レキシントンの幽霊 (文春文庫 む 5-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167502034

感想・レビュー・書評

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  • 理解できない話が多かったです。しっかり読み込めば何か意味深いものがあるのかも知れないけれど。
    「沈黙」と「めくらやなぎと、眠る女」は私には面白かったです。「トニー滝谷」は映像化されているらしいので観てみたいです。

  • 【読み終わった今の勢いで】
    この世界の、人間の、怖いところ、恐ろしいところが様々な観点から描かれた短編集。読んでいると自分の「怖さ」にまつわる記憶が走馬灯のように浮かび上がってきて、静かな恐怖の中に閉じ込められるのですが、本を閉じようとも思えない、不思議な引力がありました。
    特に簡潔で明快な「沈黙」と「七番目の男」の最後の数行でそれぞれの主人公が残す言葉が印象的です。
    ある先生がおっしゃった、人間は人間という存在の暴力性と向き合い続けなければならない、という言葉を思い出します。暴力性というのは、ある意味で恐怖という言葉に置き換えられるのではないでしょうか。人間の恐ろしいところとの対峙をやめたとき、人間は他者に対して無自覚のうちに暴力を働いてしまっているかもしれないということや、そもそも恐怖と対峙するということが困難であること、様々な問題の入口に自覚的になれた作品です。ただ、あえて上記二作品を印象的だと挙げたように、残りの作品の中には、「怖い」という感情だけがぼんやりと残る、まさに底無しの恐怖の所在だけが分かるような作品がありました。「緑色の獣」とか。何度か読み直そうかと思いましたが、今すぐもう一度開こうとは思えません。怖さと向き合うのはやっぱり簡単ではないわけです。

  • 癪に障る人物の描き方が秀逸。
    ボクサーの話が良かった。

  • 不思議で不気味な雰囲気の短編集。楽しめた

  • 「村上T」を読んだ時に「トニー滝谷」のエピソードがあって、読みたくなって10年以上振りに書棚から本書を引っ張り出した。
    購入当時これを読んだ後に1983年に「文學界」に掲載された「めくらやなぎと眠る女」を読みたくて「螢・納屋を焼く・その他の短編」を買ったので恐らく読んだはずなんだけど、全く内容を覚えていなかった。その時は全然刺さらなかったのかな。

    やはり私にとって村上さんの作品はストーリーとか結末とかそんなことよりも独特の文章、それはもう芸術的といえると思うんだけど、その例えや会話を、心ゆくまで味わい、楽しむためにあるんだと思う。

    写実的に、情緒的に、迫る風や波、箱の中で溶けるチョコレート、彼女の片方の胸ポケットの小さな金色のボールペンや、V字に開いた胸元から見えた平らな白い胸。

    「トニー滝谷」はもちろん素敵で、映画にもなっていてそれをイッセー尾形と宮沢りえが演じ、坂本龍一が音楽を担当しているなら観ない手はないと思ったし、「めくらやなぎと、眠る女」では何故だかとても悲しくて泣きたくなった。
    「ノルウェイの森」を読んだ時のような気持ちを思い出した。

  • 村上春樹の小説に初挑戦。いくつかの有名な長編小説ではなく7話の短編集から入ったのですが、はっきり言って無理。
    7話とも何がいいのかさっぱりわからないのは、自分の感性が世の中について行かないのかと思って落ち込みそうです。
    何とか理解するために有名な長編小説を読んでからもう一度読み直してみようかなとも思っているところです…。だいぶ先になると思いますが。

  • 村上作品に挑戦しようと短編集から入りましたが...
    まだまだ自分の読む力が不足しているのですね。


    内容(「BOOK」データベースより)
    古い屋敷で留守番をする「僕」がある夜見た、いや見なかったものは何だったのか?椎の木の根元から突然現われた緑色の獣のかわいそうな運命。「氷男」と結婚した女は、なぜ南極などへ行こうとしたのか…。次々に繰り広げられる不思議な世界。楽しく、そして底無しの怖さを秘めた七つの短編を収録。

  • 1980~1990年代に書かれた短編集。
    “孤独”や“心の奥底にある恐怖”が
    テーマになっているように思えた。
    村上春樹作品は長編が2~3作と短編集が他に1作くらいしか読んでないけど、もしかしたら短編のほうが好きかもしれない。
    淡々と、静かに、美しい日本語で、目には見えない恐怖に引きずり込まれるような感じ。
    「トニー滝谷」は前に映画を観たけれど、映画もまさに、静かで美しくて哀しかった。その雰囲気は、小説も同じだった。

    目に見える恐怖よりも、目に見えない恐怖(罪の意識だとか、過去の思い込みだとか)のほうがずっと恐ろしい。

    「沈黙」が一番印象に残った。
    一見善良そうに見えて実はとんでもなく腹黒い人間って実際いる。
    頭も良ければ自分を善く見せる術を知っているから更に恐ろしい。そうして周りをコントロールしていく。
    そんな黒い人間の裏側に勘づいてしまった語り手の不幸な出来事とその後。
    結局最後に勝つのは、自分は正しいと強く信じられる心なのだと思う。

  • 何冊か読んだ短編集の中では、一番読みやすかった。好きな話は表題作と「めくらやなぎと、眠る女」。「氷男」も、ひんやりと白い世界が広がり、それがなんともいえない孤独感と合わさってよかった。「緑色の獣」はちょっと可哀想な気もしたが、よく考えると厄介なストーカーなので仕方ない。私は村上作品に出てくる男女の醸す雰囲気が得意ではないのだが、本書はそれが気にならず、幻想小説を読んでいる感じに近かった。

  • 丁寧で上質で心地よい読みくち。けっこう悲しかったり辛かったり、どうしようもない気持ちになる。

    鬱の星新一

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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