人口減少社会の成長戦略 二宮金次郎はなぜ薪を背負っているのか? (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2007年8月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784167431143

みんなの感想まとめ

人口減少社会における成長戦略をテーマにしたこの書籍は、歴史的人物である二宮金次郎の実践的な知恵を通じて、現代の課題解決に向けた示唆を提供します。金次郎は、単なる努力の象徴としてではなく、効率的な思考を...

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代は人口停滞の時期があり、その時の改革に取り組んだ二宮金次郎の話の紹介。
    人口白書1974年には人口抑制が言われている。
    1991年に輸送人口は減少をはじめていた。
    二宮金次郎の書いている本は孔子の大学。
    移民は土地に執着がないので夜逃げする。
    一地域の改革に成功したが、藩の改革までいくには環境の違いがあって厳しかった。官僚の抵抗に合う理由を知ることが必要。

  • 二宮金次郎は、仕事の合間も、寸暇を惜しんで勉強しました。で、偉い人になりました。以上。

    …というのが、(オレも含めて)多くの人の二宮金次郎に関する知識のすべてではないだろうか?

    ところが、この本を読むと次々に目からウロコが落ちる。

    金次郎は、身の丈6尺(約180cm)を超える大男だった。
    薪は、苦労してかき集めてホソボソと売り歩く、という商品ではなかった。(燃料として高利益商品であり、金次郎自身、「山を自ら所有して」調達した)
    人口の流出で荒廃した地方の領地に赴き、その財政を独自に(実践から)培った金融理論をもって建て直した。

    さらに、物語は時代を超えて現代へと飛ぶ。

    金次郎の時代…江戸時代後期は、幕府・藩の財政は逼迫、経済が停滞し、とくに地方で人口も減少傾向にあった。つまり、現代の社会情勢に重なる。

    金次郎が行った(行おうとした)財務政策の基本的考えは、実は今こそ使えるのではないか。

    土木土建に偏重しているカネや人を農業に配置し直し、江戸時代にそうであったように「総合産業」として発展振興してはどうか。と、課題と解決を現代に引き写していく。

    好著。

  • 国家破産を避けるために、我々日本国民はいまこそ二宮金次郎に学ぶべきではないだろうか?

    東京都知事・猪瀬直樹氏の著書。氏の著書を読むのは2冊目となるが、この人なら東京都知事を任せてよいと説得力のある著書である。目から鱗の良書である。

    素朴に二宮金次郎に興味があったので読んでみたのだが、人口減少社会・成熟社会に対する政治への提言となっており、まさに現在の政治家に読んで欲しい本である。

    二宮金次郎。ほとんどの人は薪を背負って学問に励む少年として知っているのだが、その後の彼の功績はほとんど知られていないのではないだろうか?彼の功績は、人口が減り、年貢が1/3以下に減り、赤字に喘いでいた旗本宇津家下野国桜町領(現栃木県二宮町)の財政再建を果たしたことにある。天保の大飢饉をも凌ぎ、一躍名声を獲得し、時の人となった。

    彼の取った施策は、現状の把握(台帳ナシの状態から台帳を義務付け)、財政シーリングによるプライマリーバランスの確保(分度)、各種インセンティブ、商業知識(金利計算等)の教え、他国からの移民奨励などであった。彼の為政の約15年の間に、人口はわずか20%弱伸びたのに対し、年貢は約2倍になった。

    名声を勝ち得たことで、多くの者が尊徳に教えを乞いにきた。しかし、本家筋にあたる小田原藩では、守旧派の家老らが、尊徳に財政権を握られるのを嫌がったため、財政再建を果たせなかった。

    これを現在の政治に照し合せると、まずはプライマリーバランスの確保であろう。国債利払い・償還を除く正味財政支出を国債発行を除く正味財政収入を上限とすることである。小泉・安倍・福田政権下であと一歩のところまでプライマリーバランスにたどり着こうとしていた矢先に、リーマンショックが発生し、一気に遠のいてしまった。

