- 文藝春秋 (2013年8月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167347048
作品紹介・あらすじ
何故、どこで、どう間違ってしまったのか
北国で、それぞれに屈託を持つ母親に育てられた雅美とちひろ。無意識のうちに家族への憎悪を身に宿した彼女らの陰惨な獣の如き人生。
みんなの感想まとめ
テーマは、戦後日本における女性たちの人生とその影響を描いた作品であり、母親たちの選択が娘たちに与える影響を鋭く掘り下げています。物語は、経済成長期に育った二組の母娘の生活を通じて、彼女たちの心の奥に潜...
感想・レビュー・書評
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千尋と雅美、二人とも全然考えない子供なんだよねえ。だから親の価値観そのまま受け入れちゃって。その場の環境に流されて。
無気力な女の子の転落物語。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
二つの事件を題材に、戦後日本の歩みと、親子二つの世代にわたる四人の女性たちの人生をえがいた作品です。
同級生だった栗下正子(くりもと・まさこ)と畔崎直子(くろさき・なおこ)は、戦後の経済成長期に少女時代を送り、それぞれの人生を送ります。やがて二人は結婚し、事務用品のレンタルとリースを営む大川孝輔(おおかわ・こうすけ)と結婚した直子は、娘の大川ちひろを生み、他方運送会社を営む田村義男(たむら・よしお)と結婚した正子は、娘の田村雅美を育てます。二人の娘たちはバブルの崩壊する日本社会のなかで自分自身の居場所を見いだすことができず、運命に流されていくことになります。
もちろん本書は小説なのですが、著者の戦後日本の歴史の見方、あるいは、現代の日本における女性たちの問題についての著者の考えが、本作の下敷きになっており、前者にかんしては「貧乏は正しい!」シリーズ(全5巻、小学館文庫)、後者にかんしては『貞女への道』(河出文庫、ちくま文庫)などに通じるものがあるように思います。著者の考えが四人の人物に具体化されていておもしろく読むことができましたが、小説としてはこうした読み方はあまり適切ではないのかもしれません。また、著者の思想を示すことに重点が置かれていて、すこし図式的な印象もありますが、あつかわれているテーマ自体は興味深いものだと感じました。 -
「橋」は2人の女の一代記だ。
「2人の女」と言ってもその二人に接点はほとんどなく、物語の終盤で明らかになる、「あることをした」という共通点があるにすぎない(そして母親同士が同級生だということ)。
内田樹が橋本治のことを「説明のうまい作家3選」(ちなみに他2人は村上春樹と三島由紀夫)に挙げていたが、橋本治は本当に説明がうまい。情景がパッと、いやパッとどころじゃなく、バババババーっと頭に浮かんでくる。一瞬で。だから、登場人物が最後までのっぺらぼうだった(ということが私にはよくある)ということは絶対にない。ディティール重視。大好き。
2人の女の子が生まれる少し前から「あることをする」までが、時間軸にそって語られている話なのだが、私が度肝をぬかれたのは、前半の「小学生たちの心理」の描写だ。
バカな小学生の言動、女子にちょっかいを出す男子、みんなに疎まれるようなことをするクラスメイト、「からかい以上いじめ未満」に参加する子供たち、など、あらゆる謎めいた子供たちの行いの原動力となっているその心理を「解剖」し、どんな精神状態でそのような行為をするに至ったのか、そこにはどんな感情が存在しているのか、そういうことを詳しく「説明」してある。もちろん、それは小学生時代に限ったことではなく、全編とおしてなのだけれども、私は特に、描かれた小学生の心のゆがみにはっとした。
この作品は、ネタバレをすると致命的に面白さがなくなると思うので、詳しい内容は書かないが、そこらのミステリーなんかよりもずっと手に汗握るし、エキサイティングな気持ちになれる。そして、「悪意のない人々」が「真面目に日常生活を送った」結果、絶望へ突き進んでいくという展開が涙無しでは語れない。なんというか、人生における自分の無力さを思い知らされると同時に、「ただ漫然と生きる」ことへの警告を作者が発しているように思えた。
感情にまかせていると、とんでもない結末が待っている。真面目に生きるだけじゃだめだ、ちゃんと考えろ、考えて生きろ、理性を持て!
橋本治は、恐ろしいほど頭の良い人間だから、「流されて生きる」人間に対してフラストレーションを抱いていてもおかしくはないだろう。ただ、きっと彼が「考えろ」と言っていたのは(そもそもそんなこと言ってないかもしれないけど)、「人の気持ち」に尽きると思う。各人がどんなに一生懸命「考えて生きた」としても、それが自己完結あるいは自分の身の回りのことだけにとどまっていれば、結末は同じだと思う。
私はこの結末について、「思いやりの欠如」の結果だという感想をもった。「誰が」とかではなく「みんなが」だ。登場人物の心理描写が精緻であるがゆえ、そいういう「思いやりの欠如」が浮き彫りにされて、私みたいなぼけっとした読者にもそれを印象づけることができたんだろうなあ。すごい作家だな。 -
橋本治は久しぶりに読んだ。生まれ育った環境は人格形成においてとても大きく影響すると思っていたが、時代、というかその時々の空気によって同じ体験でも感じ方が違ってくることの怖さをひしひしと感じた。子育てにおいても自分の時はこうだった、とそのまま当てはめてもうまくいかないのはこういうことだったかと改めて思う。
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【何故、どこで、どう間違ってしまったのか】北国で、それぞれに屈託を持つ母親に育てられた雅美とちひろ。無意識のうちに家族への憎悪を身に宿した彼女らの陰惨な獣の如き人生。
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昭和の終わりや平成の始まり、バブル期のことが書かれていてあまりピンときませんでした。幼いころから寂しい思いの積み重ねでどこか間違えてしまったのかな。忙しいことを理由に娘にあまり構わない親たち。んー、よくわからない話でした。幼いときに娘が少し不憫でした。
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この位の育てられ方をした人って世の中いっぱいいるよねぇ
...... という怖さか‼( ̄◇ ̄;) -
雅美はかつて東北であった事件を下敷きにしているのか...。そこに来るとは思いがけず、読後感は怖かった。また、深く考えさせられた。
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リアル…。いたたまれないほど。「桃尻娘」とか「ふしぎとぼくらは…」もそう感じた。この先、何回も読み直すことになるだろうと予感。
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