不機嫌な果実 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1324
レビュー : 126
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167476212

作品紹介・あらすじ

三十二歳のヒロイン、水越麻也子は、結婚六年目の夫に不満を抱き、昔の恋人野村と不倫の逢瀬を重ねていた。だが歳下の情熱的な音楽評論家、通彦との恋愛で、麻也子は大きな決断を迫られることになる…。「不倫」という男女の愛情の虚実を醒めた視点で描いて一大社会現象を巻き起こし、TV・映画化された、恋愛小説の最高峰。

感想・レビュー・書評

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  • 不倫の手順のマニュアル本のよう。
    この本を読んだら不倫に憧れてる世の奥様方の理性が失われそう。流通させたら危険。この小説で不倫気分を味わうのでとどまってほしい。
    そう思うくらい不倫というのは手を伸ばせば届くところにある憧れなのかなと感じました。
    今日の不倫話のよく聞くことと言ったら、芸能界をはじめとしてまだ友達も結婚してない人のが多いわたしでもそれは世間的に珍しくないように思えます。
    そうなったのもこういう不倫ものの小説やドラマが作られてきたからではないでしょうか。
    あとはSNS。友達にはいえなくても誰かにそれを吐き出したい。そんな時SNSはもってこいの場で、不倫という禁断行為によって一般人が物語の主人公のようになり、日常が物語化する。そのスリルと優越感が拡散されて障壁が低いものとなっていったのでしょう。
    不倫はこれからも減ることはないと考えます。
    というかもっと浸透、身近なものになっていくのではないかと考えます。
    それを食い止めるのは個人個人のモラルしかないと思います。
    あとは不倫の恐ろしさ。慰謝料とか。
    不倫の興奮ばかりがフォーカスするしされているからこそ理性を失ってしまって、不倫の最悪の末路となるお金とかの先のことが頭にあれば食い止められるかもしれません。

    とにかくいろいろ考えさせられる本でした。
    ストッパーが外れそうなので不倫を夢みる方にはお勧めしたくないです。笑

  • 何年か前にドラマが話題だったらしい。とにかく主人公の女がどうしようもない。自分が損をしているという思考に、淫乱でそれしか頭にない。結末もまあその通りで何も変わらない。なんでこれが人気なのかわからん・・・

  • 麻也子の「私は損をしている」という意識は、いわゆる不満を引き起こす。誰もが現状を不満に思うことがあって、それを埋めるために何をするかorあきらめるかの違いがあるのだとも思います。
    麻也子の場合は、不倫に走るわけですが、世間の目からしたら「ただの不倫女」かもしれない。でも本当の心理は、当事者のみが知る深い心のひだがあるのでは?
    女として生きることの焦りや悦びが詳細に描かれています。
    ドラマにもなっていますが、小説はまた違う味があります。不倫否定する方には、納得できないかもしれませんが、そこがまた狙い目かと思います。
    面白かった。女の心理がよく描かれている。さすが林真理子です。

  • 彼女のエッセイ、「野心のすすめ」を読んだ際に気になった一冊。
    醒めた視点で男女の愛の虚実を描き出す、不倫恋愛小説の最高峰と謳われたこの小説は、タイトルの絶妙さと相まってベストセラーとなるべくしてなったと思われる一冊。

    人の不倫話ほど聞くに下世話なものはないと思いますが、気になってしまうのも人の常。
    で、それでどうなったの、とページを捲る手は終盤に向かうほどに速くなります。
    どこまでも自分が中心の彼女の醒めた思想は新鮮でもおもしろくもあるけれど、読み終わって思うのは、莫迦な女。なんて幼い。というもの。
    数々の男を惹きつけるほどの美貌を持っているのに、哀れに思えてしまう。

    とはいえ、日常にドラマを求める気持ちはわからないではない。
    誰だって自分の人生を退屈でつまらないもので終わらせたくはないはず。
    日常の中に幸せを見つけるか、退屈な日常を飛び出し外に目を向けるか。
    それは、人によって違うと思いますが、彼女の場合は後者であり、別の男であった。
    不倫は何も燃え上がるような恋心からだけじゃなく、焦りや好奇心、夫への不満などもその種となるらしい。
    それは確かに非日常でドラマチックで、時には背徳感だって甘いスパイスになるのだろうけれど、そこには想像力や貞操観念の欠如があるのでしょうね。

    知らない世界にすこしだけ足を踏み入れて、いろいろ思いを馳せらせる。
    これも読書の醍醐味ですね。

  • 麻也子の一貫したクズさ加減は清々しくすらあります。
    不倫や自分の価値(女としての)についてそんなに深く考えることか?と思ったし、自分が夫と決めた人のことは考えなさ過ぎてるし、本当にくだらない女です。
    でもしっかり書かれていて文章としては楽しく読めます。

