豪華列車はケープタウン行 (文春文庫 み 6-6)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167331061

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  • 世界の電車に乗りまくりの短編集
    ・台湾一周。
    ・ベトナムのハノイ?ホーチミン寝台列車の旅
    ・南アフリカのブルートレイン
    ・電車は関係ないブラジル旅行
    ・マレー半島のE&O急行
    最後のが一番興味あるな。
    まだあるんだろうか。

  • おそらく宮脇氏最後の海外鉄道紀行と思はれます。国内を含めても、この後は廃線跡紀行とか、歴史紀行を残すのみなので、純粋な鉄道紀行としては最晩年の作品でせう。さう思ふと、じつくりと惜しむやうに読みたいものです。

    収められたのは「台湾一周、全線開通」「ヴェトナム縦断列車、二泊三日」「豪華列車はケープタウン行」「ブラジル・ツアー日誌」「マレー半島のE&O急行」の五編。このうち「ブラジル」のみは宮脇氏自弁で参加のツアーであります。世界各地を訪れたが、ブラジルのみ未訪であるのが気にかかり、丁度いいツアー企画があつたので、夫妻で参加したといふことです。ゆゑに、この一遍のみは観光ツアーで、鉄道紀行ではありません。

    あとがきにもありますが、これら訪問国は途上国が中心で治安が悪い国が多い。宮脇氏も年齢を重ね、健康上の理由もあつて一人旅の自信がなかつたさうです。それで文藝春秋の編集者に同行してもらひ、夜は安全な宿に泊まる。危険が少ない分、旅に起伏が乏しくなる。そこを筆力で面白い読み物にするのが我らが宮脇氏であります。

    以前わたくしは、宮脇氏の著作は古いものほど面白いと述べたことがありますが、晩年のそれがツマラヌといふ訳ではありません。
    確かに諧謔調は薄くなり、重複表現が目立つなどはあります。宮脇氏が最重要視してゐた「推敲」に手が回らなかつたのか。しかしそれは最初期の奇跡的な傑作群と比較すれば、の話で、並の紀行作家の作品以上の水準であると申せませう。

    ブラジルツアーで悪性の菌が入り、帰国後入院を余儀なくされた宮脇氏。これが原因で一気に体力を落とし、その後の執筆活動に大きな影響を与へました。それを考へると、本書を読みながら悲しくもあります。
    デハ今日はこんなところで。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-678.html

  • 15/06/12、ブックオフで購入。

  • 南アのブルートレイン:プレトリア-ヨハネスブルグ-ケープタウン間1600km、27時間、1泊2日で結ぶ豪華寝台列車でギネスにも「世界一の豪華列車(16両編成)」、運航は毎日ではなく観光シーズンの12月、1月でも週3、シーズンオフの6、7月は1本程度。アパルトヘイト時代には非白人は乗れなかった。Aタイプスイート(1室のみ)は1年前から予約殺到で取れない。南ア鉄道の軌間は日本の在来線と同じ。運賃はAタイプ=約76000円(南ア1カ月の平均所得に匹敵)。途中キンバリーなどの小トリップ有

  • 「台湾一周」、「ヴェトナム縦断」、「南ア豪華列車」、「マレー半島E&O」、(ブラジルツアー)を収録。最初の2つの鉄路旅は、これまでとほぼ同様の宮脇スタイル。旅の方法も、添乗者を付けること以外は概ねオーソドックス。一方、後半の2つは、随分と豪華なもの。鉄道好きとしては、やや複雑な気分になる。それは乗ってみたいけれど、これってやっぱり鉄道旅なんだろうかと。南アの豪華列車は1泊2日、3食の食事と、お酒もついて76,000円。マレー半島E&Oは、2泊3日食事付きで200,000円。どちらかを選ぶなら、南アかな。

  • 薄いのですぐ読める。アジア、アフリカ、南米とどちらかと言えばローカル色の濃い地域の旅行記。鉄道に乗らない話があったのと奥さん連れの話が多いのが意外だった。表題作のブルートレイン乗車記は南アフリカ滞在記としても貴重だろう。読んで初めて気がついたが確かに喜望峰と言う訳は少しおかしい。

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著者プロフィール

宮脇俊三
一九二六年埼玉県生まれ。四五年、東京帝国大学理学部地質学科に入学。五一年、東京大学文学部西洋史学科卒業、中央公論社入社。『中央公論』『婦人公論』編集長などを歴任。七八年、中央公論社を退職、『時刻表2万キロ』で作家デビュー。八五年、『殺意の風景』で第十三回泉鏡花文学賞受賞。九九年、第四十七回菊池寛賞受賞。二〇〇三年、死去。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。

「2023年 『時刻表昭和史 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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