    2009年からの民主党政権は財政の無駄を削減するといいながら果たせなかった。そして2012年12月、安倍政権は、財政出動を公約としている。

    安倍よ、二宮尊徳に学べ!と言いたい。

    <目次>
    序章 皇室は鏡のように
    第一章 人口減少社会に挑戦した男
    第二章 積小為大
    第三章 複利の魔力
    第四章 偉大なる発明「分度」
    第五章 見捨てられた領地の再生
    第六章 希望の未来を指し示す
    第七章 カギは農業にあり
    終章 二宮金次郎は現代に蘇る

    <メモ>
    下野(野州)桜町領
     元禄期(1688〜1704年)433軒、1915人
     文政4年(1821年)156軒、732人

    備前・備中・備後・安芸・周防・長門
     享保6年:180万人→弘化3年(1846年):230万人
    下野・上野・常陸:
     享保6年:180万人→弘化3年(1846年):130万人
     北関東は江戸へ人口が流出した。
    貧農史観の嘘
     ロシア革命に影響されたマルクス主義の影響
     薩長の藩閥政府による徳川幕府の否定・皇国史観

    宇津家桜町領
     表高:4000石、田2500石、畑1500石
     生地:田750石、畑900石
     年貢:田750x0.44=330石(約900俵)、畑3割金納

     元禄12年〜享保元年(1699〜1716年)の平均
      年貢:3116俵、金納202両
     文化9年〜文政4年(1812〜1821年)の平均
      年貢:962俵、金納130両

     米1005俵、金納127両を「分度」とした。

     1821年 1005俵 分度設定(財政シーリング) 156戸、732人
     1822年 1326俵
     1823年 1437俵
     1824年 1467俵
     1825年 1006俵 冷夏・凶作
     1826年 1732俵
     1827年 1825俵
     1828年  981俵 台風・洪水
     1829年 1856俵
     1830年 1874俵
     1831年 1894俵
     1832年 1894俵
     1833年 1326俵 天保の大飢饉
     1834年 1987俵
     1835年 1987俵
     1836年  803俵 天保の大飢饉ピーク
     1837年 1995俵 173戸、852人

     人口

    2005年1月13日、首相官邸での昼食会
     4名の農業者、金亀建設西山社長、ワタミファーム竹内社長、パソナ南部代表
     建設業、飲食業、人材派遣業の農業参入を睨む。

    金次郎は記録を重視していた。台帳、日記、書簡の写し。

    豊田佐吉の父伊吉は金次郎の教えを生活の信条としており、佐吉もまたそれに帰依した。トヨタの思想に受け継がれている。

    二宮尊徳の真骨頂は、薪を背負った勤勉な「少年」と、後半生の神道、儒教、仏教をこき混ぜた理論家とのあいだの、営々とした努力によって実利を生み出した実践家としての姿にある。(203)

    私たちに「分度」による国家経営を始める勇気と、それに耐えるだけの根気があるかどうか、に集約される、ということがはっきりする。

    2012.12.09 猪瀬氏の著書を調べていて見つける。氏の著書でいちばんおもしろそうだ。
    2013.01.10 読了

  • 序章 皇室は鏡のように
    第1章 人口減少社会に挑戦した男
    第2章 積小為大
    第3章 福利の魔力
    第4章 偉大なる発明「分度」
    第5章 見捨てられた領地の再生
    第6章 希望の未来を指し示す
    第7章 カギは農業にあり
    終章 二宮金次郎は現代に蘇る

  • 薪を背負って勉強する姿は努力の象徴ではなく効率の象徴だった…。二宮金次郎がどのような人物だったのか興味を持たずにこれまで来たことに反省。

  • ・金次郎の本質は、コスト削減によって生じた余剰をどう活用するかにある。

    ・分度という概念を、もう一度現代によみがえらせてみたい。
     支出を明確にするからこそ、余剰資金は投資と運用に充てられるのだ。

    ・大きな政府の時代は終わったのである。

    ・金次郎の改革では、士農工商の垣根を自在に乗り越えている。

    ・建設業の農業進出。 
     不況の建設業者に、遊休地と化した農地はフロンティア。

    ・「~予が日記を見よ。戦々兢々深淵に臨むが如く、薄氷をふむが如し」

  • 二宮金次郎ってなんか勉強熱心なお子様というイメージしかなかったのだが、なかなかにやり手だったんだねえ。地方創生に携わる人は読むべし、と思わされるほど内容が詰まっていると思う。

