パン屋再襲撃 (文春文庫 む 5-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167502010

作品紹介・あらすじ

彼女は断言した、「もう一度パン屋を襲うのよ」。学生時代、パン屋を襲撃したあの夜以来、彼にかけられた呪いをとくための、このたくらみの結果は…。微妙にくい違った人と人の心が、ふとしたことで和んでいく様子を、深海のイメージによせて描く六作品。ところで、いろんな所に出てくる<ワタナベ・ノボル>とは何ものだろう?

感想・レビュー・書評

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  • 「パン屋再襲撃」は不可解な内容だったけど、読んだあとで、感慨にふける時間が楽しい。
    「象の消滅」は、究極の恋愛を書いているのではないかと思う。

    「ファミリー・アフェア」は、仲の良い兄妹の間に妹の婚約者が介入してくる話。村上春樹が書くと、こんなシャレた感じになるんだ。80年代の香りがする。

    短編も長編も、いろいろなことがリンクしていて、どれもこれも外せない。何度でも読み返したくなる。

  • 村上春樹の短編集。再読して当時読んだ時に理解できなかった「象の消滅」をまた読んでやはり理解できなかったが主人公の考えである、象の消滅以降の遠近法が定まらなくなった、行動した後と行動しなかった場合との差異に違いを感じなくなった、というような文章を読んで頷かされた。この短編集は良い意味でも悪い意味でも破廉恥な、というかそれが本来の村上春樹だと思うのだけど、首を傾げながら読んでいった。そのなかでも昔と変わらず好きだと思ったのは「ファミリー・アフェア」だった、全体の軽快なリズムが心地よかった。

  • 村上春樹の物語のありとあらゆる要素に救われてきたが、ひとつだけ実感として理解できなかったのが、わたしたちは既に失われた存在である、ということ。この失われた、の意味が上手く入ってこなくて、失われたもなにも、わたしはそんなになにか大切なものを今までの人生で失ったことってないかもとか考えてたけど、それがなんとなくわたしに響きはじめたかもしれない。失うというのはなにも誰かがわたしから去ったりとか、誰かと死別したりだとか、何か本当に大切なものを物理的に失ったりだとか、そういったことではなく、もっと生きるということ、生きることを積み重ねるうちに誰の身にも当たり前のように生じることなのかもしれない、とふと。感覚的に思ったんだけど、なんか言葉に起こすと嘘くさく聞こえるし、あの時のあっ、これかもみたいな実感がこれを書いている今うすれているから微妙にずれているかもしれない。
    にしても非常に非常に興味深い短編集。この本を読み終えて率直に感じたのは、多分ねじまき鳥クロニクルという代表的長編作品は、村上春樹の小説世界のある意味での再統合であり、その時点での総決算でもあり、重大な意味を持つ小説だったんだなあということ。

  • 登場者:双子、猫、匿名の女、ワタナベ・ノボル、象。

  • パン屋再襲撃の秀逸さは特筆すべき出来。
    あとは1973年のピンボールの続編やねじまき鳥クロニクルに繋がる短篇など、見どころが多い。
    「微妙にくい違った人と人の心が、ふとしたことで和んでいく様子を、深海のイメージによせて描く六作品」と裏表紙には書いているが、和むとも限らないんだけどな。
    それでも僕が和むには充分な六作品だった。

  • 村上春樹の短編って、なんか読み終えたとき不思議な気分になるなぁ。

    「ファミリー・アフェア」がおもしろくて好きでした!
    これはなぜかハマった。
    何回か繰り返し読んだほど。
    兄と妹のなにげないやりとりとか、兄のやれやれ、な心境、ワタナベノボルの空気よめない感がおもしろくて。

    他のも、独特な感覚の、ユニークな人々が出てきておもしろかったです。

  • なんとなく読まず嫌いだった村上春樹さ んの作品。思っていたよりとても読みや すくて良かった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「思っていたよりとても読みや すくて」
      う~ん比喩を読んでいる時に、躓くと「アレ?」と思う時があるけど、次どうなるうだろう?に引っ張られてズ...
      「思っていたよりとても読みや すくて」
      う~ん比喩を読んでいる時に、躓くと「アレ?」と思う時があるけど、次どうなるうだろう?に引っ張られてズンズン読んじゃいます。
      で、、、この本は「パン屋を襲う」とタイトルを変えて新しく出版されるみたいです。
      2013/02/02
  • ハルキストは春樹の短編集を読む。なぜなら春樹は短編の方が面白いからだ。そしてこの作品は春樹の短編集だ。

  • 村上さんの動物の描写って
    なんか温かい。そして可愛らしい。

  • 『パン屋再襲撃』が短編のなかでかなり好きな作品のひとつ。ありえない話なのにリアルに感じられる。わからないんだけど、しっくりくる。彼の作品のなかでも比較的わかりやすい作品がたくさん入っていてとてもおもしろい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ありえない話なのにリアルに感じられる。」
      絶妙よね!
      ところでタイトルを「パン屋を襲う」に変えた本は読んだ?
      「ありえない話なのにリアルに感じられる。」
      絶妙よね!
      ところでタイトルを「パン屋を襲う」に変えた本は読んだ?
      2013/05/28
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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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