TVピープル (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.30
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本棚登録 : 3671
レビュー : 318
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167502027

作品紹介・あらすじ

不意に部屋に侵入してきたTVピープル。詩を読むようにひとりごとを言う若者。男にとても犯されやすいという特性をもつ美しい女性建築家。17日間一睡もできず、さらに目が冴えている女。-それぞれが謎をかけてくるような、怖くて、奇妙な世界をつくりだす。作家の新しい到達点を示す、魅惑にみちた六つの短篇。

感想・レビュー・書評

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  • むらかみさん二つ目。息子の本棚から読みやすそうなこれを選ぶ。
    TVピープル、わけがわからなかった。きっと電気屋さんが三人係りでテレビを納品に来たのだろう、ぐらいに思ったのだが違ったようだ。難解そのもの。後であれこれ考える。

    我らの時代のフォークロアは強烈だった。ミスタークリーンが過去を回想する。確固たる意志で拒み続ける彼女。愛し合っているのに結ばれないふたり。消化不良だ。気鬱な気分だ。
    加納クレタは、ますますわからなくなるが、奇想天外で面白い。ゾンビも。

    一番は「眠り」だ。主人公の女性は、ずっと眠れていないそうだ。だけど周りは気づかない。つらつらと綴れた心境がわかることも多くて、自分に似てるところもあって。
    一見、平穏ななんの不自由もない生活に身を委ねる女性だが・・最後のほうに太字でこう綴っている。
    「何かが間違っている」と。
    読み手によって、取り方は違ってくると思う。女性がノイローゼなのは間違いないと思った。ちょっと頭が痛くなった。

  • 初めての村上春樹
    短編集なので読みやすかった
    特に眠りが面白い

  • 不思議な短編集。
    星新一の短編や世にも奇妙な物語のような、わかりやすい不思議さよりもわかりにくい不思議さ。でも、不思議であることは間違いない。
    「我らの時代のフォークロア」は不思議ではないけど。
    全体的に、細々と出てくる描写がなんのメタファーなのかわからんなあとなるが、それが説明できなくても、その描写から立ち上る"感じ"が捉えられているならまあいいのかもね、と思った。


    「眠り」「我らの時代のフォークロア」が好き。

    「眠り」は様々な哲学が重層性を持ちながら散りばめられている。
    主人公VS夫&息子の対比。
    金縛りに出てきた老人は何を暗示してるんだろうか。

    「我らの時代のフォークロア」は、好きではあるけど"違う"という"感じ"が全体として立ち現れていて良い。
    なぜかと聞かれて、明確に単純な言葉で表すことはできないが、でももう会うことはないとはっきり言える、そういった"感じ"を文章で出すのがすごいね。

  • 短編の村上春樹が特にすき。

  • 加納クレタの話が読みやすくて好きだった。とにかく男に強姦されるというとんでも設定が春樹さんらしくて好き。

    あと元カノに別の人と結婚するまでできないという約束をされた男の話も春樹らしくて好き。そこまで病的に拘られる処女性って何なんだろうと思った。したいときにすればいいと思うよ。

    表題のTVピープルは微妙にホラーでなんかTVを見ない人にTVを与えたかったんだろうなとは思った。私もテレビみないのでTVピープルがやってきてしまうかもしれない。

    あとゾンビで紳士でフェミニストっぽい春樹が女性をボロカスにディスっててびびりました。まあ、あくまでも小説ですけど。のびきったゴムみたいなあそこって何?笑

  • 村上春樹の短篇は、物語が中途半端なところで終わることが多いため、消化不良に陥ることが大半なんだよなぁ。

    でも、時たま、とても良い短篇作品に出合うことがある。
    そういった自分にとっての当たりを見つけるために、ちょくちょく短編作品を読んでいるのだが、本著では、「眠り」がそれにあたる。

    主人公は、夫と息子を持つ、ごく普通の主婦。或る時から、彼女は、一切の睡眠が不要となり、空いた時間を自分の時間に活用するようになる。
    一見すると、とても幸福そうにみえるのだけど、”眠らなくてよい”ことへの不安、自分だけ”他人と異なること”への一種の背徳感、或いはそれに起因する夫や息子への蔑視、羨望が読みとれる。
    そのためか、始まりから終わりまで、ずっと虚無感が漂っているのだ。

    だが、この虚無感は「眠り」に限ったことではない。
    本著の短篇で登場する人物は、自らの意志では変えることのできない何かに縛られている。そして、そういった抵抗できない何かに対する”むなしさ”や”やるせなさ”を終始一貫して感じた。

    いままで読んだ著者の長篇では、主人公が抵抗できない何かに立ち向かっていた。
    結果がどうであれ、強い意志を彼らは持ち合わせているのだ。
    だけど、本著の人物はそれがない。まるで失敗作のようだ。
    でも現実にあてはめてみると、それが(すなわち抵抗できない何かに屈服することが)、大多数を占めるのかもしれない。
    そう考えると、長篇がある種の希望(いい言葉が思い付かない。希望とはまた違う気もするが…)を描く一方、本著は、長篇の底流に流れる影を描く、リアリスティックな叫びをあらわしているのかもしれない。

  • 村上春樹の短編ならこの話が特に面白いよと、この短編集に収録されている「眠り」を薦められた。本当に「面白い」と言ったかどうか思い出せない。歪んだパイプイスに座っていたような浮遊感から、知らない道を一時間ほど歩き回ってみた。

  • 飛行機の話の、温度の低い感じがかなりすきです。天井からぶらさがる色とりどりの紐、まさに地下2階だこれは…と思いました。後半の作品はこわすぎて(ホラー苦手)、個人的にはもう読めない、もちろん素晴らしいです。

  • 外出自粛期間中に読んだ本。久しぶりに小説を読むにあたり、村上春樹の本なら読めるかなと思ってチョイス。
    結果、面白かった。独特の雰囲気芸と、オシャレ感、あまり物事に真剣になっていない感じは自分は好きじゃないはずだが、村上先生の本は好きなのだ。

  • 日常のなかのちょっとした違和感から底のない暗闇にひきづり込まれていく感じ。理解できないものへの恐怖ではなく、自分ですらも気づいていないことを追体験をしたような恐怖。非現実なようで、どこまでも現実的に感じる不思議。この現実と非現実の狭間で揺れられる時間、最高の娯楽だなぁ。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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