下流の宴 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 891
レビュー : 114
  • Amazon.co.jp ・本 (510ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167476403

作品紹介・あらすじ

東京の中流家庭の主婦として誇りを持つ由美子。高校中退の息子がフリーター娘・珠緒と結婚宣言をしたことで「うちが下流に落ちてしまう」と恐怖を覚え、断固阻止を決意する。一方馬鹿にされた珠緒は「私が医者になります」と受験勉強を開始して-切実な女の闘いと格差社会を描いた傑作ベストセラー小説。

感想・レビュー・書評

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  • 20歳。高校中退の息子がフリーター娘と結婚すると言い出した。
    「うちが下流に落ちてしまう」
    恐怖に支配されるは、東京の中流家庭で主婦をしている母親。

    一方、馬鹿にされたフリーター娘、
    馬鹿にされるに耐え切れずこう宣言。
    医者の娘っていうことでそんなにえらいんなら・・・
    「私が医者になります」

    人物描写が絶妙。最高のエンターテイメントでした。
    私はきっと、母由美子と、息子翔の間の世代。
    まるで違うこの二つの世代の感覚が、どちらもわかるような気がします。

    本当に上流の人は、下なんて見ない。
    中流が当たり前だった時代がおわり、上にいくか、下にいくか、格差が広がる今だからこそ、この小説は生々しい。そして、痛いところをついてくる。

    親はきっと、そんなすごいことを望むわけじゃない、普通の幸せを手に入れてくれたら、そう思うでしょう。
    ところが今、就職するのも、車を買うのも、結婚式をあげるのも、「普通」のことではなくなっている。それに気付かない親世代は、案外多い。
    そして、子育ての失敗で悩む親も少なくないと聞く。
    でもそんな親世代に言ってあげたい。これは「時代」なんだと。

    努力すればそれだけ選択肢が広がる。
    いつの時代も定理でしょう。ただし、努力するにはモチベーションが必要だ。
    ~したい、~になりたい、~が欲しい。
    あるいは、それがポジティブなものではなく、「見返したい」なんていうものでも、自分のためではなく、「親に楽をさせたい」なんていうものでもいい。
    人は、動機なしには頑張り続けられない生きものなんだと思います。

    のびしろの少ない時代は生きにくい。それでも、希望がないわけではない。
    希望は、人との関わりから生まれるものなんだと思います。
    全力でその人を応援してくれる人がどれだけいるか、でその人の可能性は変わってくるようにも思います。
    ただし、最後に変えるのは自分。努力をするのも自分。

    痛々しいけれど、すかっとする。時代を描いだ良本でした。

  • バブル経済崩壊以降、急激に変わる現代社会。そして、ますます広がる格差社会。一方で、世代間の意識・価値観の格差も。とはいえ、少なからず日本のどこでも誰もが潜在的にもちうる「上流」「中流」「下流」の意識。そんな現代おける「中流」の本質がストレートに描かれている。

  • 他人はもちろん親子でも、自分の価値観を押し付けては、ろくなことないな、と思った。あとはバブル世代と今とで幸せの感じ方にだいぶギャップがあることを改めて感じた?

  • こういう考え方かなりすずはあるよね
    この本に出てくる人と全くおんなじってわけじゃないんだけど、エリート意識っていうか良家のみたいな家柄みたいなのは気にして生きてきた。特に幼稚園から小5くらいまで。

  • 以前、NHKのドラマで見てわりと面白かった記憶があって読んでみました。結末は忘れていたので楽しく読めた。
    エンターテインメント性があって気軽にぐいぐい読めて面白い。とある中流家庭の息子が高校を中退してフリーターになり、同じくフリーター娘・珠緒と結婚したいと言い出したことで、この家庭の主婦・由美子は「うちが下流に落ちてしまう」と危機感を募らせ、結婚を阻止しようと決意するところから始まる物語。見下された珠緒は一念発起して医者と目指すと宣言。物語は由美子と珠緒の視点から描かれる。由美子の偏見はひどいなと思いつつ、わからなくはない。「住む世界が違う」なんてことは普通は口にしないけど、誰もがどこかで思っているんじゃないかな。すみ分けてあると思う。超上流階級は別世界だけど、下のクラスとは違うという自負。当たり前と思っていたことが崩れていく由美子の恐怖と焦りはわからなくはない。それにしても、この家の息子・翔のあまりの向上心のなさと無気力にあきれ、娘・可奈の見栄っ張りと計算高さには不快感を抱いた。それに比べて珠緒の潔さにすがすがしいものを感じました。ものを知らなかったかった故のまっすぐさ、一所懸命さ。最後は珠緒の一人勝ちだったような。ちょっとスカッとしました。福原家の人々はこのまま変われないんだろうなぁ…

  • スラスラ読める、面白い。
    勉強、大事。

  • リアル!
    さすが林真理子、女のドロドロした感情を書かせたら天下一品。
    中だるみする部分もあったけど、ラストにかけての展開は鳥肌。おもしろかった!

  • 勉強は大事ということ。

  • それぞれが描く「幸せ」を求めて努力するものの、結局幸せになれない話。

    子どもや孫であっても価値観は違うものだし、違いをどう受け入れ、消化するかが大切だと思わされる。

  • 面白かった。
    自分も由美子みたいなこと思ってるかも。

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著者プロフィール

林 真理子(はやし まりこ)
1954年、山梨県山梨市生まれ。山梨県立日川高等学校を経て、日本大学藝術学部文芸学科を卒業。コピーライターとして活動後、1982年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が、デビュー作ながら話題になる。1986年『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞を受賞。現在、直木賞、講談社エッセイ賞、吉川英治文学賞、中央公論文芸賞、毎日出版文化賞の選考委員を務めている。2019年4月1日の新元号の決定・公表に先立ち、原案への意見を聴く有識者懇談会のメンバーにも選ばれた。またマーガレット・ミッチェルの名作『風と共に去りぬ』を、主人公のスカーレット・オハラの一人称で描くという大胆に超訳!現在も文芸誌「きらら」にて連載中(小学館文庫より2019年10月より順次刊行の予定)。

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