日本のいちばん長い日 決定版 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.99
  • (145)
  • (173)
  • (105)
  • (15)
  • (5)
本棚登録 : 1432
レビュー : 162
  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167483159

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 1時間ずつを、噛みしめるように読んだ。 「神の見えざる手」という言葉があるが、なにか大いなるものに動かされていたのではないかと感じるほど際どい展開だ。名の出ていない、徹底抗戦を訴えていた人たちは戦後をどう過ごし何を感じているだろう…。自分がここから何を学べばいいのかは、まだまだ見えない。

  • 昭和20年8月15日正午までの1日を、「24」ばりに1時間刻みで描いたノンフィクション。天皇とその周辺、首相とその周辺、陸軍大臣とその周辺、叛乱を企てる青年将校、そしてNHK職員の動向が複雑に入り乱れ、えげつない緊迫感をもたらす。特に陸相・阿南惟幾の潔さが際立つが、足元の陸軍省の将兵の脱走、畑中少佐らの暴徒化など結局統制がいちばん効いていなかった点を鑑みるに、なんとも複雑な気分になる(この違和感をまだ整理できていない)。日本の現状認識の歪みが一気に矯正されていった時期のハイライトの1日の貴重な記録。傑作です。

  • もし昭和天皇が明確に降伏の意思を示さなかったら、もしクーデターが成功していたら、もし阿南陸相が辞任していたら、もし玉音放送の録音盤が奪取されていたら。ポツダム宣言の受諾は遅れて、3発目の原子爆弾が炸裂していたかもしれない。本土上陸戦が始まって、死ななくてもよい兵隊や一般人がさらに死んだかもしれない。そうしたら日本の復興はさらに遅れたかもしれない。そう思うと、命がけで敗戦処理に尽力した人々こそが、どこかの神社に祀られてしかるべきじゃないかという気もする。

    その一方で、やや引いた視座から眺めてみれば、自分で始めたんだから、自分で終わらせるしかないよな、とも思うし、あの時は大変だったんだよ、と日本の外に言ったところで誰も同情してくれないだろうな、とも思う。どこかで読んだが、日本人は基本的に第二次世界大戦でひどい目にあったと思っているし、被害を受けた、と考えている。でもそれは自分で始めた戦争だったし、だいたい日本が戦争を始めたことで被害を受けたのは日本ではなく、攻めこまれた国に決まっている。やれやれ。

  • 2011年8月19日読み始め 2011年8月21日読み終わり
    ちょっとしたきっかけがあって読み始めました。岡本喜八の映画が有名ですが見たことはありません。
    昭和20年8月15日の玉音放送を巡って、政府関係者や天皇、軍人たちが戦った緊迫した24時間を時系列に追ったドキュメンタリーです。ほんとにこんなにドラマチックだったのかな?と思ってしまいますが、大日本帝国の終焉、明治以来培ってきた日本軍の最後の日には、現実は小説より…という言葉にもあるような激しい葛藤があったようです。
    たくさんの人物が出てくるので覚えられないですが、完全に把握しなくても十分に興味深い内容だと思います。

  • 【目次】
    "わが屍をこえてゆけ" 阿南陸相はいった
    "録音放送にきまった" 下村総裁はいった
    "軍は自分が責任をもってまとめる" 米内海相はいった
    "永田鉄山の二の舞だぞ" 田中軍司令官はいった
    "どうせ明日は死ぬ身だ" 井田中佐はいった
    "近衛師団に不穏の計画があるが" 近衛公爵はいった
    "時が時だから自重せねばいかん" 蓮沼武官長はいった
    "軍の決定に何ら裏はない" 荒尾軍事課長はいった
    "小官は断固抗戦を継続する" 小園司令はいった
    "師団命令を書いてくれ" 芳賀連隊長はいった
    "斬る覚悟でなければ成功しない" 畑中少佐はいった
    "とにかく無事にすべては終った" 東郷外相はいった
    "それでも貴様たちは男か" 佐々木大尉はいった
    "東部軍になにをせよというのか" 高嶋参謀長はいった
    "二・二六のときと同じだね" 石渡宮相はいった
    "いまになって騒いでなんになる" 木戸内府はいった
    "斬ってもなにもならんだろう" 徳川侍従はいった
    "御文庫に兵隊が入ってくる" 戸田侍従はいった
    "兵に私の心をいってきかせよう" 天皇はいわれた
    "謹んで玉音を拝しますよう" 館野放送員はいった
    "これからは老人のでる幕ではないな" 鈴木首相はいった
    "その二人を至急とりおさえろ!" 塚本憲兵中佐はいった
    "これから放送局へゆきます" 加藤局長はいった
    "ただいまより重大な放送があります" 和田放送員はいった

  • 完読

  • どうせ退屈だろうなと思ってみた映画が思いのほか面白かった。しかし私の知識不足のため人物の相関図がちんぷんかんぶん。それがきっかけで本を読むことにした。これも映画で予備知識が少しあったのが正解。激動の1日がアメリカドラマの「24」さながらのハラハラどきどき。しかし終戦の準備がこれほど大変だったとは思いもしなかった。閣僚の思いとは裏腹に、なおクーデターを企てる青年将校たちに「日本は大丈夫だよ、安心して」って声をかけたくなった。ようやく玉音放送にこぎつけたときは本当に肩の力が抜けてほっとした。
    さて2度目のDVDを見るのが楽しみだ。

  • 昭和20年8月15日正午の玉音放送までの24時間。内閣の中には陸海軍の大臣もおり、連合国から7月26日に発せられたポツダム宣言受諾の議論は厳しさを極めたことが理解できた。しかし、軍部、それも陸軍の青年将校が戦局悪化や国民の窮乏に目も向けず、天皇の言葉も聞き入れず、徹底抗戦を訴えたことに怒りを禁じえなかった。一億玉砕は、安全な場所で命令を発する者のエゴイズムではないか。叛逆者達の常套句「君側の奸を除く」は、幕末にも暗殺の正当性を訴える殺人者が用いた。もっと早く上手に敗戦処理できなかったことが残念だ。

  • -108

  • 8/14正午から8/15午前1時までのドキュメント.膨大な資料を精査して様々な角度から丹念に記述する著者の仕事には脱帽.各人の決断の重みを感じさせる.

全162件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

半藤 一利(はんどう かずとし)
1930年、東京府東京市向島区(現在の東京都墨田区)生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、文藝春秋新社に入社。編集者として活動しながら匿名記事も記す。1965年に大宅壮一の名義を借りて『日本のいちばん長い日』を執筆、発行。『漫画読本』『増刊文藝春秋』『週刊文春』『文藝春秋』編集長を歴任。1995年に文藝春秋を退社してから作家・評論活動専任となる。
1993年『漱石先生ぞな、もし』で新田次郎文学賞、1998年『ノモンハンの夏』で山本七平賞、2006年『昭和史』で毎日出版文化賞特別賞をそれぞれ受賞。2009年の語りおろし『昭和史 1926-1945』『昭和史 戦後篇 1945-1989』はベストセラーとなった。
妻の半藤末利子は、松岡譲と、夏目漱石の長女・筆子の四女で、夏目漱石が義祖父にあたる。

日本のいちばん長い日 決定版 (文春文庫)のその他の作品

半藤一利の作品

ツイートする