コンビの研究 指揮官と参謀 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1992年12月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167483029

作品紹介・あらすじ

陸海軍の統率者と補佐役の組み合わせ十三例の功罪を分析し、個人に重きを置く英雄史観から離れて、現代の組織における真のリーダーシップ像を探り、新しい経営者の条件を洗い出す。

みんなの感想まとめ

人間関係や組織のダイナミクスを通じて、歴史の真実に迫る内容が展開されます。特に、太平洋戦争における指揮官と参謀のコンビの功罪を詳細に分析し、個々の人物像やその行動が戦局に与えた影響を描き出しています。...

感想・レビュー・書評

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  • 太平洋戦争においての指揮官と参謀コンビを盛りだくさん書いてある。
    優秀な指揮官、日和見主義の指揮官、逃亡しがちな指揮官などなど。指揮官を支える優秀な参謀、目立ちたがりの参謀などなど、こちらも様々なバリエーションが描かれている。

    太平洋戦争の日本軍の中で、どんな人間がどんな考えを持ち、どんな行動を起こしてきたのか。普通の戦争ものの本とは違った面から戦争というものを学べる良本。
    圧巻は最終章「天皇と大元帥」だ。
    昭和天皇が天皇としての側面と日本軍の大元帥との側面を持ち、その二面性がどのように戦局に左右していったかが描かれている。戦時の中の天皇のお考えや発言も時系列に沿って描かれていて、とても興味深かった。
    太平洋戦争に造詣の深い半藤一利氏の本。意外と難しくなく読みやすい。
    歴史に学ばねば、と常日頃思う知識欲を満たしてくれた。

  • 読んでみて、まぁなんとクセツヨの人間らに支配されていた昭和戦時下であったことかと思い知らされたというのが率直な感想である。自ら誤った流れを作ってしまったコンビ、既に時勢には抗えない状況にあって立ち向かったコンビ、ここに挙げられているすべての人物の根底には国を守るということが共通するものの、結果が明かされている後世の者から見れば、この甚大なテーマに立ち向かえるような組織、さらにはその組織の最小単位であるコンビとも、その有様ではとうてい無かった、ということかと思う。また、最後の『天皇と大元帥』は平和な時代の象徴天皇しか知らない私にとっては、ここに記されている戦争実行の時々の振る舞いは非常に興味深く、太平洋戦争を知ろう学ぼうとするにあたり、それはとても考えさせられるものであった。
    内容はその通り非常に重いものだが、私のような力量の者でも比較的スラスラと読め、これは近代史家として一流の著者の作品ならではと思う。

  • 「半藤一利」の著書『指揮官と参謀―コンビの研究』を読みました。

    「半藤一利」作品は、昨年10月に読んだ『漱石先生ぞな、もし』以来ですね。

    -----story-------------
    陸海軍の統率者と補佐役の組み合わせ十三例の功罪を分析し、個人に重きを置く英雄史観から離れて、現代の組織における真のリーダーシップ像を探り、新しい経営者の条件を洗い出す。

    太平洋戦争敗北の背景には、新しい組織論の欠如があった。
    英雄が歴史を作り出す時代は終わり、現代の組織においては、「際立った個人」より、総合的戦略としてのリーダー・シップが必要とされている。
    日本軍における指揮官と参謀の組合せ13例から組織内におけるコンビネーションの重要性を学ぶ―。
    新時代の経営者、必読の書。
    -----------------------

