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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784167348243
みんなの感想まとめ
物語は、日常の中に潜む人間の感情を静かに描き出しており、読者に深い感慨をもたらします。特に、大阪弁の会話が生き生きと表現されており、親しみやすさを感じさせます。軽やかな文体ながら、結核療養や精神病院と...
感想・レビュー・書評
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高校の時の読書会の本だったような記憶がある。
ちょっと不思議で難しかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分の学生の頃から名前は知っていたけれど、宮本輝の本は初めて読んだ。
大変読みやすい文体、内容であることに驚いた。
大阪弁の会話のなんと心地いいこと。
解説に書いてある通りになってしまうけれど、普段から村上春樹ら「都市生活者のための現代文学」みたいなのばかり読んでいるせいか、こういう少しじめっとした地味な小品がとても沁みる。
物語に奇を衒ったようなところはなく、社会性や思想性もないけれど、心に沁み入る文章である。軽いタッチの文体でありながら、結核療養、精神病院等の描写が出てきて、生命の儚さ、人生の切なさを感じさせる。
この、深い・難しい問題を考察するような小説でないのに、じっくり感じ入るようにさせるのが、自分にとって新しい感じがした。日本の作家ではあまりいないような気がする。
そして作品が1981年のものであることに驚く。こういう文学こそが実は普遍性を持つのかもしれない。 -
一つ一つ、綺麗な物語だと思った。
人間のドロドロした感情、妬みや裏切り、執着など、負の部分が描かれているけれど、目を背けさせたいのではなく、ましてや正義感や正論で矯正しようというのでもない。淡々とした丁寧な文章が、非常に好ましく心地良かった。 -
2015年の文春文庫青春フェアの限定カバーがとてもかっこよくて、普段なら読まないと思われる作家だが購入してしまった。
かくたみほさんという方の写真が表紙になっている。
長いこと積んでいたが、読んでよかった。
昭和54~56年に小説誌で発表された短編集だが、ほとんど古臭いところがない。
主人公はみな若者で、彼らの感性に違和感を覚えることもない。
執筆当時、著者は32歳頃のはずだが、その当時の彼の感性は今にも通じるものがあるのだろう。
「星々の悲しみ」を除けば、どれも劇的な出来事が起こるわけではない。
しかしほとんどの短編に印象的な物があり、記憶に残る物語ばかりなのだ。
それをもう一度見たいと感じた時に、何度も読み返す可能性のある本。
「星々の悲しみ」☆☆☆☆
図書館の雰囲気と、「星々の悲しみ」の絵が印象的。
特に絵は文章で描写されているだけなのに、頭の中で情感たっぷりに想像できる。
はじめは穏やかな絵を想像したはずなのに、物語の進行に伴ってだんだんと悲しさを帯びてくる。
私にそれを表現できる画力があればと悔やむ。
絵を盗むなんていう青春らしさもいい。
「西瓜トラック」☆☆☆
大した出来事ではないはずなのに、スイカと夏らしさが印象に残る。
「北病棟」☆☆
影絵が一つの道具となっているが、描写が少なくあまり活きていない。
栗山さんと主人公の状況が対照的で、重苦しい雰囲気の中で主人公が浮いて見える。
あまりのめりこめなかった。
「火」☆☆
マッチの火が印象的。
古屋は何を思って火を見つめていたのだろうか。
闇を感じる。
「小旗」☆☆☆
交通整理の小旗。
一生懸命に交通整理をする青年を見て父の死を悔やむというのは、一見関連性がなくおかしいように思える。
しかし、物語通りに主人公の心情を追っていくと、妙に納得できてしまう。
自分でもよくわからない心の動きを感じさせられる。
「蝶」☆☆☆☆
怖い。とても怖い。
ガード下にある理髪店には、無数の蝶の標本が飾られている。
頭上を列車が通ると、振動によって蝶の羽が動いているように見える……。
それしかないという表現で気味の悪さを描写している。
この気味の悪さには美しさからくるものも含まれているのか、読んでいて自分でもよくわからない。
物語の終わり方もいい。
「不良馬場」☆☆
印象に残るものがこの作品だけなかった。
短編の並びが悪いと思う。
この作品が最後のせいで、後味が悪い。 -
読みやすかった。短編だけど各エピソードは読み応えある。「星々の悲しみ」は、有吉の成熟した考え方が印象的だった。成績もいいのに「自分は犬猫以下」と言うこと、ただ妹に渡したメモの内容を知って、余計に好きになる。
「西瓜トラック」は、10代の頃にこんな大人の不可解な行動を経験するとしんどいけど、将来大人になったときに寛容になれるんではないかと思う。
北病棟は、、、
入社直後の入院は本人なら不安、先輩なら励ましてあげたい。同じ病棟にいた女性栗山さん、その旦那さん、自分の穴が塞がっても素直に喜べない状態。
