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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167296049
作品紹介・あらすじ
日常生活の狭間にかいま見る妖しの世界——独自の感性と性癖、幻想が醸しだす類いなき宇宙を清冽な文体で描きだした、泉鏡花賞受賞の世評高き連作短篇集。(長部日出雄)
感想・レビュー・書評
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作者と縁のある有名無名の人たちの
エッセーのような物語集
戦中戦後を通しての物語で
悲惨な状況なのに
悲壮感が無くむしろ
明るさを感じた不思議な読後感でした
戦争を通して死が身近にあり
毎日を生きることが精一杯だった当時と比べて
今の社会の方が数十倍も幸せだと思うけれど
当時を生きていた人たちのあっけらかんとした
深刻ぶらない生き方がとても印象に残りました
作者を含め戦争を乗り越えたタフな心身と
ラッキーさを持ち合わせていたからかもしれません
語り手の破天荒さと周囲の人たちの無頓着さに
ニヤニヤしつつも
戦争が終わったとたんに
やがて訪れる自分たちの死からは
解決されていないことを思い出す
といった作者独自の考察が興味深くもありました
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戦中戦後の不気味な感じが伝わる。その時代に生きた人の感じた空気なのか色川さんの感じ方なのか分からないけど。色川さんの個人的なことが書かれてて、こういう生き方もあるのだなと肩の力が抜けた。文章がスルスル流れるようです。
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異形巨躯な相撲取り、白痴の少女、一発屋の歌手、香具師のお婆さんetc...
世間で言う、「一風変わった人物」達を各章で取り上げ、各々のエピソードを色川氏の想像と感性を加えて語られた短編集。
色川武大。
幼き頃に容姿に劣等感を持った事を契機に、以後の人生をずっと劣等感と屈託に彩られた人生を送られたようだ。
人と馴染む事が出来ず、人と競争することも出来ず、人と同じ生き方を選ぶことも出来ず、だから、人と違った独特な生き方をしないと生きて行けないという苦い心情の中をもがき続けた人。
この色川さん、独特な生き方でなければいけないという一心から、
一時はスリになろうともしたような面白い方。
そんな厭世的な特色を持った方だが、この人は心から好感が持てるんです。
苦しくても辛くても、どんなに嫌であれ、どれだけ風変わりだろうとも、頑張って生きていた人。
厭世的な代名詞と言えば太宰治が思い浮かぶが、太宰治の場合はもっと押し付けがましくて可愛げが全く無いのだが、色川さんは、何と言うか健気さが感じられる。
本書で色川さんが取り上げた人物達はみな、
色川さんのように「生きにくい」人生を送った人達。
時に注目を浴び、時に嘲笑われるような人生を送った人達。
そんな人達を色川さんだからこそ分かる心情と優しい眼差しを持って描いた、不思議とホッと心温まる作品。
本当にこの方の作品は、色川さんの人生そのもの、「独特」です。 -
本当に上手い文章って、こういうモノを言うんだろう。
なんたる余韻というか。
色川氏の目を通した様々なインプット&アウトプット、その人間愛や達観に、痺れまくる。
戦後初期の混沌をベースに、そこに生きるニンゲン達の業や哀しさが、色川氏自身の生き様も含め濃縮している。
しかし、こんなにも鋭敏な感性と伍しながら生きた色川氏って、
あまりにも剥き身というか、例えるならば、皮膚さえ削がれていたかのようなクリアさというか鋭敏さであって、
とかく鈍感でこそ凌げる浮世を思えば、それはそれはきっと生き辛かったのではなかろうか、とも思う次第である。
否、だからこそ、アウトローに徹せざるを得なかったのか。
戦後成長から飽和、そして停滞の今こそ、凄まじいリアリティと共に読むヒトに迫り来る最高の随筆といえよう。 -
著名人から著者の身近な人びとにいたるまで、さまざまな人びとの印象と彼らの生きていた時代をえがいた作品です。
著名人では、なみはずれた巨体に恵まれるもかならずしもじゅうぶんに活躍できないままに終わった力士の出羽ヶ嶽、エノケンのライヴァルといえる存在だったがやがて多くの人びとの記憶から抜け落ちていった流行歌手の二村定一、若き日の著者のひいきの選手でプロ野球をしりぞいたあと木暮力三、全盛期が過ぎ去ってもリングに立ちつづけたボクサーのピストン堀口などの人物像が語られています。
一方著者の身近な人物としては、戦前の露店で南京豆を打っていた老婆や、学校をさぼって浅草を徘徊していた著者が出会ったタップ・ダンサーをめざしていた少年、「インサイダー」としての素質をもっていた旧制中学のころの同級生、そして著者と一度も対面することはなかった著者とそっくりの風貌の男などが登場します。
とりあげられている人物の多くは、不器用なしかたで人生を送っており、実生活上では著者自身がかならずしもウマがあう人びとばかりではないものの、やさしさを感じられるまなざしで彼らのすがたがえがき出されているのが印象的です。 -
戦前の活況、戦中の焼け野原、戦後の闇市の風景が広がってくる。
小説なのかエッセイなのか、つまりはフィクションなのか事実なのか、恐らく両者が入り混じったものなのだろう。
麻雀放浪記のような破滅的なものではないが、描かれる風景は同じ印象で、狂人日記を思わせる死者との邂逅もあった。
こういった情景を理解できる世代も減っていくのだろうなと寂しくも思う。
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サバ折り文ちゃん出羽ヶ嶽文治郎のこと。文ちゃんの気持ちに寄り添っていて、焼き鳥文ちゃんに行きたかったなぁと
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色川武大の視線は優しさにあふれている。
