風雲児 上 (文春文庫 し 5-18)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167370183

作品紹介・あらすじ

シャムに渡ってアユタヤの日本人町の頭領となった山田長政は内戦の鎮圧が国王に認められて宮廷の武将としての頂点に立った。異国で波瀾の生涯を送った男の夢と冒険。(縄田一男)

感想・レビュー・書評

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  • 日本からシャムのアユタヤに渡り、日本人町の頭領、そして王宮の官位を授けられた山田長政について書いた本です。

    山田長政は駿河で大久保忠佐の大名駕籠の駕籠持ちをしていた後に、シャムに渡ったことは有名ですが、武士ではない駕籠持ちがいかにして、頭領になったかの肉付けがされています。

    シャムでは権力争いに巻き込まれてしまいますが、武士でも町人でもなかったため、根が素直だったらしく、したたかに生き抜くことができなかったようですね。

    ↓ ブログも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-81e5.html

  • 読み物としては面白いし、分かりやすい。早く下巻を読もうと思う。

    ただ、『日本人』という意識が当時の人々にあったのだろうか、とふと思う。

    日本では駿府の人であったり、長崎の人であったりするのだろうが、いったん言葉の通じない外国に行くと、日本人を意識するのだろうか。海外で自分達自身を相対化するとそういう意識が出てくるのかな。むしろ鎖国以前の方がそういう意識は強かったのか。

    そういう興味がかきたてられます。

  • 江戸時代初期の17世紀頃,朱印船に乗ってシャム国(現在のタイ国)に渡り,シャム国の日本人町を中心に東南アジアで活躍した山田長政の物語。
    17世紀のシャムは,アユタヤに首都を置くアユタヤ王朝が支配しており,そこには,ポルトガル,オランダ等の異国人の交易町が栄えており,関が原の戦いや大阪の役などで国を失った浪人たちも逃れてきていた。山田長政自身は特に浪人というわけではなく,駿府馬場町(静岡市)の紺屋「津の国屋」の山田友山の子として生まれたということになっている。一時,駕篭かきなどもしていたような身分の者で,シャムに渡り,まさか自分が小さいながらも属国の王になるとは思いもよらなかっただろう。ただ,最後は政敵(本小説においてはだが)に嵌められて,命を落とす。
    長政は日本とシャムの交易を重視し,双方の国に利をもたらしたが,その時シャムの長政から日本に送られた絵馬の写し(本物は火災にあい焼失)が現在でも浅間神社に置いてあるという。
    私にとってはマイナーな人物であるが,日本人として,長政の功績は小さくなく,特に戦前では,海外に勇名をはせた部分に評価が集まり,大町桂月著『古今四十八人集』の38人目に長政を据え,その勇気と行動をたたえている。
    全2巻。

  • 江戸時代に駿河の駕籠かつぎからタイに渡り立身出世、現地で官位まで授かった傑物・山田長政の物語。
    タイというのは優れた人間であれば外国人でも構わず登用する土壌があるらしい。
    現首相のインラックさんも中国系みたいだし、がっちり取り込んでしまうことで華僑の流入や文化摩擦を防いでいる面があるみたいね。大胆というか奔放というか・・・。

    話が逸れたけど、上巻は訳あって日本を脱出した仁左衛門が、高山国(台湾)に渡り、山田長政を名乗り、さらに訳あってタイに移り、定住のきっかけをつかむところまでの物語。

    どこまでが史実なのか分からないけれど、加速度的なドラマチックな展開にぐいぐいと引き込まれていいます。
    タイに行ったばかりなのでアユタヤの景色が浮かぶのがまた最高に(・∀・)イイ!!

    下巻も期待できそうです( ^ω^ )

  • 山田長政

  • 全2巻。
    山田長政のお話。

    山田長政は、江戸初期にタイで偉くなった日本人。
    名前は何となく知ってたけど、
    商人かなんかだと思ってた。
    で。
    こないだタイに行ったので読んでみる。
    日本人街で紹介されてた。

    びっくり。
    王族になってる。
    正確には王族じゃないって説が本当らしいけど、
    少なくとも高官。
    商人なんかじゃなくて政治に関わる要人。
    今の感覚だと知事とか大臣が外人。
    すごい。

    実在すら危ぶまれる程資料残ってない人らしいけど、
    関ヶ原の時代に外国で半端ない出世してるの姿は、
    当時の日本にもそんな人いたのかと感慨深い。

    基本この人の書く主人公はヒーローすぎるけど、
    読み物としては面白いから好き。
    ワクワクする。

    でも最後は切なすぎ。
    外国人なんだよね。
    結局。

  • 慶長15(1610)年、駿府で生れ育った伊勢山田の神主・
    山田仁左衛門長政は御朱印船で長崎を出港、
    高山国(台湾)から黄金の都シャム(タイ)のアユタヤに渡った。
    シャムの女性と結婚し、国王の親衛隊として頭角をあらわし、
    やがて日本人でありながら、シャムの王族にまで登りつめた
    一代の快男児・山田長政の波瀾の生涯を描く。

    2008 9 30 読了!

  • 大久保忠佐の駕籠かきから、シャムのアユタヤ日本人町の頭領となり、リゴールの国王となった風雲児・山田長政の生涯を描いた小説。白石一郎の書く主人公は常に快男児として描かれ、わくわくするようなストーリーで一気に読めます。

    2007.8.29読了

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著者プロフィール

白石一郎(しらいし いちろう)
1931年11月9日 - 2004年9月20日
釜山の生まれの作家。終戦までは釜山、戦後は佐世保市で育った。長崎県立佐世保北高等学校、早稲田大学政治経済学部卒業。双子の息子がおり、白石一文・白石文郎両名ともに作家となった。
1987年『海狼伝』で第97回直木賞、1992年『戦鬼たちの海—織田水軍の将・九鬼嘉隆』で第5回柴田錬三郎賞、1999年『怒濤のごとく』で第33回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。

白石一郎の作品

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