ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167483111

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  • 1945年8月9日、一方的に日ソ中立条約を破棄してソ連が日本の傀儡国家、満洲国に侵攻を開始。しかし、その間、東京の陸軍参謀本部は満洲の関東軍に対して有効な指示を示せていない。中央の初動のまずさを著者は非難している。
    第五章。ついにソ連軍が満洲に侵攻。対する日本の関東軍は居留民を見捨てて総司令部の退却に着手。また「ソ連軍の飽くなき略奪と凌辱、現地民の襲来」が行なわれた。しかし、戦闘はまだはじまったばかり。これからもっと悲惨な展開が予想される。
    第六章。日ソ両軍間の停戦認識の相違によりソ連軍はいまだ積極攻勢をとる。一方、米ソ間では戦後に続く勢力争いの芽がすでに顕在化。そのような中、スターリンは日本軍のシベリア抑留を計画実行しつつあり。また、ソ連軍の日本人男女に対する「襲撃」の様子が記され、捕虜や強制的に連行された日本人男性のシベリア送りがはじまろうとしていた。

    一貫して主張されているのは、国や軍が一般庶民を見捨てたということ。一言でいうと、関東軍総司令部の無責任さ、ソ連軍の傍若無人な振る舞いなどが目立つ。
    戦後の対ソ連の一大焦点となる、シベリア抑留に関する著者の見解は以下の通りである。1907年ハーグで各国代表により署名された「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約」によると、俘虜は使役することができるが、平和克復の後は、なるべく速やかに俘虜を本国に帰還させなければならないという趣旨のことが取り決められている。よって、ソ連(スターリン)は、シベリア抑留に関して国際法を遵守しなかったものと言える。

    本書において「スターリンの対日参戦の目的は、敗れた日露戦争の汚名をそそぎ、南樺太と千島列島を奪回するにあった。」という評価がなされている。

  • ノモンハンより読みやすかったです。
    昭和も平成も令和もわー国はなーんにも変わってないっすね。
    半藤一利の陸海軍への怒りの筆は現在の日本国政府にもぶつけないといけないのではないかと。先見性や想像力の欠如とかね…

  • 満蒙開拓団の悲劇は有名だが、そこに行くまでの詳細な過程が分かり、大変ためになった。それにしても、戦闘開始前から満洲防衛が放棄されていたとは。

  • H29.8.27-H29.9.23

  • 日本はソ連の侵攻に驚いた。でも、連合国側では約束事であり、かつ米国の原爆投下が分かったソ連は侵攻を早めたのだ。日本はこのソ連を介して和平工作を進めていたほど、お人好しな国だった。悲しい事実だ。

  • 満州物は被害にあった人間の目線に立って感情に訴えてくる本が多い。
    特に反戦プロパガンダを目的としたものはそうだ。
    この本は半藤氏の怒りのようなものは書かれてはいるが割合と淡々と書かれていて良かった。
    過度に醜聞を目に入れずに事実関係を鳥瞰するにはいい本だった。

  • "葛根廟事件"

  • 根拠なく、願望で「ソ連は仲介してくれるはず」と、有利な講和の幻想に引っ張られる指導部と、人質のごとく満州に留め置かれる日本人入植者。結果は御存知の通り。もう、中国残留日本人孤児の話題もニュースから絶えて久しいが、ソ連が悪いと言う前に、悪いソ連を創りだした無策にはもう少し光があたってもよい。

  •  まず、とても読みやすいです。
    福島原発の事故を、アメリカの新聞が「笑えるほど無能、」と報じてましたが、それと同じ事を、戦争という状況でも発揮してしまうところに正直呆れました。

  • 読むのつらかったー
    非武装の国民が直接戦闘に巻き込まれたのは沖縄だけではない。

    米ソの覇権争いが満州の日本人に及ぼしたマイナスの影響。
    ソ連仲裁の和平、というあまりに楽観的な妄想にしがみついていた参謀本部。
    一般市民を置いていち早く転進という退却に走った関東軍。
    国際感覚を欠きメンツに執着したことで、終戦前後の処理を誤り、多くの犠牲を生んだ大本営。
    そして実際に起きた悲劇。

    北方領土やシベリア抑留、残留孤児など現在にも続く問題の始まりがぼんやり見えた。
    イスラエル問題のように、互いの主張も理がないことはなくて、始まりの部分で誤った選択をしているから、現在の状態から譲歩なしに解決はできない。

    淡々とした文章ながら、これまでの著書に比べて感情的な主張が目立った。

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著者プロフィール

作家。1930年東京生まれ。東京大学文学部卒業後、文藝春秋に入社し、「週刊文春」「文藝春秋」などの編集長を歴任。2021年1月逝去。著書に『日本のいちばん長い日 決定版』『ノモンハンの夏』など。

「2021年 『太平洋戦争への道 1931-1941』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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