独り群せず (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2010年7月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784167419110

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

料理と剣術が交錯する幕末の物語が、見事に描かれています。主人公の利之は、一流の料理人として隠居生活を送りながらも、過去の友や家族との絆を大切にし、剣の腕前も衰えない姿が印象的です。料理に対する情熱が生...

感想・レビュー・書評

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  • 料理の世界 50年近くいて、今は引退しているがこの本を読んでいたら 当時 使っていた包丁を出してきてまた 研ぎ始めました 、料理の世界がとっても 丁寧に描かれていて自分の現役だった頃を思い出します 、こんなにすごい 板前ではなかったけど懐かしく思う。
    時代ものが好きで、読んでいるがこんなに 情景のはっきり見える 楽しい本に出会えたのは幸いである しかも もう30年近く前の本 ありがたい!
    しかも 主人公の強さ と言ったら半端ではない心の底から安心できる、北方謙三さんの日本を舞台にした小説が好きです、この本を見つけられたことに感謝!

  • 驚いた。「杖下に死す」の正統続編があった。驚いてAmazonで取り寄せて2日目には読み切っていた。つまり、夢中になるほどに面白かった。

    大塩平八郎の「乱」から21年が経っていた。時は幕末の動乱期に入ろうとしている。利之は一流の料理人になり、料亭から隠居をする歳になっていた。しかし、友達だった格之助の事は忘れることはない。お勢も亡くなり、養子直治の息子利助の料理修行に手を貸しながら、料理別館に精を出す日々である。

    見事な幕末小説であり、料理小説であり、漢(おとこ)の小説である。驚いた事に利之の超人的な剣の腕は衰えていない。「俺は思うんですよ。利之さんは、ずっと料理を造ることで、剣の修行を続けてきたのやとね」ここら辺になると既に「水滸伝」の王進先生か、黒旋風李逵である。

    釣りや料理の場面が生き生きとしており、流石、北方謙三長い修行(道楽)が活きている。

    利之は最後に命を投げ出す。そりゃ利之ほどの剣豪でも投げ出さざるを得ない、相手は誰でも知っている「彼ら」なのだから。しかし、利之は基本的に決して動乱には入っていかない。それはやはり利之が作者の分身なのだからだろう。
    2012年10月2日読了

  • そろそろ時代小説が読みたいと探し、題名の硬さが気に入って選んだのですが・・続編だったんですね(^^;
    単独でも面白い作品でした。幕臣の血縁で、剣豪で、料理人に身分を落とすってのは波乱万丈の内容になりそうですが、自然な形で受け入れられ、嫌味がない。まぁ、料理の講釈が多いけど、孫を引き立てさせている。気になったのは、前提の事件が懐古として説明不十分だった点なんですが・・つまりは本編だったわけです。逆になるけど探して読まなくては・・
    登場人物は明快で魅力ありますが、人物に焦点を合わせ過ぎた為、時代背景の雰囲気が余り感じられなかった部分もあるなぁ・・ここは作者の作風でしょうね。

  • 三願別荘に行きたい!

    強く願う漢(おとこ)の生き方あり、自由という日本語が生まれる前に体現する日々あり、思い願う隠居の姿勢あり、男と女の心地いい想いの遂げ方あり、血の繋がりない親子の揺さぶりあり、職を越えた子弟のあり方あり、敵味方や善悪に分かれない立場あり、友たちとの死さえも羨ましく感ず。

    年齢ではなく、何かを引退する前、瞬間、後。
    それらは個別の出来事ではなくて、すべては一人の人としての生き方としてはどんな方でも貫かれ導かれている。
    60歳くらいになって再読すると、また違うのだろうと。

    全ての文章に「独り」というメッセージを感じるくらい、ステキな時間になりました。

    連作になったからこそ、光る一冊でした!

  • 『杖下に死す』の続編となるが、前作よりもはるかに充実感を得られる。

    それは、主人公・光武利之の造形が陰影深く描かれているからである。友を救えなかった悔恨を秘め、剣を捨て料理人として生きる路を選んだ利之。既に隠居の身でありながら、新たな自分好みの料理屋を作ろうとする。

    利之は料理人として精進を続けることで、剣客としての境地も高めていくのだ。厳しい態度を崩さないが、孫の利助や奉行の内山彦次郎など彼を慕う人々もいる。

    個々のエピソードが、かつての北方作品の一場面を想起させ、胸熱くなります。なにより光武利之の作った料理を食べてみたい!

