分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか 精神と物質 (文春文庫)

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レビュー : 62
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167330033

作品紹介・あらすじ

20世紀後半になって分子生物学は飛躍的な発展をとげ、いずれは生命現象のすべてが物質レベルで説明がつくようになるだろうとの予測すらある。その中で100年に1度という利根川進のノーベル賞論文はどのような意味をもつのか。立花隆が20時間に及ぶ徹底インタビューで、私たちを興趣あふれる最先端生命科学の世界にいざなう。

感想・レビュー・書評

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  • 分子生物学を学ぶ上で非常に役立つ情報が多かった。分子生物学の発展の歴史、研究者としての心構え、実験の原理なども一般向けに簡単に書かれていて良かった。何気なく僕が利用している技術が多くの人の知恵によりもたらされたものであるということには、ただ頭を下げるのみである。

  • 2001年に、この本と出逢わなかったら、今の自分はない。それくらい大きな存在である。
    書いてある内容そのものよりも、その背景にある信念が当時の自分にインパクトがあった。

  • 利根川さんの研究の歴史が分かるのはもちろん、現代では当たり前となっているような技術が当時どれほど革新的だったかがリアリティを持って書かれていた、それにより、70年代の分子生物学の歴史の概観が理解できた。

    76年のハーバー研究所でのシンポジウムのシーンでは、科学で成果を成し遂げた時の高揚感がひしひしと伝わってきて、胸が高鳴った。

    追記となるが利根川さんはかなり自己愛が強い人のように感じた。

  • 利根川先生の研究の歩みはもちろん、と分子生物学の技術的な発展の歴史がよくわかる本。
    大学の講義で技術的な方法について座学で学んだことはあったが、どのように優れているかはぴんときていなかったが、利根川先生の苦労話を読んでよく理解できた。
    そして、探求したいテーマについて今ある技術でどう解決するかというのを徹底的に考え抜いた結果がノーベル賞につながったのだと思うし、見習いたい点である。

  • 生物学を志す学生にとっては必読書。フロントランナーの思考回路を垣間見ることができる。

  • 研究者として参考になる本だった。
    ポジティブに
    アメリカというか本場にいきたいと思う

  • この本は、利根川先生が1987年にノーベル生理学・医学賞を受賞した後で、ジャーナリストの立花氏が利根川先生に受賞対象である「抗体の多様性生成の遺伝学的原理の解明の研究」についての詳しいインタビューを行い、その内容をまとめたものだ。

    なので、書いてあるのは利根川先生の学歴や研究経歴、 受賞対象研究を選択するまでの経緯と、対象研究についての一般向けのわかりやすく、かつ十分に詳しい説明である。内容的にはそれだけなんだけど、生命現象に興味を持つ人ならきっと誰でも楽しめるであろう読み物となっている。

    私も生命現象に興味を持つ一人として、今まで色々と生物学関連の本は読んできたし放大で学んだりしてきたつもりで、 遺伝子のしくみなんかもそれなりに知ってるつもりでいたけど、正直言ってこの本のメインテーマである「抗原−抗体システム」について、ほとんど何の知識も持っていなかったことに、本書を読んで気づかされた。

    私自身はDNA関連の基礎知識等はあるので読むのに難しい部分は少なかったが、まるで知識のない人でも読むことができるよう、立花氏が各用語についていちいち解説文や図解を入れているので、特に読むのに困ることはないと思う。
    利根川先生の研究自体がDNA研究の全体的な発展の歴史に沿うような流れで進んできたという事も、この本を読むと理解できる。

    DNAの解析技術についても、教科書では「クローニング」や「組込み」等の簡単に書いてあることが、実際は色々な人達の研究の積み上げがあってできるようになったんだなと、その部分には感動した。今では専用の機械にポイっと放りこんで、PCで画像処理して見る感じだろうか?
    初版が1993年で20年以上も前になるので、現代の知識だとここはこうだよな、と思う部分も出てくる。でもそれは内容のレベルには影響しないと思う。

