サイダーハウス・ルール 上 (文春文庫 ア-7-1)

  • 文藝春秋 (1996年1月1日発売)
3.84
  • (68)
  • (53)
  • (93)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 592
感想 : 41
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (544ページ) / ISBN・EAN: 9784167309640

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

テーマは、1930年代のアメリカにおける堕胎問題と孤児たちの成長を描いた物語で、主人公ホーマー・ウェルズが医師ラーチと共に複雑な人間関係や社会の矛盾に向き合いながら成長していく姿が印象的です。ラーチは...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  1930年代のアメリカ・メイン州で、性的虐待や売春などによって望まぬ妊娠をした女性を救おうと決意し、違法行為である堕胎を行う産科医のウィルバー・ラーチ。彼は中絶をしない、またはできない女性の子どもは出産後に引き取り、自らが院長を務めるセント・クラウズ孤児院で惜しみない愛情を注いで育てていた。
     本書の主人公は孤児院で最年長の男子ホーマー・ウェルズで、15歳頃からラーチ先生の片腕として分娩室の手伝いを始める。医学的知識も徐々に身につき、堕胎とは何なのかを次第に理解していくホーマー。だが彼は中絶する女性よりもむしろ孤独な出産に臨む妊婦に寄り添うようになる。
     そんな折、未婚の美男美女のカップル・ウォリーとキャンディが堕胎のためにセント・クラウズを訪れ、幼い孤児たちは彼らの養子になりたいと沸き立つ。ウォリーはリンゴ農園の経営者の息子で、同じ年頃のホーマーに興味を持ち、家へ来ないかと誘う。外の世界を見たことがないホーマーは、ラーチ先生の許しを得て20歳手前にして初めて巣立ちの時を迎える。

     ドクター・ラーチが聖人君子ではなく、日々の業務に追われるちょっと怒りっぽい普通の老医師として描かれていて、とても親しみが湧く。その崇高な使命と性にまつわるあけすけでどぎつい描写の対比がいい。ジョン・アーヴィングの文章は言葉の端々まで皮肉たっぷりで思わず笑ってしまうし、登場人物一人一人にリアリティーがあり作者が彼らをこよなく愛しているのが伝わってくる。
     特に、無邪気にいつか誰かが自分をもらってくれるに違いないと期待している孤児たちのいじらしさがたまらなくかわいい。毎晩寝る前にホーマーが子どもたちに本を読んでやり、ラーチ先生が「おやすみ、メインの王子たち!ニューイングランドの王たちよ!」と呼びかける場面に心が温かくなる。

  • 皆に愛される孤児、ホーマー。
    戦争が迫る中、ついにセントクラウズを離れて生活することに。
    下巻を早く読みたいが、長い、、

  • 孤児ホーマーを中心に、またもや奇想天外な物語が始まった。孤児院長ラーチは産婦人科医。堕胎が禁止されていた時代に、推進派だった。相変わらずの長編ドタバタで、これからどうなるのだろう。老いもテーマの一つか。

  • ●2025年5月11日、吉祥寺・外口書店で見つけた「不安に克つ思考」をメルカリで300円で出品して人がほかに出してる本。これの下巻が300円であった。

  • 堕胎のシーンなど辛いが今も昔も変わらないかも。
    孤児院で読み聞かせされているのがディケンズなのがとっても良い。

  • 映画版には出ていない登場人物メロニーのキャラクターが素敵すぎます。

  • 孤児院で育った主人公。孤児院で堕胎を施す父のような存在の医師に反発して新たな地へと身を預ける。人間の生と社会を捉えると同時に傷を負った少年少女の成長から人生を考えさせられる。どのように話は展開するのだろう?

  •  第二次大戦直前のアメリカ。孤児院で育ったホーマーは孤児院の長であるラーチ医師から医療技術を伝授される。しかし堕胎に反対するホーマーは孤児院を離れりんご農園で働くことを選ぶ。

     何かを求めて外に出て色んなものを得るんだけど、最後は人の為に生きる為に元の場所に戻っていく。
     この物語の中にはいくつもの重要なルール破り(嘘)があるんだけど、それらが最後にうまく落ち着くところに落ち着く。そのカタルシスは見事。
     人生の最も大事なルールは誰かの為に生きる、自分が生きている意味を見つけることなのだと思う。

     「オウエンの為に祈りを」と同じく、映画版は数年にストーリーを凝縮し、小説版は何十年の時の流れの中で人生を通してストーリーが語られている。どちらも映画でまず興味を持って、小説版でじっくりその世界に浸かるのがいい楽しみ方。

  • まだ前半しか読んでいないので、途中までの感想。
    アーヴィングの作品を読むのは三作目だけど、やっぱりいつもの構成だった。この上巻のほとんどが主人公とその周りのキャラ固め等の土台作りに当てられていて、タイトルにも出ている主要な舞台のはずの「サイダーハウス」の登場は四百ページを過ぎてからだ。
    もっとも、いつも通り文章にパワーがみなぎっているのでそこまで読むのが苦であるわけではない。ただ、「ガープの世界」や「ホテル・ニューハンプシャー」と比べると舞台や小道具、キャラクター等が地味な分、前二作ほど興味がそそられない。熊もまだ出てないし。
    とはいえ、下巻を今ちょっと開いた所思うの他「早く読みたい」とワクワクしたので、心はガッチリと捉えられてしまったよう。
    下巻は9月中に読み終わりたい。

  • いつも思うけど、ジョン・アーヴィングのレビューってまず書けない。
    でもこれぞアメリカって感じ。
    先進的なニューヨークでも、多人種の混じる危ない裏通りでもなく、ほんとのアメリカ(って知らんけど)。

  • これからもずっと一番好きな本だと思う。

  • 生きていくには「ルール」がいっぱいあるんだよ。

    大事なルールはね、「役に立つ」ってこと。

    ほんとかな?