    「松本清張」の『昭和史発掘(5) 2.26事件①』に続き、旧日本軍に関する作品、、、

    日本軍における昭和初期の満州事変から太平洋戦争に関わった時代の指揮官と参謀の組合せについて、以下の13例が紹介されています。


     ■はじめに
     ■板垣征四郎と石原莞爾
      …謀略で満州事変を演出した"智謀"と"実行"
     ■永田鉄山と小畑敏四郎
      …統制派対皇道派に陸軍を分裂させた盟友
     ■河辺正三と牟田口廉也
      …盧溝橋とインパール・最大の"無責任"司令官
     ■服部卓四郎と辻政信
      …ノモンハン敗北から開戦へ・不死身の参謀たち
     ■岡敬純と石川信吾
      …対米開戦へ引っぱった海軍の主戦派
     ■永野修身と杉山元
      …対米開戦・「居眠り大将」と「グズ元」の二人三脚
     ■山本五十六と黒島亀人
      …伝統の海軍戦略を破った異端の二人
     ■南雲忠一と草鹿龍之介
      …ミッドウェイ惨敗をもたらしたもの
     ■東條英機と嶋田繁太郎
      …「東條の副官」といわれた海軍大臣
     ■小沢治三郎と栗田健男
      …「レイテ湾突入せず」栗田艦隊反転の内幕
     ■山下奉文と武藤章
      …東條に嫌われた二人のルソン籠城戦
     ■牛島満と長勇
      …沖縄攻防・仏の軍司令官と鬼の参謀長
     ■米内光政と井上成美
      …終戦工作に生命をはったア・ウンの呼吸
     ■天皇と大元帥
      …同一人格のなかの二つの顔
     ■参考文献
     ■文庫版のためのあとがき

    「石原莞爾」、「永田鉄山」、「辻政信」、「杉山元」、「東条英機」、「山下奉文」、「牛島満」、「長勇」等は、『昭和史発掘(5) 2.26事件①』にも登場していたので、本書を読んで更に理解が深まりました。


    『はじめに』で著者が分類している指揮官と参謀の分類は参考になりましたね、、、

    ≪指揮官≫
     ①権限を行使せず、責任もとらず
     ②権限を行使せず、責任はとる
     ③権限は行使するが、責任はとらない
     ④権限も行使しるし、責任もとる

    ≪参謀≫
     ①書記官型(または側近型)
      指揮官の意思を伝達するだけで自分では判断しない、指揮官の知的・肉体的ロスを最小限にとどめる
     ②代理指導型(分身型)
      指揮官の身となって自分でも判断し、適切な指導調整を行い、補佐する
     ③専門担当型(独立型)
      指揮官を補するが、同時に自分の専門に関しては独自に判断し指導する
     ④準指揮官型(方針具体化型)
      みずから権限をもって振る舞い、ときに指揮官をのり越えて指揮官としての役割を果たす
     ⑤長期構想型(戦略型)
      長期的な戦略展望にとり組み独自の構想をもつ思索型の参謀
     ⑥政略担当型(政治軍人型)
      各官庁や政界・財界トップとの折衝に特殊才能を発揮する参謀

    これは会社にも当てはまる分類ですねぇ… ビジネス書のような側面を持っている作品でした。



    『板垣征四郎と石原莞爾』は、二人が陸軍に残した致命的な功罪を知ることができました、、、

    統制に反しても大功を収めれば許される(逆に評価される)という悪弊… 下剋上と謀略優先の陸軍の文化を創ったのは、この二人だったんですね。


    『永田鉄山と小畑敏四郎』は、先日読んだ『昭和史発掘(5) 2.26事件①』の復習をした感じ、、、

    概要がわかりやすくまとめてあり、とても読みやすかったですね。


    『河辺正三と牟田口廉也』と『服部卓四郎と辻政信』は、指揮官や参謀の誤った判断により、多くの犠牲が出した悪例ですね、、、

    統制無視、無謀な作戦立案、勢いや私情に流された判断… 前者は盧溝橋事件のきっかけを作り、無謀なインパール作戦を決行させ、後者はノモンハンで敗北し、対米英開戦を推進、いずれも怒りを通り越して情けなくなってきます。


    『岡敬純と石川信吾』と『永野修身と杉山元』を読んで海軍の印象が変わってしまいましたね、、、

    「米内光政」、「山本五十六」、「井上成美」等の条約派のイメージから陸軍悪玉・海軍善玉の先入観があったのですが、「岡敬純」、「石川信吾」、「永野修身」等の艦隊派の言動を知ると、陸軍も海軍も、あまり違いはなかったんだなぁ… と認識を改めざるを得ないですね。


    『山本五十六と黒島亀人』と『南雲忠一と草鹿龍之介』は、海軍を象徴する対照的な組み合わせ、、、

    「山本五十六」と「黒島亀人」は二人の相性や配置されたタイミングを考えると適材適所と言えるでしょうが、「南雲忠一」と「草鹿龍之介」については、経験や能力、タイミングを重視すれば、もっと適材適所があったはず。

