日本のいちばん長い日 決定版 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.99
  • (148)
  • (178)
  • (107)
  • (15)
  • (5)
本棚登録 : 1471
レビュー : 164
  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167483159

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 8/14正午から8/15午前1時までのドキュメント.膨大な資料を精査して様々な角度から丹念に記述する著者の仕事には脱帽.各人の決断の重みを感じさせる.

  • 8月14日正午から8月15日午後1時まで、大日本帝国が戦後日本へ生まれ変わる緊迫の24時間を綿密な取材により再現。平和国家日本永久にあれかしと願わずにはいられない。

  • 1945年8月14日ポツダム宣言受諾そして翌15日の玉音放送に至るまでに起こった叛乱未遂の、大日本帝国中枢の予断を許さぬ緊迫した長い一日の動静に迫る。

    まず文藝春秋チームの取材力と史料収集力それらの一編の本に仕上げる構成力に驚嘆させられる。玉音放送の裏に隠れた歴史の真実、宮城事件における陸軍中堅武官らの暴走は始まったものを終わらすことの難しさ、井田中佐・椎崎中佐・畑中少佐らの絶望と安堵と一縷の望みが混濁した複雑な感情を推考させられる。

    終戦直前の閣僚は日本史のなかでも比較的評価が高いが、自分自身の誇りより実をとり命を賭した鈴木貫太郎首相や、時間との闘いのなか微妙な立ち位置での絶妙な交渉を行った東郷茂徳外務大臣など「勝利の英雄」とは違う英雄像がここにある。ゆえに阿南陸相の自刃は何とも言えぬ遣る瀬無さを感じる。

    歴史を見れば「あと1ヶ月早くポツダム宣言を受諾していれば」と思うが、一方で「あと1ヶ月遅ければ」当時の米ソ中の政治的思惑により領土分割もあり得たわけで、8月15日の聖断とそれに纏わる事柄は必然であったのかもしれない。

    大日本帝国の失策を分析したドキュメンタリーは『失敗の本質』や『ノモンハンの夏』など名作が多いが、本作は映画(1967年版)と合わせて是非見て欲しい。

    ところで本作品、大宅壮一編だと思ってたが決定版で半藤一利編となっていた。狐に抓まれた気がしたが「あとがき」でそのことに触れられており、「長い日」のほかの日にも色々複雑な事情があるのであった。

  • ポツダム宣言を受諾し、終戦を宣言する8/15に何が起こり、何が行われなかったか?

    皇室、政府、軍部の重要人物への聞き取りを元に、たった一日にフォーカス。

    命が安い狂気の時代のリアリティを描いた傑作ノンフィクションです。

    ・陛下の決断コメント
    ・玉音放送で発表する内容について一言一句に紛糾する会議
    ・徹底抗戦を主張し、クーデターを起こそうとする青年将校の暴走
    ・玉音放送を潰そうとする青年将校の動きを命をかけて阻止しようとする放送局員
    ・軍部の大罪を一手に責任を負い、自決する阿南陸相

    と、鬼気迫るドラマがてんこ盛りでした。

    究極の意思決定の場面では、合理性よりも空気の平衡感覚を取り戻そうとする力学が働くことが良く分かる。

    都合良い解釈で議論され、誤った判断が下されるプロセスは必読。

    鈴木貫太郎への評価は悩むな。。。

    撤退戦を成し遂げた偉大な宰相と見るか?広島・長崎に原爆を落とされるまでポツダム宣言受諾に導けなかったハリボテのTOPと見るか?

    本書では、彼なしには終戦できなかったと褒め讃えています。

  • 読了。

  • 本当に壮絶ですね。
    戦争を終わらせるというより、ひとつの歴史を終わらせるという難しさ。
    前半の政治家たちの葛藤、後半の軍人たちの葛藤、それぞれに壮絶。
    全員が真剣に悩み、真剣に行動し、それが生き生きと描かれています。ノンフィクションとは思えないですね。

  • 果ての見えない十五年に及ぶ戦争の末、万骨枯れ果てた大日本帝国が、その終焉をどのように迎えたか。「昭和20年8月15日」に至るまでの、長い長い一日を追った傑作ノンフィクション。軍人・政治家それぞれがそれぞれに異なる「国を護りたい」という一念を抱いたがために生じた、凄絶な人間同士のぶつかり合いに、いつしか頁をめくる指がジットリと湿っていた。

  • 敗戦を受け入れた1945年8月14~15日を1時間ごとに何が起こっていたのかを描いたルポ。不勉強で恥ずかしい話ではあるが8月14日深夜に陸軍の叛乱が発生しかけていたことなど、本書を読むまでついぞ知らなかった。原爆投下や勝ち目のない戦争の進行状況から敗戦受け入れは当然のことと考えていたのだが、そうそう簡単なことではなく、関係者の必死の努力の賜物だったのですね。

  • 多分、読む人が読むと面白いのだと思うが、今の私の本ではなかった。戦争最後の日にこんなドラマが起こっていたとは知らなかったが、かと言って大した思い入れもない。もっと早く決断できなかったのかというのが、正直な感想。

  • 阿南惟幾、
    終戦時の陸軍大臣だが、
    この人は偉かった。

    大臣になる前の
    阿南については、
    まったく知らない。

    阿南は、
    日本陸軍から、
    降伏せず継戦するよう
    突き上げられていた。

    阿南が、辞表を出せば、
    鈴木貫太郎内閣は瞬時に瓦解し、
    結果、継戦、本土決戦となっていた。

    終戦時、
    首相官邸が、機銃掃射を受けていたり、
    枢密院議長平沼騏一郎の私邸が放火を受けたことは、
    知らなかった。

    日本は、大東亜戦争と、敗戦、
    その苦難のときを経て、
    今がある。

    今も国難である。
    歴史を踏まえて、
    今を判断しなければならない。

全164件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

半藤 一利(はんどう かずとし)
1930年、東京府東京市向島区(現在の東京都墨田区)生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、文藝春秋新社に入社。編集者として活動しながら匿名記事も記す。1965年に大宅壮一の名義を借りて『日本のいちばん長い日』を執筆、発行。『漫画読本』『増刊文藝春秋』『週刊文春』『文藝春秋』編集長を歴任。1995年に文藝春秋を退社してから作家・評論活動専任となる。
1993年『漱石先生ぞな、もし』で新田次郎文学賞、1998年『ノモンハンの夏』で山本七平賞、2006年『昭和史』で毎日出版文化賞特別賞をそれぞれ受賞。2009年の語りおろし『昭和史 1926-1945』『昭和史 戦後篇 1945-1989』はベストセラーとなった。
妻の半藤末利子は、松岡譲と、夏目漱石の長女・筆子の四女で、夏目漱石が義祖父にあたる。

日本のいちばん長い日 決定版 (文春文庫)のその他の作品

半藤一利の作品

ツイートする