    ちなみになぜ薪を背負っているかというと、それを売って、売った金を誰かに貸すため。ま、そうやってどんどん金を増やしていったわけですな。

  • 2015年4月14日読了。

  • 適材適所と金融政策の重要性を二宮尊徳さんは現代を遡ること170年前に気が付き、数多くの地域で実行しています。
    それは農民であり、賃金労働者であり、田舎民であり、都会民であり、施政者であり、支配されるものであるキャリアを積み重ねてきたからでした。
    人と社会の機微が分かっていたからこそ、100年単位で改革プランを数字に落とし込むことが出来たのでした。
    彼が活躍したのは、人口が増えること、経済規模が拡大することを望めなくなっていた社会でした。
    しかし、そこで二宮尊徳は諦めず、自主独立した農民を育てることで、自らの家計を豊かにすることを通して、国が豊かになる仕組み作りに取り組みました。
    我々2010年代を生きる日本人がヒントにすべきことは沢山ありそうです。

  • 金次郎が、金貸しや米相場で儲けていたとは知らなかったなあ。
    但し、私腹を肥やすためだけではないけれど。

  • 現東京都副知事の猪瀬直樹の作品である本書は、著者が小泉政権下で公共事業が縮小されるなかで起こった建設業の労働問題、その解決策の発想の基となった二宮金次郎の生涯を描いた作品である。

    本書を読んで、著者の発想方法を垣間見ることができた。少子高齢化を基調とした経済の低成長時代は、現代の課題であるが、歴史を振り返ると、同じ問題をすでに江戸時代の後半で経験していた。その解決策の事例として二宮金次郎の荒廃農村の再建策を研究している。独自のアイディアではなく、偉大な先人の知恵を学び、それを発想の基とし、現代に生かす。その過程を読み取ることができた。

  • 小学校にあった二宮金次郎の銅像。薪を背負いながら、読書する姿は、彼の一面であった。努力の人だけではなく、効率化が彼の真骨頂。薪を売って稼いだお金を運用して、貧しい人たちに貸して、皆が幸せになる。コスト削減によって生じた余剰をどう使うか…そこが本質である。
    低成長時代の現代で、いかに効率的に働くか。国民全てが、そうできれば富は増え、右肩上がりの経済成長並みの、富を実感できるはず。

  • 仕事のヒントにつながればと思って読んでます。読み物としても面白い。空いた時間で少しずつ。

  • 二宮金次郎をイメージするなら貧しいけれど勉強を怠らず
    そして将来は偉い人になりましたと・・。そんな感じです。
    たしかに金次郎の銅像を見ると薪(たきぎ)を背負いながらも読書に励む金次郎少年がいるし
    早くに父親を亡くして働かなければならない状況にいた。
    しかしあの銅像は「学ぶついでに収入を得る」と言う少年の合理主義者としての象徴だった。
    少年という特権を活かして(大人が勝手に薪を拾っていたら地主に怒られる)利益の高いエネルギーを勉強のついでに売っていた
    さらに得た収入をただ消費するだけでなく低金利で人に貸すことで資産運用する。その複利は金次郎ファンドとして町の領民を救っていく・・。
    その後の「分度」という概念は現在の平成ニッポンにもっとも必要なアイデアなのではないでしょうか?
    低成長・人口減少・・当時の江戸後期時代と現在の共通点はあまりにも大きい。
    その逆境の時代を真正面から受け止めた林蔵(金次郎)の現代版を待望したいものだし
    著者である猪瀬さんは東京都副都知事。金次郎の考案した金融モデルを大いに理解した本人そのものだから
    当時の領地を再生させた金次郎の如く東京都さらには日本の再生を期待してしまう。

  • 勤労、勤勉、そういった徳目の象徴くらいの認識でしかなかった二宮金次郎が実は先進的な金融システムの発案者だったことに驚く。
    現代と同じ、人口減少、低成長社会であった江戸の中期に金次郎が行ったことから今に学べることは多いようだ。

  • 今の日本と同じような低成長、人口減であった江戸の1時代において二宮金次郎はどのような行動をとったのか。という視点が面白いとおもった。卓越したリーダー力とか抽象的なものではなくて、合理的な金融モデルを構築したというところが面白い。グラミン銀行を思い出した。

