了見親生母親一面偷偷搭上火車到那裏,讀完這卷就有很多很多的想像。住在麵包之都,讀這裡的小說真是非常有趣。家元制度血脈相傳,雖然是歷史築成的深厚傳統,但某種程度來說是個殘酷的制度,遇到強勢的當家,其他家人有時好像就是任隨擺佈的棋子,但太弱的話又會被家裏的人電爆,無法服眾,反而無地自容。而這就像君主制一樣,遇到一個糟的當家馬上樹倒猢猻散,每個流派的消長簡直比漲潮退潮還要快。不過在裏面的人,接受自己的命運,並且開出屬於自己的花朵,也是這個制度下的美處。

  • 千利休から代々続く茶道の名家のお話、と聞いて難しい話やったら読み切れるかなーと不安だったけど、主人公の由良子さんの視点で後伴家の歴史を眺めていくという話で、読みやすかった。

  • 千利休の末裔、後之伴家。
    正当な茶道を引き継ぐ家柄でありながら、時代のせいもあり、お家は衰退していくばかり。
    そんな中、十二代目の恭又斎は、まだ十四歳の長男、文吉に家督を譲り早々と隠居、出奔してしまう。
    その出奔した十二代目の恭又斎と外の女性との間に生まれたのがこの物語の主人公、由良子。
    心のより所である父親がいなくなり、養母によって育てられた由良子。
    しかし養母、猶子は気丈な女性で、我が子と分け隔てなく由良子を育てる。
    そして由良子は祖母、鞆子に「この家の観音様になりなさい」と言われる。

    茶道の家元と聞けばツンと取りすましたお金持ちのイメージですが、この後之伴家の若き十三代目は弟子を集めるために自ら頭を下げ、家の再興のために政略結婚までする。
    しかしその政略結婚も思うような成果を上げられず、仕方なく母と妹弟を残し、新境地を拓くため東京へ妻子を連れて出ていく。
    これほどと思う程の貧困暮らし。
    蔵の中の骨董品や金目の物を売って生計を立て、売る物がとうとうなくなるとお手玉をほどいて中の大豆を食べる。
    そして冬は寒くて眠れないので針仕事を続けるような-。
    それでも茶道の正当を継承してきたという誇りから外で働く事も許されない。
    さらには想像以上に厳しい茶の道の修業・・・。
    思っていたのとは全く違う暮らしぶりがここには描かれていました。

    主人公の由良子は祖母から「この家の観音様になりなさい」と言われるほど、素直で優しくおとなしい性格の女性。
    そんな人が貧困にあえぎながらも真っ直ぐに育ち、結婚して自分の出生の秘密を初めて知る事となる。
    上巻はその辺りまででした。
    この由良子と結婚した男性がとても素晴らしい人で、知性と教養がありながらそれを決してひけらかさず、優しく妻をいたわる様子、そしてこの人が十三代目に恥をかかせまいとしたエピソードは見ていて胸がジンときました。
    相変わらず茶道やお道具の描写が素晴らしく読んでいて引き込まれる文章です。

  • 千家にもこんな苦難に満ちた時代があったんだとしみじみ思いました。
    東京から円諒斎が戻ってくる場面はちょっと泣けました。

  • 読み応えがあって面白かったです。
    【家】に縛られて人生をおくっていく様子は、今の時代では薄れつつあるが故に、時代を感じられます。
    誰もが何かを背負って生きている姿に、歯をくいしばって生きている姿に、人間の尊厳を感じました。
    辛いときでもじっと耐えていればやがて光は見えてくるのか、そんな期待をしてしまいます。

  • 読んだことがある気もするけれど、それは姉やお茶の御稽古場で漏れ聞いていたのと、宮尾登美子節のせい?宮尾登美子の本は題材は違えど皆似た印象になる。怖いけれど面白い!お母様が切ない。裏千家がモデルなのはわかるけれどどこまでがフィクションでどこまでが史実なのか知りたい!

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著者プロフィール

1926年高知県生まれ。『櫂』で太宰治賞、『寒椿』で女流文学賞、『一絃の琴』で直木賞、『序の舞』で吉川英治文学賞受賞。おもな著作に『陽暉楼』『錦』など。2014年没。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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