- 文藝春秋 (1991年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167366070
みんなの感想まとめ
アメリカでの生活を通じて、著者は自身のアイデンティティと文化の違いを深く考察しています。1960年代のプリンストン大学での経験を背景に、名門校での講演や授業、成功したホームパーティーなど、自慢話のよう...
感想・レビュー・書評
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エッセイとは自慢話だ、と言うのは井上ひさしの名言らしいが、本作の1960年代の2年間のアメリカ生活を描いた第一部はまさにそれ。
名門プリンストン大学での講演が好評だった話、妻の誕生日に開いたホームパーティーが成功した話、2年目からは講師として授業を持つことになった話、帰国の際は周囲から引き留められ惜しまれた話、などなどすべて結局自慢話だ。
しかし誰でも自慢話ができる現代のSNSと違い、出版社が認めて本にして読者に手に取ってもらうエッセイは、ただの自慢話というわけにはいかない。本作も、第一部は自慢話が多く、構成が不完全で唐突感もあるにもかかわらず(出来のよくなかったゼミ生への率直な思いなどは繰り返し書かれているのに、親友となったジェンセン教授となぜ親友になれたかの経緯はほとんど書かれておらず、その娘さんが著者夫妻の帰国の時になって初登場し別れを悲しんでくれるなど)、読ませるのは、文明批評としての視点と洞察があるからだと思う。文章も明晰で、わかりづらいところがないのもいい。
二部以降は、日米関係をめぐる歴史的経緯も踏まえた批評と主張になり、自慢エッセイ度は後退してさらに読み応えが増す。
著者が生前保守派の論客だったことは聞いていたが、『夏目漱石』と対談集の『オールド・ファッション』しか読んだことがなかったので、その政治的主張は初めて読んだ。この時代、日本の立場と利益を明確に主張し、アメリカに対してかなり批判的なのにちょっと驚いた。
文芸批評家なのに、政治経済に対してもここまではっきりとものが言えたところに、戦後を代表する批評家の一人と言われた深みがあったのかなあ、と思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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