レキシントンの幽霊 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (1999年10月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784167502034

みんなの感想まとめ

幻想的な雰囲気と心地よい文章が特徴の短編集で、村上春樹の独特な世界観が広がっています。全7編からなるそれぞれの物語は、現実と少しズレた感覚を持ちつつ、読者に深い思索を促します。物語の中には、暗い雰囲気...

感想・レビュー・書評

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  • 短編
    村上春樹さんはなんだか流れるように美しい文章を運んでくれる
    「時間は僕のまわりを心地よく穏やかに過ぎ去っていった。まるでぴったりとサイズのあった ひとがた に自分を埋め込んだような心持ちだった」
    「そのあとでようやく、それに気がついた。音だ。
    海岸の波の音のようなざわめきーその音が、僕を深い眠りから引きずり出したのだ」
     どんな言葉も心を落ち着かせてくれるような
    そんな文章たちの一冊

  • 5年間のアメリカ生活を終えて執筆された『レキシントンの幽霊』。アメリカに因む村上春樹の作品は他にも色々ありますが、いつ読んでもいいなと思います。文体から伝わる時間や空気の流れ方、特に家で音楽や酒、読書に耽る描写は、天井が高く少し肌寒いアメリカンスタイルの部屋に読み手も引き込まれる気がしてとても好きです。僕も仕事の関係で少しの間、西海岸の街サンディエゴで過ごしていたのですが、読むたびに当時の生活を思い起こしてくれる存在です。僕自身、東海岸の街には行ったことがないので、村上春樹が過ごしたプリンストンやケンブリッジにも訪ねてみたいですね。

  • 7編からなる短編集。
    現実世界のようでありつつ、そこから一歩ズレたような、幻想的な雰囲気をはらんでいると感じました。

    どの話も決してスッキリしないというか、モヤモヤ感が残るんですが、それでも読後感は良かった。
    全体的に暗い雰囲気が漂ってますが、それが意外と、読んでて心地良かったです。

    話は逸れますが、自分はこういう文学作品を読む際も、そのまま実直に読むというか、特に作品におけるメタファーは特に考えずに読む(というか、頭悪いので、そこまで思考が及ばない)ので、他の方の感想を見るとそこんとこ上手く言語化してて凄いと思った。

  • 「沈黙」「七番目の男」が好きです。「めくらやなぎと、眠る女」を読んでいる時、なんかすごく既視感(既読感?)があって、でも思い出せなくて、何だったっけ…と思ってるうちに読み終わって、調べたら違う短編で既に読んでいたという(長さが違うものだけど)。恥ずかしい。「沈黙」では「僕が本当に怖いと思うのは(中略)口当たりの良い、受け入れやすい他人の意見に踊らされて集団で行動する連中です(以下略)」というところに頷かずにはいられない、30年も前に書かれたものなのに、今の時代がまさにそのような感じだよなあと思ってみたり。

  • 「レキシントンの幽霊」
    アメリカの古い屋敷で体験した奇妙な出来事。もっと怖いことが起こるのかと思っていたが、読んでみるとそうでもなかった。
    目を見張るような立派なレコードコレクション。
    大量の本やレコードを見ると、それらが生き物のように感じられることがある。
    そのあとの「緑色の獣」「沈黙」「氷男」の方が怖かった。
    幽霊よりも、人の心の奥底に潜んでいる目に見えないものの方が、無限の怖さがあるということに気づいた。
    「トニー滝谷」と「めくらやなぎと、眠る女」は、長編小説の欠片のよう。
    村上春樹は短編小説にもさまざまな発見があって面白い。


  • 作者の短編集読み漏らし②
    ボリュームは200p弱だが、どの作品もかなりヘヴィーで読後に陰鬱なしこりが残る。
    また全体的に示唆的で、作者の価値観・物の捉え方に対する提示がなされ、意外と他作にはない色合いを持つ。
    コンセプチュアルとも言えるし、執筆当時の作者の心情にも思いを馳せれる、とても充実した内容だった。