    本書で説明されるのは「免疫の抗体反応が遺伝子レベルでどのようになっているのか」という研究。簡単にいえばそれだけで、本のタイトルにあるような精神と物質についての深遠な哲学的な話はないし、精神と物質の関係を科学的に解明するような話もない。そもそも遺伝子解析や分子生物学が初刊当時よりさらに発展した現代ですら、そんな解明なんてまだまだ遠い先の話、だと思う。

    それでも、このようなノーベル賞級の重要な研究や周辺の様々な研究、技術開発、人々の知見などが積み重なっていくことによって科学の1分野が発展していくさまを、その最前線でけん引した利根川先生のインタビューで追体験したような気分になれるのは、とてもワクワクできて楽しい。

  • 利根川進氏の本。私が好きな彼の言葉に「一人の科学者の一生の研究時間なんてごく限られている。研究テーマなんてごまんとある。」がある。ちょっと面白いくらいのことにうつつを抜かしてたら、一生なんてあっという間。そんな彼の研究に対する考え方に触れられる1冊。

    【本来ないものは発見できない】
    「Q.研究にはなんでそんなに時間がかかるのか?」
    「まず何より間違った実験をやるから。研究なんて、大部分は間違ったことをやっているんです。実験は失敗の連続です。下手すると2年も3年も間違った方向へ進んでします。中には一生間違った方向に向きっぱなしという人もいる。結局、なにものをいくら一生懸命探しても、絶対ないんですよ。」

    「Q.どうすれば間違った方向にいかずに済みますか?」
    「注意深い思考はもちろん必要だけど、良く考えれば分かるというものでもない。頭が良ければ分かるわけでもない。結局、運とセンスだろうね。」

    とやや突き放した様な言い方をするけれど、こんなことも言っている。

    「大切なのは、熱心にモノをみる、考えるということですね。一週間かけてやった実験が失敗とするでしょう、そしたら、その一週間無駄にしたくないから、転んでも藁ぐらいつかみたいと思って、一生懸命見るわけ。なんでこれが失敗したんだろうと、考えて考え抜く。観察と考察にかける集中力ね。これが大事なんです。」

    【大切なことは確信を持てるか】
    「サイエンスというのは細かいことをほじくり出したら研究対象なんていくらでもあるわけです。だけどその大半は、そういったら言い過ぎかもしれないけれど、どうでもいいことなんですね。だけど、大半の学者は、何が本質的に重要で何が重要でないかの見分けがつかないから、どうでもいいことを追いかけて一生を終えているわけです。彼らはサイエンティストを自称して、サイエンスを飯の種にしているけれど、サイエンス側から見たら、いてもいなくても関係ない人たちなんですよ。」

    痛烈だが、これはビジネス側にしても同じことが言える。大したことない仕事を大したことある様に、自分の領域を侵されない様に必死に守っている人をたくさん見るなぁ、と。

    「サイエンスでは確信することが一番大切なんです。自分が確信していることなら、いつかみんなを確信させられます。ただ、人によっては簡単になんでも確信してしまう人がいるけれどあれは駄目。自分自身に何度も何度も本当にそうなんだろうか、絶対間違いないんだろうか、と問い直して、いやこれで絶対に間違いないと時間をかけて、徹底的に問い詰めた上での確信ね。」

    一つ言えるのは自分の頭でちぎれるくらいに考えること。そのために必要なのは熱心さと考えるための仕組みづくりの大切さをこの本か受け取った。
    仕事した結果得られる成果の本質を見つめて、今日より明日に、よりよい価値を創造していきたい。

  • サイエンス

  • なぜ買ったか忘れたが、立花隆の調べものをしていたときに買った気がする。

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著者プロフィール

1940年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、文藝春秋入社。66年退社し、東京大学文学部哲学科に学士入学。その後ジャーナリストとして活躍。
74年、『文藝春秋』誌に「田中角栄研究 その金脈と人脈」を発表。79年『日本共産党の研究』で第1回講談社ノンフィクション賞受賞。83年、第31回菊池寛賞、98年第1回司馬遼太郎賞を受賞。
著書に『中核vs革マル』『宇宙からの帰還』『「知」のソフトウェア』『サル学の現在』『臨死体験』『ぼくはこんな本を読んできた』『天皇と東大』など多数。

「2020年 『自分史の書き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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