- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167413019
作品紹介・あらすじ
落語の歴史、寄席の歴史、東京と上方のちがい、講談、漫談とのちがい、落語は文学か、女の落語家は何故いないか等々、当代一流の落語家にして文化人が、落語に関するすべてをやさしく、しかも奥行き深い蘊蓄をかたむけて語る。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
偉大な方だったとしみじみ感じました。
最近、外交問題で「米朝」という文字が新聞に載ることも多く、これを目にする度にこの人を思い出しています。
自分で落語を極めようとしたとき、落語とは何か、という問いが生まれて、ひたすら研究し落語を定義したうえで、自分の落語を極めたのだろうなあ、と思いました。
最後に中高生向けの本と知り、確かに、中高生にもわかる内容、と思いながら、その内容の深さ、濃さに驚嘆したところです。
なるほどなるほど、と頷きながら、落語への視点、視線が大きく変わる本です。
落語好きののみならず、多くの人に読んでほしいと思います。落語のみならず、極める、とはこういうことだ、と感じると思います。 -
これはなんとなく衝動買いした本ですが、素晴らしい。談志のほんより正直すごいと思う。少年少女向きに平明に書かれているが、その分本質が抑えてあって、「評論家」よりもずっとしっかりした落語の解説本になっている。地の会話と着物、扇子などミニマムな道具だけで演じる落語は映画や舞台の対極をなし、僕には親近感を覚えさせる。
落語の世界には、めったに本当の悪人はでてきません。(中略)偉大な人物はいないかもしれませんが、しかし、平凡な人物ではあるが、こんな人が町内にいたらみんなが助かるとか、こんな人が大勢いたら世の中はもっと良くなるだろう、、、と思われる人はたくさん落語国にいます。落語は現世肯定の芸であります。214ページ
これは談志の「業の肯定」をさらに米朝らしい優しさで表現したものだと思う。なるほど、共感するわけだ。 -
元々が子供向けに書かれたもののようで、落語というものについてわかりやすく書かれている。落語の入門にはいい本。
-
人間国宝桂米朝による落語の解説本。
分かりやすく、落語の全体像を詳しく説明している。 -
落語について興味があり読んだ。
正解だった。
自分のような初心者にも分かりやすいように丁寧に説明してくれた。
落語の見方も良い方に変わる気がする。 -
前書きによると中学生・高校生を対象に書き下ろされたものとのことだけれど、落語初心者よりは、ある程度落語に親しみ、さらにもっと落語の世界の深奥を覗いてみたいというひとにこそ最高の水先案内となりうる一冊だと思う。米朝版「落語概論」のような体裁をとってはいるが、演者としての豊富な経験に裏打ちされているだけに内容は、濃い。松本尚久『落語の聴き方、楽しみ方』とともに、時々手にとっては読み返したい。
-
米朝師匠のお人柄、落語にかける想い、生き様がにじみ出たような本だった。落語の入門書なのだが、内容はとても高度なので素人玄人関わらず誰でも楽しめる。そして勇気までいただく。
キザな気取りの芸を「末路哀れは覚悟の前」で極める一生。ただひたすら精進。本当の現実なんてシビアで格好悪く美しくないことなんて百も承知している。それでも、なんてかっこいいのだろう。人間国宝だからすごいのではなくて、米朝師匠がすごいのだ。
(20130611) -
ひょんなことから上方落語に魅せられて程ない私が、この度たいそうな時間をかけて少しずつ読みました。
落語は何も知らずに観に行ってもすごく楽しいけど、これを知っていればもっともっと楽しい。そんな落語の成り立ちと基礎を中学生にも分かるように丁寧に紐解いた名著。40年近く昔に書かれた本だという感じがまったくしない。それが落語の見事さだし、米朝師匠がその後40年かけて立派なお仕事をされてきた証左であるのだなあ。
落語は聴くものでなく、観るもの。そこだけ理解できれば、客としてはあとは実践あるのみ。たくさんの寄席に足を運び、そして何年も経ってから、もう一度この本を読み返したいと思います。 -
第2回アワヒニビブリオバトル「名前」で紹介された本です。
2015.07.08