  • お庭番を統率する家柄の武士から女房の為、料理人になった利之の生き方が男らしく凄い。また、西町奉行所の彦次郎の生き方も頷けるし、こちらも凄いと思う。彦次郎、利之とも新選組、土方らとの死闘は読んでいて息が抜けなかった。
    料理を修行する利之の孫、利助の利発さ、真剣さ、利之に対する態度が清々しい。登場する三願別荘のような料理屋で一度、食べてみたいものだ。
    鱸、鯉、鮒、鯛、鯒、鯖など魚関係の漢字が沢山出て来て覚えてしまった。

  • 著者:北方謙三(1947-、唐津市、小説家)

  • ありふれた日常の積み重ねこそ至極の歴史となる。幕末のこんな描き方もあるんですね。北方謙三、奥深し。

  • 2015年の1冊目です。
    5年ほど前にリサイクル本として、ずっと積読状態になっていた本。タイトルの「独り群せず」が心を捉えたので購ったものです。しかし、読んでみると、久しぶりに、渋く、かっこよく、共感できる物語でした。時代は江戸時代末期、大塩平八郎の乱の後の大阪です。武士を捨て、料理人として生きる光武利之という男が主人公。時代の流れが、再び彼を穏やかな暮らしから引き戻していく。しかし、それは巻き込まれるというより、彼自身の信念と矜持がその流れに身を置かせていたように感じます。主人公のことを幕府の役職にある彼の異母弟がこういいます。
    「兄上は、自由で羨ましい」当時、英語の「フリーーダム」を訳する言葉として”自由”という言葉が使われたそうですが、「自由とはなんだ」と主人公が聞き、義弟が「自らを持って由とする」ことだと答えます。(これは、福沢諭吉の訳と言われています)まさに、この主人公の生き方を現わしている理解だと思います。言い換えれば、己の生き方に”矜持”を持っているということだと思う。
    中年以降の男にしか分からない”矜持の物語です”。

  • すでに死んだ男だった。
    武士としての身は。
    刀を捨て、時勢に背を向けた。
    友は既に死に、孤独を逃れるように寄り添った女も死んだ。
    ひたすらに包丁を握った。
    それでも抑えきれないものがあった。
    ただ料理を出すだけだったはずが、身体が、心が動いた。

    成仏するまで完全に捌いてやることが、釣った魚への供養であると男は死んだ友に語った。

    死に様はそのまま生き様であると、北方作品に通底するテーマがいつまでも胸に残る。

  • 北方謙三が時代小説を書いているなんて?自分が無知であった。
    書店でみてすぐに手にしました。実に面白い!!
    現代に通じることが多いと思う。

    利之は料理人であるが武士の考え、武士の行き方をしている。
    「強い者が勝ち、それが正しいとされる。」現代に通じる
    言葉である。

  • 飯、食わしてください。
    三願別荘、行ってみたいなー。

  • 幕末。かつて武士だった男はその身分を捨て、大坂のまちで料理人となっていた。

    料亭「三願」を隠居した光武利之。
    別亭、三願別荘に移り住んでからは気ままに釣りをし、少人数の客に腕を振るうなどして、
    平穏な隠居生活を送っていた。

    孫の利助に料理をまねばせ、自身も一介の料理人として腕を振るう。
    しかし混乱した時代の流れは商人のまち大坂にまで押し寄せ、
    利之をその奔流へ巻き込んでゆき…。

    (#)

    前作『杖下に死す』に続く、続編。

  • 幕末の大阪を舞台にした話。
    前作の続けであるようだが、知らなくても読める。前作は非常に読んでみたい気にする作品。元お庭番の家系である村垣家の長男で、武士を捨てた凄腕でもある料理人として生きている利之一家の話が中心だが、政治がいよおうなく係わって、最後の新撰組との闘いは非常に面白い。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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