秋好英明事件 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2007年6月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (800ページ) / ISBN・EAN: 9784167480066

みんなの感想まとめ

テーマは、死刑制度や公正な裁判の重要性に関する深い考察であり、読者は物語の中で様々な視点を持つ登場人物たちを通じて、極限の状況下での人間の行動や倫理について考えさせられます。800ページ近い大作にもか...

感想・レビュー・書評

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  • 800弱ページの大作。
    意外とスラスラと読めました。
    死刑制度は無くした方がいいと思う。

  • すべてが環境のせいだとは思わない。
    島田さんの取材が正しいとするならば、英明が一人とはいえ殺人を犯している。
    でも、正しい裁きを受ける権利は守られなくてはならない・・・と思う。
    誰しも自分が一番かわいいのかもしれない。
    極限の状況に立てば、もしかしたら他人よりも自分を守ることに精いっぱいになってしまうのかも。
    でも、富江の行動はホラー小説以上の怖さがある。
    そもそもの原因となった川本家の人たちの非常識さは、誰が糾弾してくれるのか。
    ひとり貧乏くじを引いたような英明に、公正な裁判を・・・と願いたくなる。
    無視された数々の証拠。なされなかった空白の時間の検証。消えてしまった記録。無視された英明の供述通りのメモが発見される。
    事件からかなりの時間が経過し、何故か証拠のたぐいも散逸してしまったものがある現状。
    何かがおかしい・・・と思う。

  • 軽い気持ちで読んだだけにこの本には驚かせられました。文字通り心がナイフでエグられるような感覚を味わされました。脱帽。

  • 全体を通じて非常に重い。小さな一つ一つの選択の過ちが人生を大きく狂わせていくのが非常に怖かった。

  • ぶ厚い本でしたが、あっという間。
    島田さんのミステリは読んだことないのに。
    これば真実ならば冤罪。ということで、島田さんご自身もその活動をしていらっしゃることを知りました。

  • 小説のようなノンフィクション。
    もっと、小説っぽいのを想像していた。
    でも、ただ淡々と、生い立ちから事件~裁判などが書き連ねてあるものだった。

    「殺人鬼フジコの・・・」を読んだときも思ったけれど、どうしても負スパイラルっているのはあるんだなぁ。
    思考の問題なのかもしれない。

  • 秋好被告は昭和17年、満州生まれ、その生い立ち、特に幼少期は貧困と苦労の連続です。まず、敗戦により帰国するまでの大陸での強烈な体験に始まり、無事帰国しても母の病により、小学1年生で母と乳飲み子・家畜の世話に家事全般と、学童とはいえない働きぶりです。当時はマッチもなく火打石を使っていたとか。「おしん」よりはるかに過酷な子供時代と思います。
    優等生で模範生、家族思いの秋好少年は、周囲の大人の信頼も厚く、貧しいながらもすくすくと育っていくのですが…

    進学の夢叶わず中卒後に働きだしてから、どうも人生の歯車が狂いだしていくような印象を受けました。
    せっかくの海外赴任の話も父に取り消されたり、誤解による盗難で逮捕されたり、運がないというか間が悪いというか。ただ、秋好自身の弱さが引き起こしていることも多いのですが。都合が悪くなると、会社を無断退職してますし、あらぬ疑いをかけられても仕方ない面もありますから。

    最大の運の尽きは、やはり富江と出会ってしまったことでしょうか。
    とにかく川本一家が強烈。堀越主幹の言葉にもありますが、このような家族がついていては幸せは望めないと思います。それにしても、いい年した男女がどうしても結婚に家族の承認を求めようとすることには疑問を持ちました。両性の合意のみで成立するんですけど、やはり
    地域性、時代背景、生育環境の影響が大きかったんでしょうか。

    結局、昭和51年に川本一家殺害事件が発生してしまいます。秋好被告が殺人犯であることは明確であり庇うわけではないのですが、捜査と判決に問題あり過ぎと思います。富江も秋好逮捕後は保身に終始し、おそらく共犯と思われる節は数々あるのにお咎めなし? 
    冤罪事件は今でこそ表に出てくるものもありますが、これは氷山の一角で闇に葬られた冤罪はいったいどれくらいあったんでしょうか。
    被害者のためにも、公正な捜査と裁判を説に望みます。

    昭和という時代は、直接的・間接的に戦争の影響が時代にも人間にも及んでいたように思います。秋好にも富江にも川本一家にも。

  • 事実を書き連ねていってハードボイルドに人間に肉薄する。日本版のカポーティの「冷血」というけど、これは読んだことがないので分からないけど、佐木隆三の「復讐するは我に在り」という感じ。
    しかしその「書かれた事実」がどこまで事実なのかというのは、分からない。でも私はそれには触れない。
    驚くのは主人公の転職・転居の頻繁さである。そんなに簡単なの?と思う。そしてこれは「復讐するは〜」でも思ったことである。
    税金、公共料金、郵便の転送、友人知人との連絡、なかなか人間そう身一つというわけにはいかないように思う。時代がそうなのか社会がそうなのかは分からない。だけど、これそのものが「事実」の検証にならないのだろうかと思った。

  • 実話であるが為に、他の追随を許さないリーガル・サスペンスに仕上がっている。
    ましてや、主人公が死刑として結審し、現在も収監されている訳であるので、尚更真相が気になる。

    このストーリーから受ける印象のみでは真相は語ってはいけないと考える。

    しかし本作品を読了し、毎日刑務所内で死刑の執行を待つ主人公の事を考えると私は「冤罪」と言う言葉が頭をよぎる。

  • 昭和51年6月13日未明、福岡県飯塚市で一家4人を殺害した凄惨な殺人事件が起こる。派出所に駆け込んだ唯一の生存者川本富江の供述により殺人は内縁の夫秋好英明によるものと推測された。
    だが、真実はどうだったのか? そこには富江が共犯である可能性があった。
    その謎を読み解くために、満州、九州、東京、大阪、九州へと職を転々としながら殺人事件へと近づいてゆく秋好を生い立ちから追った非常に読み応えのある作品。

    この作品は秋好を中心に取材が進められ、彼に有利なストーリーによって構成されている。しかし、それを差し引いても、富江の証言には破綻があり、警察と検察の捜査にはいくつか欠陥があったといえよう。
    それにもかかわらず、この男に素直に同情できないのは何故だろうか? エピソードの端々から彼の人格に相当な問題があったことが窺える。殺人事件に至ったのは、彼の言うような人格破綻者がひしめく川本家と出会ってしまった偶然が引き起こしたものだったろうか? それとも彼自身がそのような人々に近づき、巻き込まれ、殺人に至るような人格を有していたからだろうか? その疑問は川本家に出会わなかった秋好が存在しない限り解けないであろう。

    彼が転落したのは人生の選択を誤ったからである。そのことだけは教訓にしたいと思う。

  • ノンフィクションだったのか。知らずに読んでいたので、なぜここまで生い立ちを詳細に書くのかと……。
    私にはちょっと文章が読みにくかった。とっつきづらいというか、たぶんそれもノンフィクションだからなのでしょうが。

  • この本ではじめてこの事件のことを知った。裁判のむずかしさがよくわかる一冊

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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