  • 「道路公団民営化」を推進した著者のメッセージは、「これからは、農業民営化だ」。二宮尊徳の功績については、詳細かつ正確である。

  • 10年位前に小田原市の報徳博物館に行った事が、あるがすごく感動したのを思い出した。副知事になった著者は何をみしてくれるのだろうか(期待している)

  • 当たり前のように小学校にあった二宮金次郎像。
    勤勉の人という先生の説明であったが、金融・経営コンサルだったとは。
    これからの人口減社会について、もっと考えさせられたしもっと今の日本は歴史から学ぶべきとも思った。
    また、猪瀬氏の抽斗の多さ・・・色々な歴史的事実および例え・・・を出し行ったり来たりしながらも核心を突いてくる文章が非常に興味深く読めた。

  • 二宮金次郎の偉大さが今ようやく分かった。というか、今までにその実像をここまで分かりやすく示してくれた人はいなかった。 報徳教とか報徳思想というものの存在は知っていたが、どうにも雲をつかむような話でよく分かっていなかった。(何より、戦前・戦中の報徳教育のせいでイメージが悪かった) しかし、本書では金次郎の「財政再建の実践」を描くことで、非常に鮮明にその本質を浮かび上がらせている。 ・分度=プライマリーバランス ・五常講と冥加金の推譲=マイクロファイナンス、(金利の)再投資、非営利活動(利益の分配を目的としない) ・入り札=チームビルディング、モチベーションの維持 ・積小為大=複利効果、余剰の再投資 などなど、現代でも再発見・再発明されているようなアイディアが目白押しだ。 江戸時代の農民・町民のたくましさ、競争の厳しさに比べると、現代日本のなんとぬるいことか。現代に生まれてよかった(のか?)。 それに対して、幕府や藩などの行政機構の頭の固さ、保身に走る卑しさについては、現代の政治家・官僚とあまり変わり映えしていない点は、苦笑するしかない。 [more] ・「終身雇用は日本の伝統」は間違い。江戸時代の奉公は「年功序列」ではあったが、同時に「能力主義」も徹底されていた。 丁稚・小僧などの「子供」は11〜14歳。そこで一旦郷に戻され、実力のある者だけが呼び戻される。次が手代で生き残れば「初登り(旅費とボーナスが付く里帰り)」。呼び戻されれば幹部候補として色んな部署を経験させられる。その後も「登り」を経て実力が認められれば地位が上がる。徹底した能力主義の競争社会だった。 ・五常を指針とした。「忠、考、悌」を除く「仁義礼智信」。身内ではなく他人同士の関係性を重視したためと思われる。(身内意識は腐敗につながる?) ・積小為大。「大きなことを為したいならば、小さなことを怠らず務めなさい。小人は大きなことを望み小さなことを怠るから、成し遂げられない」 ・コンサルタントの限界。実質的な権限(司法、立法権)を武士が握っていて、重要なポイントを押さえられない。権限移譲のための賭けに出る。成田山に雲隠れ。 ・メディアとしての銅像。偉大な教えも、やがては後継者によってゆがめられ、あるいは都合の良い解釈をされ、矮小化してしまう。単なる道徳の話になったり、精神論だけになったり。 ・豊田佐吉は父の影響を受け、報徳思想に帰依していた。つまり、あのトヨタにも金次郎の教えが関わっている。

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著者プロフィール

猪瀬直樹
一九四六年長野県生まれ。作家。八七年『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。九六年『日本国の研究』で文藝春秋読者賞受賞。東京大学客員教授、東京工業大学特任教授を歴任。二〇〇二年、小泉首相より道路公団民営化委員に任命される。〇七年、東京都副知事に任命される。一二年、東京都知事に就任。一三年、辞任。一五年、大阪府・市特別顧問就任。主な著書に『天皇の影法師』『昭和16年夏の敗戦』『黒船の世紀』『ペルソナ 三島由紀夫伝』『ピカレスク 太宰治伝』のほか、『日本の近代 猪瀬直樹著作集』(全一二巻、電子版全一六巻)がある。近著に『日本国・不安の研究』『昭和23年冬の暗号』など。二〇二二年から参議院議員。

「2023年 『太陽の男 石原慎太郎伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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