新装版 青が散る (上) (文春文庫) (文春文庫 み 3-22)
- 文藝春秋 (2007年5月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167348229
感想・レビュー・書評
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初めて読んだ宮本輝の青春小説。
大阪に住む椎名燎平は大学の入学手続きの場で、佐野夏子という女性と運命的な出会いをし、一目惚れする。同じ新入生の金子に無理やりテニス部に入部させられた燎平は、夏子や金子、テニス部の仲間たちと大学生活を開始する。
無気力ではないものの、自分が進む道が見つからない若者が悶々としながら、周囲に流されるままにスポーツや恋愛、出会いと別れを経験していく。
住む世界がもとから違うと半ば諦めながらも燎平は夏子への思いを裁ち切れず、かといって押していく勇気もなく、友だち以上恋人未満の関係に甘んじている。
価値観が現代とだいぶ違っているのと、見る人から見たら燎平は立派なリア充なのだが、”青春時代”というものがイメージほどキラキラしておらず、不器用きわまりない時期であるのは今も昔も同じで、劣等感にこりかたまった燎平や仲間たちの言動にもどかしくも共感できたりする。
燎平たちが二回生になり、テニス部の祐子が結婚してアメリカに行くことが決まり、仲間内のバランス関係がわずかに変化したところで上巻は終わり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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ママにオススメされて読んだ
たしかに大学でテニスに青春捧げる人達の物語面白い
けどまだ思ってたんとちがうなあー㊦読んだらまた変わるんかも。読んでみる -
ブクログの談話室で見かける本。著者の本は「骸骨ビルの庭」「錦秋」を読んでいる。なんとなく、個人的には著者は文士タイプの作家のイメージがある。
昭和40年代の大学生活。出来たばかりの大学、出来たばかりのテニス部。若者たちの群像劇という処。文章がうまく流れていないのが意外だった。著者にも若い作家時代があったということか。
ぼくが大学生活を送ったのは、昭和50年代後半なので、全共闘世代の名残がわずかに残っていたけど、今の若い世代にはピンと来ないかもしれない。
主人公をテニス部に誘った金子、かつての名選手で精神を患った安斎、王道は出来ないから覇道を目指すと云い、変則的なテニスを打つひねくれ者の貝谷、…。登場人物が生き生き描かれている。
さあ、下巻を楽しもう。 -
たまらんなぁ。昭和のコッテリとした青春があるよ。急ぎ、下巻。
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関西+テニス+大学。
正に、青春小説。
スポーツ時々恋。王道中の王道だと思う。
故に、作者の力量がはっきりと出るのではないだろうか。 -
宮本輝の錦繍を読んで、文章が好きだったことと、
主人公が大学生だった大学生のうちに読んでおこうと思い、手に取った。
登場人物一人一人が個性があって、人間らしい面を持ち合わせているので共感できて面白かった。
大学4年間なにに使うのか、このままでいいのか、恋愛も含めて焦りの気持ちとかも今の自分に通じるものがある。
話の方向がどうなるのかまだわからないけれど、下巻も楽しみに読みたい。 -
大学時代を思い出す。「4年間の休暇」。初々しい。
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大学のテニス部を舞台にした群像劇。と、言えば「青春」とか「甘酸っぱい」というお馴染みの修飾句が出てきそうだが、やっぱり宮本さんの筆から描き出されるのは、業と情だなあ。
大学やテニス部を舞台にしながら、登場人物たちそれぞれが抱える儘ならなさや、それでも人に心を吸引されるように惹かれ、離れる様を言葉で描写する。まるで絵を言葉という道具で描くようだ。
学歴社会のゴールであり、華やかで悠々自適で楽しさに充ちていると一般的には思われがちな大学生活だが、現実はそう容易くない。私も息子たちも挫折や壁を感じながらの大学時代だったな。
上には上がいる。自分はいったい何者なのか。どこに進んでいくのか。そんな迷いや葛藤の中で、心の病、家族の喪失、経済的困難などを抱えつつ、ひたすら日を重ねる。
上流階級の女子学生に心を惹かれる燎平、目立ちはしないが魅力的な祐子に心を奪われる貝谷、金子などの人物造作が絶妙だ。上手いなあ。
下巻では病を抱える安斎のその後が気になる。清水善三さんだったんだ。懐かしい。
ドラマ化当時、大学生だった私は残念ながらテレビは見られなかった。二谷さん、石黒さん、川上麻衣子さん等、ぴったりの配役。見たいなあ。 -
青春小説。上巻だけ読んだ状態で何も評価はできないが、ミステリーばかり読んでいたせいで、事件らしい事件が起こらない小説は我慢を強いられている感じがあるな。下巻では何かあることを期待。