日本のいちばん長い日 決定版 (文春文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167483159

感想・レビュー・書評

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  • 太平洋戦争終結は、日本の軍国政権の終焉であったことを改めて思い知らされた。
    そして、大戦終結のために命がけの努力を尽くした人々に感謝と尊敬の念を抱いた。

    まず一億玉砕、神州不滅と叫び国民を犠牲にしても体面を保とうとした軍部に対し、国民を塗炭の苦しみから救い一人でも多くの国民が生き残ることを求め、自らマイクの前に立った昭和天皇の思いに感動した。
    つぎに戦況は悪化を極め、敗色濃くなる中で組閣された鈴木内閣は、敗戦処理のための内閣であり、首相、外相、陸相…と其々が其々の立場で終戦へ軟着陸すべく議論し死力を尽くしたと感じた。
    阿南陸相の大罪は、日本を戦争に導いた罪なのか、多くの軍人・兵・国民に辛苦を与え命を奪った罪なのか、天皇・軍民・国民への大戦勝利の約束を果たせなかった罪なのか。とにかく陸軍の罪を一人で負って自刃した阿南陸相には、胸が詰まる。
    国体護持のためにクーデターを企てる青年将校達も、青春のすべてを捧げた天皇への忠誠を最後の一人となろうとも果たそうと行動した気持ちもわかる。

    斯くして敗戦・終戦を迎え、戦後復興、高度成長と、多少の浮き沈みはあるものの太平な現在に生活できるのは、本書の登場人物あってだと感じ入る。

  • かつて経験のない「敗戦」という事実と、いかに戦争を終わらせるかという「終戦」の狭間で、日本という国家そのものの苦悩すべてが「この1日」に凝縮されてしまった感がある。それもそのはず。建国以来守り続けてきた国体が「Subject to」のたった一言によって混乱と危機に瀕したのだから。そして過激な思想にもとづく皇道派の叛乱。1枚岩になりたくてもなれない文民と軍部との温度差が「この1日」を「いちばん長い日」にしてしまったといえる。戦争は始めるよりも終わらせる方が難しい。まさに時代を超えて突き刺さる一言である。

  • 読了。圧倒的な取材力!それにしても「死場所を探す」って、すごい言葉。

  • 戦争は始めるときより、終わるときの方が大変だということを描いた本。
    玉音放送の録音盤を巡り、徳川侍従と将校たちとのにらみ合い、徳川侍従が「斬っても何にもならんだろう」と言って、将校たちが引き下がった後、軍曹に往復ビンタをされる場面など、臨場感にあふれる。宮城事件については、天皇が15日朝に起きるまで何も知らされていなかったことがよく分かる。
    最近公開の映画版も見たが、阿南惟幾をヒロイックに描きすぎているのが気になった。彼の子息も戦場で散ったことが強調されるが、一方で将校の息子でも何でもない民草が同じように多く亡くなっているのだから。

  • 映画はまだお預けなので原作の方を読みましたが、これはとんでもない力作ですね。
    しかも、終戦の陰でクーデターの可能性があった事実は知識としては知っていましたが、このように克明に活写されるといかに緊迫した状況だったかを改めて思い知らされます。
    戦いを終わらせることの難しさ… この時期に鈴木貫太郎、阿南惟幾、米内光政という3人を首相・陸相・海相に得ていたことは全くもって日本の不幸中の幸いだったとしか言いようがありません。そして陛下…
    日本人の必読書と言っても過言ではありませんね、これは。

  • 以前から気になっていた本。映画化をきっかけに注目されていたので読みました。史実だから展開はわかっているけれど、反乱軍がどんな行動していたのかとか、それをどうやって収めたのかとか、阿南陸相の苦悩が伝わってきました。負け戦において、静かに終わらせることが名将たる所以というのは、本当にそうだと思った。今の感覚からいえば、自決しなくても・・・とも思うけど、明治の男のそれがけじめであり、責任の取り方だったんだろうな。

  • ぼちぼちですかね。
    今までポツダム宣言あったんだよね、ぐらいの認識でしたが、確かに色々な思わくや一歩間違えると大変なことになっていたかも知れない1日だったんだなと感慨深いものがありました。

  • 日本を終戦へと収束させるために尽力した男たちの物語。

  • 2015/8/15読了

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう かずとし)
1930年、東京府東京市向島区(現在の東京都墨田区)生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、文藝春秋新社に入社。編集者として活動しながら匿名記事も記す。1965年に大宅壮一の名義を借りて『日本のいちばん長い日』を執筆、発行。『漫画読本』『増刊文藝春秋』『週刊文春』『文藝春秋』編集長を歴任。1995年に文藝春秋を退社してから作家・評論活動専任となる。
1993年『漱石先生ぞな、もし』で新田次郎文学賞、1998年『ノモンハンの夏』で山本七平賞、2006年『昭和史』で毎日出版文化賞特別賞をそれぞれ受賞。2009年の語りおろし『昭和史 1926-1945』『昭和史 戦後篇 1945-1989』はベストセラーとなった。
妻の半藤末利子は、松岡譲と、夏目漱石の長女・筆子の四女で、夏目漱石が義祖父にあたる。

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