火
すべてが意地悪く陰鬱。火だけが明るい -
短編集。宮本輝はタイトルの付け方が圧倒的にうまい。星々の悲しみ。なんだそれは。どんな話だ。そう思ったのは高校の時だった。ラジオドラマがはやっていた時代だ。毒にも薬にもならないようななんちゃない話だ。だけど、なんでか気になる、記憶にとどまる。男の人がかく文章で、男の人がかく目線。そういう小説。この年代の人がかく文章は性別による視線、視点がくっきりしていて、それがいい。媚びがない。潔さめいたものを感じる。
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タイトルにもなっている「星々の悲しみ」が一番印象に残ったが、他の作品もいずれもとても良かった。
宮本輝の小説はどれも叙情的で少し物悲しくて、でも読後は胸にストンと落ちてくるような不思議な気持ち良さを感じる。その感覚が癖になってどんどん読んでしまう。
読んでいると自然と「生と死」について考えさせられる。死は容赦なく誰にでもやってくる。同じ死でもやはり若い人が死ぬのはとりわけ辛い。日々後悔のないように生きなければならない。 -
短編7編集。生きることの儚さとたおやかさが両立する。生と死の同居が、宮本さんの筆で描かれる。
若い時代、誰もが行く先に希望を持ち、理想に憧れ、寄り添いたいと異性を本質的に求めるあの頃の若者が主人公の各編。
若さ由来の血気盛んなこの頃、世間の水はどれだけ温かく、時に冷たいか。どれほど深く、広いかなどと考えることもなく、前に先に進もうとする。
内実は、自分に悩み、答えあぐね、失敗や挫折の壁に足踏み。宮本さんは生きることのみっともなさや、生臭さを作品で呈してくれている気がする。誰にでもどうにもならないことがたくさんあるのだ。
生き続けるため、前に進むために、開けない心の蓋、悲しみ、哀しみや心細さ等、自分の手中でコントロールできない様を老若男女様々な境遇の登場人物たちと絡めながら、細やかに描かれている。
みんな必死でぶざまだ。それが悪くない。
学歴、就職、病、結婚など、超えて当然で普通とされがちな人生の関門で、つまづく。
教訓や説諭のような押しつけがない。どの作品も消え入るような終わり方で、年齢を重ねてきた私も、この先そんなに悪くないんじゃないかなと心に温かさが不思議と静かに湧き上がる。 -
日常の中に内在する「生」と「死」を鮮やかに描いた傑作短篇集。
「星々の悲しみ」
全篇を貫く「生と死」というテーマを軸に、目的に向かって一途に打ち込めない弱さ、一方通行の淡い恋、将来への不安、つかの間の出逢いと別れ、アイデンティティのゆらぎなど、一人の人間が生きることの明るさとどうしようもない寂しさを、モラトリアムの中でもがく青年の姿を、静かな筆致で、それでいて温かい眼差しで描いている。
盗んだ絵の見方が変わり、やがてその絵を返すというドラマと、その流れの中での出会いと別れを通して、「ぼく」の心の変化―迷いの中から前を向くまで―を見事に描いている。
青春の煌きの中に、深くて碧い湖のような、圧倒的な透明感と、光と闇のコントラストを持つ作品。
「青が散る」を初めて読んだときの、心の奥深くを揺さぶるような静かな感動が蘇ってきた。
私はこういう作品を待っていた。
「小旗」 「蝶」
タイトルからもわかるように、日常生活の中にあるものを鍵に、市井に生きる名もなき人々の生を鮮やかに描いている。
それにしても宮本氏は、何気ないモチーフを軸に、心の奥深くを彫刻のように描き出すのが本当に上手い。
五感に訴える描写、モチーフの選択、生と死・明と暗・若きと老いのコントラスト、余韻の残し方が、本当に見事。
この人は実は短篇向きなのではなかろうかと思うほど。
赤い小旗と、薄暗い理髪店の店内で揺れる何百もの蝶が目に浮かぶ。特に、生と死を軸にしたこの短篇集の中で、生と死の狭間で時間を止められているとも言える「標本」というモチーフは、とても象徴的だ。
「不良馬場」
ラストに最も衝撃を受けた作品。
正直初めはあまり興味を持てなかったが、後半、話が寺井の視点に移ってからは、読んでいくうちにいつしか、ケンちゃん、ヒデさん、高嶋さん、金さん、おばちゃんといった寺井と同じ病棟の面々が好きになっていった。
彼らは死が身近でありながらも、捨て鉢とは違う、達観しているともいうべき、不思議な明るさとエネルギーをもっている。(もちろん、それと対をなすトウホクさんの死も描かれている。光を描くのに闇を使う、宮本氏の真骨頂である。解説の「暗さと放埓さのまじりあう世界」が言い得て妙。)
初めは悲観的であった寺井も、競馬場で仲間と過ごした日々のことを花岡に話していくうちに、次第に生きる活力を取り戻していく。
互いに苦い思いを抱きながらも一筋の光を見出して未来へ向かっていく二人のように、目の前を二頭の馬が駆け抜けていく。
ここで終わっていれば、何の変哲もない物語なのだが、そうではないところが宮本作品。
ラスト1ページ弱の衝撃。読み終わって、しばらく呆然としてしまった。
「星々の悲しみ」に始まり、この話を最後にもってくる憎さ!