本人の写真からもそれが滲んでいる。
生きにくさを感じている人は一読すると価値観が変わるかもしれない。
「怪しい来客簿」の時代は戦後の混乱期或いはその名残の時代のもので、生きていくのに各人の「地」がより試された頃。色川武大はそこで日々を必死に生きる人々を深い洞察力と暖かい目で見事に描いている。
どうにもうまくいかない、器用に生きれない自分と重ね合わせながら読める。
引き込まれるエピソードや個性的な人間模様、色川武大の社会に対する視線に触れたりする中で、どこかいまの自分もそれでいいのかもしれないと、そんな感じに自分の背中をおしてくれるような気持ちになった。
また戦前の空気感とともに、戦後間もない頃の混沌としたなかで新たな社会がつくられていく日本の当時の様相に、どこか不思議な羨ましさを覚えた自分がいた。同時に死がいまよりもずっと身近であったことも感じた。
中でも印象的だったのが、『右向け右』等のほか、『サバ折り文ちゃん』のエピソードだった。
一見順調に見える人も含め、皆どこかで折合いをつけて日々を凌いでいる、とこの本を紹介してくれた方は話していた。 -
戦前から戦後付近の時代の仄暗い、そして猥雑な感じが目の奥に見えるような本だった。
その時代に実際にいた人、有名だった人などを筆者の独特な目線にてその数奇な運命や生き様を静かに物語っていて、心がざわつきながら時にゾクっとしたりして惹かれる内容だった。
わたしは昭和のまぁ、終わりの方の生まれだが、子供の頃にはまだそういう昔の時代の仄暗さや猥雑さの残り香みたいなものが残っていて、「あぁ、こういう人、時々いたよな…」と妙な懐かしさも覚えてしまった。 -
語り手も語り手以外の人物たちも、世界にうまくはまり込めない人たち。疲れ切って学校をずる休みしていたときの感情が甦ってしまい、読むのが苦しかった。高校を卒業して何十年もたっているのに、忘れられないものだ。
描写にどん底暮らしを経験した者ならではの非情さがあり、一文一文句点にたどり着くまで気が抜けない。読む体力があるうちに読むべき本。 -
文学
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泉鏡花賞受賞作。「空襲のあと」 8回も9回も空襲で焼け出された婆さん。「墓」 亡くなった叔父が頻々と私のところを訪ねてくるようになった。等が良かった。川上弘美の『<a href=\"http://mediamarker.net/u/nonbe/?asin=4122041058\" target=\"_blank\">あるようなないような</a>』で知って、興味を持ったので購入。次は<a href=\"http://mediamarker.net/u/nonbe/?asin=4061960830\" target=\"_blank\">田紳有楽;空気頭</a>を買ってみよう。色川さんので「狂人日記」も読みたいのだが、amazonにない。残念。[private]諫早に持ち帰る2007/1/1[/private]
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別名で書いた麻雀放浪記は読んでいたが、本作は町田康の書評で興味を持った。短編集であるが、小説と言うべきか、実際の自分の身辺の経験に基づいているように見える。町田康も評するように、著者の冷徹で率直な視線がただものならぬ感じであり、ただのエッセーという気がしない。自分の周辺の「怪しい来客」を描きながら、彼らを見つめる視線が逆に著者本人の輪郭を描き出していくさまは、最近読んだ須賀敦子のエッセーに近いと思ってしまった。
力士や教師をシビアに見つめた「サバ折り文ちゃん」、「右むけ右」。タイトルの一言に友人の人生を集約していて思わず吹いてしまった「したいことはできなくて」。ドサ健を思わせる登場人物の「タップダンス」。年を食った著者の現況にて締める「たすけておくれ」などなど傑作多数。 -
ここに登場するのは、少し変わった(いやいや、かなり変わった)人々であり、人生の落伍者であり、異常を来たした人々である。
生きるのが下手な人々、どうやって生きていけばいいのかわからない人々、と言い換えてもいいかもしれない。
そんな人間に向けられる著者の視線のなんと暖かいことか。
人とどうやって関わり、人の中でどうやって生きていくか。
著者なりの視線でとらえた、僕の心に残った一節がこれ。
『私たちはお互いに、助け合うことはできない。許しあうことができるだけだ。そこで生きている以上、お互いにどれほど寛大になってもなりすぎることはないのである』
そうなのかも知れない。 -
小説というよりエッセイのような連作集。戦前戦後の、身近にいたちょっと変な人、友達や家族、先生などの他、相撲取りや野球選手、ボクサーといったスポーツ選手から、浅草の芸人、ダンサー、歌手など、思い出の人物を中心に綴った雑感みたいな。 昭和初期の空気が克明に記録されているという部分で貴重な文献な気がする。10代の頃の親友の話「門の前の青春」や、死んだ叔父さんが来訪したりする「見えない来客」が好きだった。
※収録作品
空襲のあと/尻の穴から槍が/サバ折り文ちゃん/したいことはできなくて/右むけ右/門の前の青春/名なしのごんべえ/砂漠に陽は落ちて/とんがれ とんがり とんがる/ふうふう、ふうふう/タップダンス/見えない来客/墓/月は東に日は西に/スリー、フォー、ファイブ、テン/また、電話する/たすけておくれ -
うむ。先に読んだ話とずいぶんイメージが違うのは、話が戦後のことだからかなと思う。ほんと滅茶苦茶な時代だったんだな。最後の手術録は圧巻。
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霊感もあるんだ・・・・
色川武大の作品
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感想 :

レビューを読みながら
そうそうそうなんですよ、と感じました
的確な言葉選びで共感度が爆上がりでした笑
レビューを読みながら
そうそうそうなんですよ、と感じました
的確な言葉選びで共感度が爆上がりでした笑