    人事の難しさを感じました… これは会社でも当てはまることですね。


    『東條英機と嶋田繁太郎』は、太平洋戦争を二人三脚で推し進めた陸軍と海軍のトップ、、、

    昭和天皇の信頼が厚かったのが不思議でなりません。


    『小沢治三郎と栗田健男』は、レイテ湾での摩訶不思議な退却により海軍最後の勝機を永遠に葬り去った二人、、、

    歴史にたらればは禁物ですが… レイテ湾の闘いでの判断には疑問があるし、悔いが残りますよね。


    『山下奉文と武藤章』は、もっと有効に使いたかったコンビですよねぇ、、、

    「東條英機」に嫌われていたのが、その理由のようですが、勿体無いですよね。


    『牛島満と長勇』は、指揮官や参謀の誤った判断により、多くの犠牲が出した悪例のひとつ、、、

    沖縄戦で犠牲になった民間人(約15万人)のことを思うと許せないですね。


    『米内光政と井上成美』は、二人の戦争終結に向けた信念を感じましたね、、、

    「山本五十六」とあわせて、じっくり研究したい三人です。


    『天皇と大元帥』は、昭和天皇の持っていた天皇と大元帥という二つの顔(役割)、、、

    それが軍に都合良く利用されていたのかもしれませんね… そして、昭和天皇に事実(戦局)が正確に伝わっていなかったことは確かなようですね。



    相変わらず、よく調べられています… さすが歴史探偵「半藤一利」ですね。

  • 半藤さんの本は安定している。

  • 歴史は人が作り、人は人との関わり・交わりによって作られていく。人と人との交わりから歴史を見つめるとき、見えてくる昭和史の実態とは?

  • 先の戦争での指揮官と参謀の組み合わせ、人間関係、好悪の情がどのような影響を及ぼしたのかのエッセイ風の読み物。
    しかし、司馬遼太郎がノモンハンを書こうとして「魅力的な人間が一人もいない」と書けなかったように、先の戦争を通して小説の主人公として通用する人物の少なさよ…

  • 指揮官と参謀コンビの研究。コンビとして立ちまわった結果がどうなったかが書かれていて、読後に色々考えさせられる本。問題の本質が単純でなく、それぞれの生き方考え方が複雑に絡み合ってるが故に、問題解決が一筋縄でいかないということでしょうか。人と人の組み合わせと相性は難しい。戦場でのリーダーシップって何なんだろう。

  • ちょっと簡単に書きすぎているのかなと。
    でもあえてコンビということで、それはそれでいいのかもしれない。

    これを読むと、所詮日本人は日本人、と思ってしまう。
    今の世の中ですら、あぁ、日本人だから仕方ないと、と。

    昔から変わらないものなのだなぁ。

  • 組織は独りではできないことを成しとげるためにあるという。が、成し遂げられるものが価値あるものではないことのほうが多い、ということの実例集のように感じた。
    現代の組織もこの原則からは逃れられない。

  • 一組のコンビ事例毎に章立てされており、また、ボリュームも適当で、
    さらに文庫サイズということもあって、通勤途中でも読みやすい。

    官僚的組織の改革方手法を研究している中で出たった本です。戦前の官僚組織の象徴とも言われる日本軍組織。それに対比して語られる米軍組織。

    その中でのリーダーやリーダーシップはいかなるものであったか?を学ぼうと思い、この本にたどりつきました。性格の異なる上司部下のコンビはどこの企業・組織でもよく見られるが、自分一人では大きなことは出来ないことが多いですが、自分に持ち得ないものを部下や上司に求め、良いコンビネーションが築かれると、思いもつかぬことが容易にできてしまうことは、かなり恐ろしいことかもしれません。

    様々なコンビの事例をから組織はいかにして衰退していくのか?が読み取れるのではないかと思います。ここに書かれている類似事例は、現代組織のなかのいたるところで、まさに目の前で起きていることでもありましょう。特に服部司令官と辻参謀の関係、行動は興味深く印象に残っています。

    コンビが作り出した他の何者にも変えられないその場のムード、あるいは、空気といった存在が、様々な意思決定を支配していく様子が描かれています。空気の研究(山本七平)、失敗の本質(戸部良一ほか)とあわせて読まれることをおすすめします。

    また、身近なところでは、たとえば職場の何かのプロジェクト。このプロジェクトを成功させるためには、リーダーとサブリーダーの関係が重要。部長と課長、課長と係長などのコンビネーションがとても重要だと思います。プロジェクト達成や職場のミッション達成の成否が左右されるといっても過言ではありません。一度職場でのコンビの研究をされてみては?

  • 2004年6月17日

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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