  • 妖しく不思議な話の世界が美しく描かれている。短編集なので読みやすかった。

  • 秀作揃い
    「沈黙」虐めの群衆心理。怖いのは人の言い分を無批判に受入れ信じる人々。
    「レキシントンの幽霊」留守番で幽霊パーティー遭遇。建築家の孤独。死を悲しむ者の不在。
    緑獣/氷男/トニ/7番/盲柳

  • ちょっと不思議で、様々な形の怖さが描かれた短編集。
    短編だから一つ一つの作品はさっくり読めるけど、内容は何を伝えたいのかな?ってじっくり考えなきゃいけない感じでした。(自分としては)

    個人的には『七番目の男』。恐怖との向き合い方が考えさせられました。

  • 孤独や閉塞感、喪失感といった長編でもお馴染みの重いテーマが扱われており、読み応え充分の短編集。

    以下、各話の感想や記録

    「レキシントンの幽霊」
    不思議な事を自然現象のようにサラリと綴る。村上春樹らしい作品。

    「緑色の獣」
    なんだろう。村上春樹の描く異形のものは何故か怖くない。どこか愛嬌ごあり、そこはかとなく悲しみを漂わせる。それに比べて女性は怖いな。って感想であってますかね?

    「トニー滝谷」
    同名の映画『トニー滝谷』の原作。映画は市川準監督、イッセー尾形、宮沢りえ主演。観たのは10年以上前だったと思う。
    倉庫のような部屋で故人が残した膨大な服に対峙する宮沢りえが印象的だった。
    空調の音だけが聞こえる人工的な静寂のなか響く衣擦れの音、ハンガーが触れ合う音、 そしてすすり泣く声。理屈で説明できない感情が映像と音だけで伝わってきた。
    なぜ泣くのか?原作も具体的な言及はない。ほぼ状況説明だけの淡々とした語り口だけど、不思議と得心が行く。不思議な魅力的がある作品です。

    「七番目の男」
    喪失感。短編とは思えないような読み応えのある作品。

    「めくらやなぎと、眠る女」
    耳の中に巣食う微小な蝿!緑色の獣とは違って、こいつは怖いです。

    「沈黙」
    ボクシングの話かと思いきや、、、イヤミスのようなストーリー。

    「氷男」
    氷男自体は怖くないのだけれど、、、この閉塞感は村上春樹の世界ですね。

    登場した不思議な生物たち
    ・緑色の獣
    ・氷男
    ・めくらやなぎ
    ・耳の中に巣食う微小な蝿
    ・幽霊

  • 恐怖がテーマの短編集だったが、本当に怖いホラー作品というよりも怖いけどどこか美しさも感じる細やかな描写で、小川洋子さんの作品を感じるような儚さもあったように思う。どの作品もわたしの好みだったけど、1番良かったのは『トニー滝谷』『氷男』は短編でありながらも長く読んだような満足感があり、少し寂しさもあったのが良かった。
    どことなく不思議な、不可解な雰囲気を作り出しているのがすごい。