これはぜひ読んで、感じてほしい。
作中で「ぼく」が読んでいた「ツルゲーネフ全集」を、読んでみたくなった。
それにしても、「青が散る」といい「星々の悲しみ」といい、A●azonでもなぜこんなにレビューが少ないのか・・・古い作品ということもあるけれど、空気感が静かすぎるのかなぁ。
もっと評価されるべき素晴らしい作品だと声を大にして言いたいです!(個人的な感想です)
レビュー全文
http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-502.html -
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床屋での蝶々の話が好き。不思議な感じ、蝶生きてるのかなっていう不気味さとわくわくのハーモニー感が良い。
仄暗くて陰々とした死へのイメージの話が多かったかも -
やることをやりながら過ごしている。
それぞれに置かれた状況の中での普通の日々だろう。なのにその中には死や犯罪やわからない何かがいつもどこかにあって不安定で穏やかでない感じがする。それでいて人の体温のぬくさがある。不思議な印象深さのある本だった -
生と死
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西瓜の話が1番好きだった。
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中学の国語の教科書にて「星々の悲しみ」が載っていたのがキッカケでした
他のストーリーも含めて珍しい経験ですが無くはないよね、というストーリーという印象です
個人的に非現実的な設定のストーリーは面白くて当然、日常をどれだけ面白く書けるかを期待しているタイプなのでこの作品は私に合っていて非常に面白かったです -
それほどドラマティックなことが起こるわけでもなく(表題作は割とドラマティックかも)、実際に有り得そうな薄暗い日常が淡々と、容赦なく描かれる。
しかし不良馬場のラストは世の中そんな上手く行ってたまるかと言わんばかりの容赦なさで唖然としてしまった。
作者は実際に結核で療養していたそうなので、そこで見たものの影響が大きかったりするのだろうか。
ジュンク堂でやっている本音屋で購入したらこの本だったのだけれど、当たり引いたと思う。 -
『星々の悲しみ』
中学3年生の時に受けた模試で国語の問題として抜粋されていた本作
中之島図書館の前の橋の上で、浪人生3人が牛乳瓶に小石を投げ入れようとする場面だった
テスト中にもかかわらず、続きが気になってしまい、その後に文庫本を買いに行った
まだ見ぬ喫茶店に憧れて、いつかは淀屋橋の「じゃこう」で珈琲を飲んでみたいという仄かな妄想を抱いた
夜空の星々は輝いているけれど、実は何万光年も離れた所にいて、それぞれに孤独を抱えているのだろう
作中で、未読の図書館の書棚に並ぶ小説ひとつひとつを星々のきらめきに例えるところに、作者の本への愛情を感じた
再読するたびに、この本を読んでいた昔の自分と物語の中で再開するような感覚になる
生きる事は死ぬ事と同じぐらい刹那くて儚いけれど、星々のきらめきのような希望を持たせてくれる自分にとって大切な作品 -
哀しい話だった。伝えたくても伝わらない想いや、思い出せない事すら忘れてしまいそうな、刹那的なエピソードの数々が、何億年も前の星の光の様に思えた。
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短編集
オチ、というオチはないけれど、読後になにか引っ張りそうな吸引力を感じる作品
死、病気が題材のものが多かった
火…はもう一度読まないとよく分からない。
好きなのはやっぱり星々の悲しみ -
短編集。発行されたのは1981年。でも20代前後の青年が抱える不安や期待っていうのは時代を経ても変わらないな、と思った。
情景描写がとても心地良い感じ。そのシチュエーションがありのまま浮かんでくるような。シチュエーション自体も、現実味がある感じで好き。
だけど、毎回最後が難しい。わからないから、何度も読みたくなる。大学入試の小説問題にありそう、っていうのが1番の印象。
でもとっても好きだった。読解力が足りないので、一回読んだだけじゃうまく最後の部分を理解できない。主人公の、その瞬間に湧いてきた感情を言葉に表すのは難しいな。また読みたい。
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