    堕胎は人殺しかな?それとも誰かの役に立つことことかな?

    読んでみて。長くて面倒だったら映画でもいいよ。

  • 簡単にいえば、孤児院で育った少年が自立しててゆく過程で、それぞれの集団に暗黙としてあるルールを見極め認め、やがて自分のルールを見出してゆく物語です。
    が!そんな単純なものではありません。一方の正義は他方の正義ではありえず、机上の倫理は現実の前にはただの夢想でしかないようです。
    舞台は主に孤児院と季節労働者のいるリンゴ園です。差別あり堕胎ありDVありと、大変シビアで暗い設定にもかかわらず、ユーモアにあふれ、読後得も言われぬ爽快感に浸れます。
    映画化もされていますが、断然小説を読まれるのをお薦めします。

  • 【概要】
    孤児・ホーマー・ウェルズはセント・クラウズの孤児院で、産科医でもあり堕胎医でもあるラーチや看護婦アンジェラ、エドナに愛されながら育つ。父親代わりのラーチはホーマーに自分の跡を継いで貰いたいと思っているが、ホーマーは医者にはなりたくない。そして、ホーマーは孤児院を出て、オーシャン・ビューというりんご園で働くようになる。20世紀前半のアメリカを舞台にした孤児の成長物語。


    【感想】
    『ガープの世界』や『ホテル・ニューハンプシャー』のような軽妙さが影を潜め、作中で取り上げられているようなディケンズの作品のような趣がある。多彩なテーマ(妊娠中絶・堕胎は大きなテーマのひとつ)が織り込まれているけれど、典型的な少年の成長小説。

    もっとも、余計な一言(?)は健在。例えば、ホーマーがラーチと間違えて、駅長の死体に対して「大好きだ」と伝える場面で、「駅長が人から『大好きだ』と言われたのはこれが初めてだとは、ホーマーには思いも及ばなかった(P336)」という一文。思わず笑ったしまったけれど、たった一文で惨めな男であることが明らかにされる。名前もついていない脇役に過ぎないのに。

    孤児院のことは詳しくは知らないけれど、「孤児院というのは捨ててかえりみられないものときまっているんじゃないのか?(P512)」という考え方は新鮮だった。ホーマーは孤児院を出たあと、父のような存在であるラーチを誰よりも愛していることを気づくが、セント・クラウズには帰りたいとは思わない。日本でもこのような思想なのだろうか?

  • ずっと好きな本です

    この上下二冊を読んでいる間は自分も違う世界に生きているような気になっていて気持ちが良かった

  •  アーヴィングは初読。

     始めは、結構分厚い本で、しかも上下か! こんなにびっちり改行なしで書いてあるのか!って思ったのに、上善水如とでもいうように、詰まることなく読める。
     物語が何処へ行くのかサッパリ予想がつかないながらも、孤児ホーマーが成長して息子が育つところまでを、彼の隣で眺めているような気分のうちに、どんどん引き込まれて読み終わってしまった。
     ラーチ先生が好き。

     ものすごく、どきりとしたシーンがあったんだが、何処だったか……
     メロニィが、ホーマーに再会したときだったかな。大した意味があるように思えなかったんだが、あとから考えたら、すごく恐ろしかったのは何処だったろう。
     今度ちょっと再読した方がいいかな。あとがきを読めば思い出しそうな気がする。
     堕胎の合法と非合法、よりも、なんだったかなあ。

  • 孤児と胎児の話。

    ドクター・ラーチはセント・クラウズで孤児ホーマー・ウェルズに胎児の手伝いをさせる。

    ホーマーは胎児に関して反感を持ち、果樹園で働く決意をする。。。

    “胎児、孤児”や“ウォリーとキャンディーとホーマーの三角関係”や“近親相姦”など複雑な問題が盛り沢山。

    最後はメロニィーのホーマーへの思いに感動した。

  • 彼は全ての子供達の父親であり、私の歩む先には必ず彼がいる。と思った12歳の夏。それは今もあまり変わらないと思う。

  • 映画も原作も大好き!人の役にたつ人間ってなんだろう?ものごとの正しさって一体どうやって誰が決めるの?などなど深く考えさせられる作品です。重いテーマを扱っているけれど、様々な形の愛情がここにはあります。迷った時に手にとる一冊。

  • 091014(m 091223)
    100309(n 100528)

全38件中 1 - 20件を表示

真野明裕の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×