    何故この話が売れたのかはわからないです。

  • サクサク読めて面白かった。一昔前だけれど、ドラマ化などで大きく話題になったことは知っていたが、自分が主人公と同世代になり、既婚という立場で読むと、それはそれでまた捉え方が変わったように思う。
    麻也子は、血中女濃度が高い女だと思う。自尊心も高過ぎるが、美貌という自信の分野で人に必要とされていなく、孤独。それはそのまま物語の結末に繋がっていく…
    もっとずるがしこく、自分を守り抜くことが最後までできたら。不倫はしても、不倫相手と結ばれることは考えなかったかも。もしくは、離婚はしても、不倫がばれるような展開にはもっていかなかったかも。。恋の駆け引きを楽しんだり、恋に溺れ、酔えるのは女の特権か?
    なんにせよ、不倫に恋を求めのはよいが、恋は盲目であり、いつか終焉するのだから…そこに結婚を結び付けるのはどうかな。特に一度結婚しているものは、そこに幸せな結末を見いだすのは合理的じゃない気がする

  • 不倫というテーマの小説ではあるが、ストーリーの中で様々な心理戦や恋愛関係が繰り広げられる中、一貫して描かれているいるのは人のどんな形でも必要とされたい、重用されたい、求められたいという欲求である。夫の航一は麻也子(主人公)を不幸にはしないが、幸せにもしない。麻也子は子供もおらず、暇な仕事をしている(それはそれで羨ましいが)ためにエネルギーが余っていて、夫は自分への関心が薄いから常に欲求不満で持て余している自分を恋愛(不倫)で消費している。もし、主人公(麻也子)に子供がいて大変な仕事をしていたら、それはそれでストレスが溜まって不倫するのかもしれないが、このケースでは美しいという唯一の価値以外は本人の存在が軽いために必要とされない寂しさが根底にある。美しいというだけで非常に大きな価値だが、自分が望んだとおりの結果になっても主人公は満たされず、若い女性と再婚した元夫(航一)と、恋した人妻と結婚できた元不倫相手(通彦)だけがハッピーエンドになっているように思える。

  • 林真理子といえばあまりにも有名な作家だし、週刊誌などに書いているエッセイは時々読んでいるが、実はちゃんと小説を読んだことは少なかったように思う。ちゃんと読んでみて思うのは、文章が上手いし、普通の人の日常を描きながらも引きこまれる物語を創るんだぁということ。作家なのだからそんなのは当たり前、と言う人もいるのかもしれないが、実はこの2つの条件がそろっている作家は少ないように思う。

  • 確かに悲劇のヒロイン化する女性はいるとは思うものの、主人公の麻也子には共感はできないし、読了後もどちらかといえば嫌な気分が残る小説ではあるが、こういう女性の嫌な部分を書くのは上手い作家だと思う。

  • 林真理子さんはこういう皮肉を書くのがほんとに上手だなと思うw「隣の芝生は青い」というがまさにそれ。麻也子は目ざとくて鋭く、容姿も端麗。男と女の駆け引きにおいて女としての限度を超えない発言・行動で男を自分のしたいようにエスコートするのがプロすぎる。なのに「自分だけが損をしている」という思い込みが徐々に平和な生活から離れさせる。周りからのマウンティングを気にしての始まりが、その点では最悪な結果に。。不倫を通して自分の色々なことに気づき、自己正当化していくような心理の変化がおもしろい。
    結局、この主人公の一番ダメなとこは、悪い状況をすべて他人のせいにしてしまうところかな。まあ読む限り姑もかなり性悪な感じがするし、三十路越えて母親をママと呼ぶ夫の航一も情けないし同情はするけど。。そりゃ完璧な人間なんていないしすべてを好きになれる訳じゃないから、多少は折り合いをつけていかんとなあ。
    でも麻也子の現状に満足せず常に向上心をもつ姿勢は好きだった。それを男にゆだねるのではなく、自分で切り開いてほしかったところw
    ドラマ?映画?では栗山千明さんが主役を演じているみたいで、こちらも評価高めだったので、どんだけドロドロしているかが見てみたい。

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著者プロフィール

林 真理子(はやし まりこ)
1954年、山梨県山梨市生まれ。山梨県立日川高等学校を経て、日本大学藝術学部文芸学科を卒業。コピーライターとして活動後、1982年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が、デビュー作ながら話題になる。1986年『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞を受賞。現在、直木賞、講談社エッセイ賞、吉川英治文学賞、中央公論文芸賞、毎日出版文化賞の選考委員を務めている。2019年4月1日の新元号の決定・公表に先立ち、原案への意見を聴く有識者懇談会のメンバーにも選ばれた。またマーガレット・ミッチェルの名作『風と共に去りぬ』を、主人公のスカーレット・オハラの一人称で描くという大胆に超訳!現在も文芸誌「きらら」にて連載中(小学館文庫より2019年10月より順次刊行の予定)。

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