    表題の『レキシントンの幽霊』も怪奇的な雰囲気が良く、それがもう2度と感じられないというような儚さがいい。

  • 7つの短編からなる村上春樹ワールド、不思議な物語。独特なユーモラスな描写や心の奥底の的確な表現によって、物語に引き込まれていく。

    ピアノ調律士であるジェレミーが住んでいるレキシントンのアパートで不思議な出来事。決してホラーではない。後半は深みのある哀愁を感じさせられる。
    緑色の獣は何を伝えたかったのだろう。人の心に潜む獣の形は実は自分自身なのかもしれないと感じてしまう。
    沈黙では、本当の怖さは迎合する人の本能のようなものが上手く表現され、疑問を提起している。メッセージ性の強さを感じる。
    氷男、なぜ氷男なのだろう。深掘りすると面白い。髪の毛の白さ、物理的な冷たさや歴史上の凍結の話題、時空を超えて過去も未来もない世界。
    トニー滝谷、トニー谷は大昔の芸人だが、それとは別だ。おもしろトナカイでもない。孤独とは何だろう。
    七番目の男、読み始めはホラーの様相であった。過去の経験から生まれた心の暗闇に向き合い、その苦しみを乗り越えていく。それは自分の心の都合に合わせているかのようだ。
    めくらやなぎと、眠る女では文章の美しさが目を惹く。文字から人物や風景が瞼に映し出されるほどに。

    それぞれにテーマがあり、現代社会への問題提起をしているように感じた。読み手の想いや考え方次第でさまざまな色を着色できる作品だ。

  • 7つの短編どれも読みやすい。緑色の獣は少し哀しい。沈黙、レキシントンの幽霊が好きです。

  • 私は氷男と結婚した。

    ―『氷男』の書き出しより

    まるで書き出し小説のお手本のような書き出しです。この書き出しからどんな物語が始まるのでしょうか。期待感が高まります。

    とはいえ本書決して楽しい話ではなく、むしろ不穏な物語ばかりなのですが…。

    先日の『TVピープル』もそうですが、このころの村上作品が自分は好きなようです。

    現実から少し離れたいとき、不思議な世界に浸りたいときにおすすめです。

  • 歴史のある洋館、マホガニーの机、何千枚ものジャズレコード……の登場する小説を、和室、シルバーラック、山のようなヲタグッズに囲まれて読むワイくんw
    いつもはこの悲しい対比が嫌で「村上春樹なんか読むか!」なんだけど、今回はなんかこう、村上春樹ワールドにしっとりと浸かれた
    めちゃよかったです。
    幻想的な作品群の中で『沈黙』だけが感情むき出しの現実を描いているのが印象的だった。再読したい。

  • 並走する異世界、ふと交錯し失われる日常の…
    表題作レキシントンの幽霊、トニー滝谷、七番目の男が良い。
    表題作は高校の教科書に使われたりもしてたんですね。

  • 「村上春樹を読む」(113)チョコレートを溶かさないように 地震と村上春樹作品 | 福島民報
    https://www.minpo.jp/globalnews/moredetail/2021022501001518

    「村上春樹を読む」(114)予言的な『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 地震と村上春樹作品 その2 | 福島民報
    https://www.minpo.jp/globalnews/detail/2021032501001855

    文春文庫『レキシントンの幽霊』村上春樹 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167502034

  • - 掴みどころがなく、ラストも明確な描写が少ない → 読者が汲み取る必要がある。
    - ただ、その分文章に引き込まれるし、他では聞けない物語。
    - 全編を通じて「恐怖」について描かれている印象。
    - 恐怖にどう感じ、どう行動するのか。
    - 自分が最も恐れるものは何か。
    - 大事なものを失う前に理解し、目を逸らさずに向き合いたい。

  • 久しぶりな村上春樹
    明瞭な文体で読みやすい
    どの短編も良かったけど
    「沈黙」が良かった

    ブックオフにて購入

  • 村上春樹ワールドが短編にギュッと濃縮されておさまっていて短編の割に1話1話の満足感が結構高い。個人的に1番好きだったのは7番目の男だったか、めくらやなぎも好きだった。

    しかし!長編を最初に読んでしまったからかいささか物足りない感も、、
    村上春樹の世界に浸りたい!と思ったら長編を読むしかないか

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著者プロフィール

村上春樹・作家。1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。’79年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『スプートニクの恋人』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)などがある。2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、オコナー国際短編賞、’09年エルサレム賞、’11年カタルーニャ国際賞、’16年アンデルセン文学賞、’22(令和4)年チノ・デルドゥカ世界賞を受賞

「2025年 『街とその不確かな壁(上) (新潮文庫)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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