古本屋探偵登場 (文春文庫 (394‐1))

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167394011

感想・レビュー・書評

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  • ミステリーとしては辛うじて水準作。だだ紀田さんは本業が作家ではないので、こんなものだと思う。最近のビブリア古書堂の当たりで復刊されたものかもしれない。

    作品そのものは、古臭さもあるし、古書が主役というわけでもないのだが、読んで損はないだろう。

  •  いちいち思いあたる。ああ神保町というのはこういう町なのだと。都民ですら、よほど覚悟を決めた者でなければ、そうそう通わない。まして地方住みの者であれば、思い切って数ヶ月前から予定をたてて訪れる場所なのだと。
     そんな神保町を知り尽くした著者が書いた、古書にまつわるミステリー。本という物体そのものにそこまでとらわれる感覚はわからないけれど、本を愛する者としては、そこからかなりはみ出してしまった方たちの思いも、なんかわかる気がします。その道には足を向けないまま死んでいきたいですが。

  • 古書店の探偵というと「ビブリア〜」が思い浮かびますがこちらは初版30年以上前の作品。文章や様々な描写に時代を感じます。この時代はビルを建てるほど古書店は儲かっていたんですね。 解説と帯にも書かれていましたが、作中の古書収集家は愛書家というより愛書狂、収集鬼ですね。「書鬼」のクライマックスは恐ろしい・・・。

  • 創元推理文庫版もあるのですね。
    そちらは「古本屋探偵の事件簿」というタイトルで、この本の2作+2作だそうです。
    ミステリというよりはハードボイルド色の方が強めに感じたかも。
    なにごともマニアの世界は深淵ですわね…。
    主人公、もうちょっと個性的でも良かった気がしつつ。
    いやこれは他の登場人物が個性的すぎるだけかしらん。

  • 本を巡ってめくるめく、おどろおどろした人間の欲望執念そして殺意の世界……ひえ〜〜〜っと大いにおののきました。
    かくも業深き本狂いの世界が存在したとは……
    本書の「本好き」の定義は一般的なそれから相当逸脱した恐ろしいマニアの世界であります。

    謎解きとしても非常に楽しめます。
    ライトにさくさく読めて、息抜きにぴったりでありました〜

  • 古本の背後には人がいる、ということを描き込んだミステリと言えるのかな。
    ただ、ミステリとしては、犯人が最初から分かってしまうような気がするけれど。
    むしろミステリとして楽しむより、本にかける執念の恐ろしさを描いたホラーとして読むべきなのかも。

    最近刷られた本のようなのだが・・・
    「国電」とか、登場人物の、わりと若い人が昭和二十年代生まれという設定だったりするあたりに時代を感じる。
    子どもの頃、大人向けの本を背伸びして読んだ感覚がよみがえってきた。

  • 愛書狂たちの凄すぎる争奪戦。これが古書ミステリーの
    本流です。東京神田に登場した名探偵は古本屋の主人。
    書誌学の第一人者が挑んだ本格ミステリー。
     第一話 殺意の収集
     第二話 書鬼

    改めて読んでも面白い。
    最近(といっても古いが)メジャーな愛書家というと喜国
    雅彦だろうか。「本棚探偵の冒険」は面白かった。荒俣宏
    の「ブックライフ自由自在」には圧倒された。
    梶山 季之の「せどり男爵数奇譚」も傑作だった。
    長山 靖生の「おたくの本懐」も素敵だ。

    いろいろ思いはつきないが、本書を読むと神田神保町の雰
    囲気を思い出す。古本屋で目当ての本を見つけた時の喜び、
    思いもがけない良書にめぐり合った興奮。そんなエッセン
    スが感じられるのが良い。もちろん本格ミステリーとして
    も楽しめてお買い得である。

  • 本屋や図書館が舞台の小説が好きな方におすすめです。主人公は神田神保町の古書店を営みつつ、一方でタイトルから見てわかる通り探偵(ただし、本の)も副業でやってる須藤という名の男。
    私がこの本を読もうと思った一番の理由は、登場人物の異常さです(笑) どのくらい異常かというと、「本探しの極意は熱意ではなく殺意だ」などとのたまうアグレッシブな古書収集家や、持ち歩くステッキの目印の線のところまで本を買わないと半狂乱になる老人などなど・・・それ以外にも読んでみると、本にかける情熱が尋常じゃない方々が総出で待ち構えている。
    個人的にはミステリーとしては度肝を抜かれるような斬新さはなかったが、そのほかの魅力で本愛好家の読者をがっちり掴んで離さない、そんな一冊でした。

  • この本の解説に、愛書家の特徴がいくつか列挙されている。
    そのひとつに、「新聞を常に下から読む。書籍の広告欄からである」。残念ながら、愛書家になるべく情熱も先立つものもないが、これだけは当てはまる。さすがに、「そこに面白い本がなければ、その日の世界にめぼしいニュースはなかったということになる」とまでは思わないけど。
    蒐集をめぐる二つの事件。たぶん「ビブリオ古書堂」のおかげで読むチャンスを得た。紀田順一郎の本は一度読んでみたいと思っていたので、感謝。

  • 古書にまつわる事件簿
    古書を中心とした推理小説といった感じ。

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著者プロフィール

評論家・作家。書誌学、メディア論を専門とし、評論活動を行うほか、創作も手がける。
主な著書に『紀田順一郎著作集』全八巻(三一書房)、『日記の虚実』(筑摩書房)、『古本屋探偵の事件簿』(創元推理文庫)、『蔵書一代』(松籟社)など。荒俣宏と雑誌「幻想と怪奇」(三崎書房/歳月社)を創刊、のち叢書「世界幻想文学大系」(国書刊行会)を共同編纂した。

「2021年 『平井呈一 生涯とその作品』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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