漱石俳句探偵帖 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2011年6月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784167483197

感想・レビュー・書評

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  • 著者は御年84歳になり、テレビの討論会に出ては、「反戦、反戦」と繰り返すのみで、論理的な議論の展開やディベートが出来ないのは見ていて痛々しい限りであるが、やはり文藝春秋の編集長・役員を務めただけあって、15年前に書かれた本書はそれなりに面白い。
    しかも、漱石の孫娘が伴侶なので、その伴侶や義理の母(漱石の娘の筆子)から聞いた漱石の身近な話がふんだんに出てきて、漱石をより身近な存在にしてくれる。
    痔瘻で苦しむ漱石、立ち小便をする漱石、屁を垂れる漱石、胃潰瘍に悩ませられながらも食意地の張った漱石等々、俳句の背景と共に素の夏目金之助を炙り出している楽しいエッセイです。

  • 俳句はよくわからぬ。よいじゃないか、と思った俳句は駄作であると認定されたり、その逆もある。いいと言われた俳句は、そうか、いいものなのだな、これは。と自分を納得させる。
    本書を一読すると、どの俳句もみなよいと思う。人生に文学に懊悩し続けた漱石の、枯淡で素朴な心情がよく出ているように思う。これを、漱石の孫を妻とする著者が歴史探偵よろしく文学探偵となり深掘りする。著者の漱石への愛情を感じる。

  • 「半藤一利」が義理の祖父にあたる「夏目漱石」について語った歴史エッセイ『漱石俳句探偵帖』を読みました。

    『漱石先生お久しぶりです』に続き、「半藤一利」の「夏目漱石」関連作品です。

    -----story-------------
    歴史探偵が俳句を通して探る、あの名作の謎
    『坊っちゃん』の「お清」は誰!?
    大文豪の意外な人となりを探り、おなじみの小説の新たな読み方を発見する、楽しく痛快なエッセイ

    「子規」と競った松山・熊本時代、学生に幻滅した東大教師時代、小説家となってからも折々に、「漱石」は生涯二千五百余もの俳句を詠んだ。
    一流のユーモア、理想と孤独。
    「漱石」の最も自由な気持が満ちた十七文字からは、時代の空気、あの名作の意外な背景が見えてくる。
    楽しいエピソードと新事実、知的興奮が満載の傑作歴史エッセイ集。
    -----------------------

    歴史探偵「半藤一利」が、「夏目漱石」の詠んだ俳句を通して大文豪の本心や名作の意外な背景を掘り起こした作品、、、

    「夏目漱石」の、没後100年[2016年(平成28年)]、生誕150年[2017年(平成29年)]の記念読書第2弾です。

     ■Ⅰ
      まったく無能な教師なり
      シェイクスピアに張り合って
      英文学者の漢詩好き
      「狐鼠々々、烏鷺々々」した話
      「古池や」をめぐって
     ■Ⅱ
      米山天然居士の「墓」
      『草枕』の隠し味
      是は几薫調である
      命のやりとりをする精神で
      『虞美人草』のはじめと終り
      「厠半ばに」をめぐって
     ■Ⅲ
      是は謡曲好きのものにて候
      「無限の素琴」を聞く
      僧帰る竹の裡こそ寒からめ
      「余裕のある小説」を愚考する
      『蒙求』はアイディアの宝庫
     ■Ⅳ
      「死こそ真のリアリティだ」
      よく眠る人、夢みる人
      われ風流という趣を愛す
      「モナリザの微笑」は気味悪い
      性病専門の診療所に入院して
      たった「一人」の句を拾う
     ■Ⅴ
      「清和源氏」の末裔である
      下戸がうたう「菊花の酒」
      食いしん坊という話
      立小便する(?)大先生
      「悪妻」について一言
     ■Ⅵ
      早稲田「漱石公園」にて
      松山「愚陀仏庵」を訪ねて
      阿蘇の薄の原をゆく
      天草「海に夕日を」の旅
     ■あとがき
     ■文庫版のためのあとがき

    「夏目漱石」の知られざる素顔を知ることができる貴重な一冊でしたね… 俳句の侘び寂び(わびさび)を理解できていれば、もっと愉しめたんじゃないかと思います、、、

    ちなみに「夏目漱石」の句の中で、著者の一番のお気に入りは、「夏目漱石」が痔の手術のため入院した日に記された、

     「秋風や屠られに行く牛の尻」

    なんだそうです… この句なら、私でも頭の中にイメージを描くことができますね。

  • 2011年6月10日、初、並、帯無
    2016年5月2日、津BF

  • 途中で書かれていたのだが、どうやらこの人は「ノモンハンの夏」を書いた人であるらしい。嘘をつけと思ったが本当でした。ええぇ全然違うくないですか!そして漱石の義理の孫だと。へえー。

    というのは置いておいて、本書は俳句を元に当時の漱石エピソードに照らし合わせて心情等を辿っていくといった構成。俳句は偉ぶらなくてずっと初期の漱石そのまんまって感じ。とはいえ、あんまり上手くないんじゃないの俳句。師匠(子規)にギタギタにされたんじゃ。弟子達にも結構滅茶苦茶に言われてるよね。

    でやっぱり面白いのは漱石本人、そして漱石一味のエピソード。
    ・胃病持ちの癖に何度も食べ過ぎでそれを悪化させる漱石。しかし決して食べ過ぎの事実を認めず。いい年になってからも。そういえば親友子規もしょっちゅう同じ事をやっていたね。ここまで類友。
    ・ゴロゴロしたがり、漱石。そして弟子達も漱石の家で転がる。「だから訪問は先生の家に限る」っていわれるほど。そして作品の登場人物たちもよく転がっていると。言われてみれば確かに。
    ・師匠の家に訪問するというのにいつも手土産を持参しない寅彦君。それを漱石に指摘されるとニヤニヤして誤魔化す。が、「猫」で彼がモデルの寒月君が徐に鰹節を3本懐から取り出すシーンが。指摘されたので寺田寅彦が当てつけにやった実話じゃないかという話でしたが、確かに寅彦君やりそうである。

    あの有名な「勝手に取った鰻の代金を漱石に払わせる居候子規」のエピソードも細かく載っており大変楽しめた。家主が帰ってきても気にせず一心不乱に鰻をピチャピチャ食す子規。とりあえず鰻をピチャピチャってどんな食べ方なんだ子規よ。

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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