意味がなければスイングはない (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1396
レビュー : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167502096

感想・レビュー・書評

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  • 取り上げられている音楽には、殆ど触れたことはないのだけど、文章がとにかく面白い。
    やっぱり、村上春樹のエッセィは面白いの一言に尽きる。
    何が面白いと指摘するのは難しいのだけど、テンポや言い回しが独特で、すいすいと読めてしまう。

    これらの音楽に馴染みのある人なら、もっともっと面白いんだろうなと思った。

  • タイトルからは意外だけれど、ジャズだけではなく、ロックや、ポップス、クラシックに至る村上の音楽エッセイ。
    この幅の広さが楽しいですね。
    結構、取り上げられているアーティストの作品を訊いたことがあったのでなおさらです。
    一つのジャンルに集中しないで、このくらい幅広く聴いた方が音楽っていいんじゃないかと思うな。

  • 村上春樹における音楽論。短編集みたいな構成で、短編1つに一人(または二人)に焦点を当てて、村上春樹自身の個人体験(コンサートに行った、CDを聞き比べた等)を軸に音楽論(主にジャズ論)を語る、という構成の本。掲載されている人は聞いたことが無い人が殆どなんだけど、村上さんの独特の切り口の論を読むと、その人の音楽が聴きたくなる、という不思議な本でもある。過去においては、村上さんはウィスキーについて語っていたけど、それの音楽版という感じかな。ウィスキーの本と同様に、この本を読むと何か音楽を無性に聴きたくなるね。

  •  オーディオ専門誌「ステレオサウンド」に掲載された音楽に関するエッセイをまとめたもの。
     対象となっているのは、ブルース・スプリングスティーン、ブライアン・ウィルソン、ウィントン・マルサリス、スタン・ゲッツ、フランシス・プーランク、シューベルト、スガシカオ等々。
     これらの音楽を村上春樹氏がどのように聴き、どのように感じ、どのように解釈したか、といったことが書かれているのだが、正直これらの音楽ファン以外のいわゆる「ハルキニスト」にどう受け取られるのかは、皆目見当がつかない。
     僕はここに挙げられたアーティストや作曲家(全10組)の殆どを知っており、また幾人かは長年聴き続けてもいる大ファンでもあったりする。
     そういう僕の大好きなアーティストを、これまた僕の大好きな作家がどのように記述するのか、といった興味もあり、大いに楽しみながら読み進めることが出来のだが。

  • ・ブライアン・ウィルソン

    ・シューベルト
    ピアノソナタ
    クラシック音楽を聴く喜びの一つは、自分なりのいくつかの名曲を持ち、自分なりの何人かの名演奏家を持つことにあるのではないだろうか。 「自分だけの引き出し」

    ・スプリングスティーン
    ネブラスカ リバー

    ・スガシカオ
    神と毒薬  日常の閉鎖感を洗い流してくれる

  • この本は音楽について書かれたエッセイを集めた一冊だ。
    その冒頭の一遍はビーチ・ボーイズ、特にバンドのリーダーであった
    ブライアン・ウィルソンについて書いてある文章だ。

    ブライアン・ウィルソンという人は矛盾とミスマッチを抱えている。
    彼自身が作り上げたビーチ・ボーイズは
    アメリカのイノセンスを象徴するようなバンドだった。
    「太陽の光、海、元気な男の子と可愛い女の子の笑顔、サーフィン、オープンカー」
    彼ら自身がアルバムジャケットでサーフィンを抱えてニコニコしている。

    ところがブライアンは海に行くことはなかった。
    泳げなかったそうだ。
    だけれどもファンに求められるまま
    太陽の光に照らされる海を唄いつづけなくてはならなかった。

    ビーチ・ボーイズという「お金」を生むバンドのマネージャー
    はブライアンの父親が務めた。
    父親は常にブライアンの仕事を監視しコントロールした。
    父親はかって成功できなかった作曲家であった。
    ブライアンは素晴らしい楽曲を作り続けた。
    しかし父親が作曲家としてのブライアンを
    認めることはずっとなかったという。

    時は流れアメリカはヴェトナム戦争の泥沼にはまる。
    アメリカのイノセンスを象徴していたビーチ・ボーイズは
    次第に世間から忘れ去られていった。
    ジミ・ヘンドリックスは言った。
    「今時、誰がビーチ・ボーイズなんて聴くんだ?」
    ブライアンの父親はビーチ・ボーイズの
    「金銭的な価値」はもう失くなったと判断した。
    だから1969年にブライアンの作った楽曲の権利の一切を売り払ってしまった。
    そのことに深く傷ついたブライアンはドラッグに溺れることになる。

    それからブライアンはビーチ・ボーイズの中で
    次第に後ろに引き下がるようになった。
    他のメンバーたちが主導権をめぐって争った。
    彼らは実の兄弟であり、従兄弟たちでもある。
    ビーチ・ボーイズはいつの間にか懐メロバンドになった。
    そこにさらにドラッグの深みにはまったブライアンの
    いる場所はもうなくなっていた。

    春樹さんはこのエッセイの中でスコット・フィッツジェラルドの
    言葉を引用している。
    「アメリカに第2章はない」
    ドラッグに溺れ才能を無駄にしたブライアンに第2章はないかと
    誰もが思っていた。

    しかし華々しくはないがブライアンは静かに第2章を始めていた。
    時は流れかってのビーチ・ボーイズたちの何人かは
    もう亡くなっていた。
    だけど生き残ったブライアンは静かに第2章を唄い始めていた。
    そのブライアンの様子をワイキキで観た春樹さんの文章がとても良い。
    まさに透明感ある水のようでありながら人肌くらいの暖かみのある文章だ。

  • 56/353

  • あれだけ長編小説やエセーをがんがん書きながら、音楽をきちんと聞く時間がどこにあるのだろう?

  • 最近は聴き放題サイトが便利なので、AppleMusicで紹介されている音楽を聴きながら読んだ。これがとてもおもしろい遊びでした。ポートレートインジャズではひとつひとつの紹介が短すぎてあまりその音楽を味わえなかったけど、これは読み応え&聴き応えありです。
    まあ、昔からアメリカンポップス・ロック好きということもあり、ブライアン・ウィルソンとブルース・スプリングスティーンの章はなかなか感慨深いものがありました。これを読まなければビーチボーイズのサンフラワーなんて一生聴かなかったかもしれなし、ボーンインザUSAなんてこんな歌詞だなんて気にもしなかっただろう。改めてまだまだ知らない音楽とその歴史があると思い知った。

  • 前回はスプリングスティーンとその他的読み方をしていましたが、今回はjazz、classicも目を凝らして読みました。
    最近読んだ村上春樹の音楽本と比較し、再読のせいもあるのかイマイチだったので★評価は少し辛めかも。
    世界の色んな街での音楽の置かれた環境が垣間見えてなかなかに興味深いですが、当たり前ながら欧米中心。その他の場所ではどんな感じで音楽が暮らしの中にあるんだろう?特に中東辺りが気になる、何故かしら。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ、早稲田大学第一文学部演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーターキャット」を国分寺に開店していた。
1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴があるが、芥川賞は候補に留まっただけで受賞しておらず、賞に対する批判材料となっている。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年の発表時期は日本国内でニュースになっている。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。
翻訳家としての仕事も高い評価を受け、フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけてきた。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、いまなお作家として成長を続けている。
代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。

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