夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1513
レビュー : 105
  • Amazon.co.jp ・本 (586ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167502126

作品紹介・あらすじ

村上春樹が語る村上春樹の世界。19本のインタビューで明かされる、いかに作家は生まれたのか、創作のプロセスについて-。公の発言が決して多くない村上春樹は、ただしいったんそれに応じるや、誰にも決して真似できない誠実さ、率直さをもってどこまでも答える。2011年6月に行われた最新インタビューをオリジナル収録。

感想・レビュー・書評

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  • ああ、面白かった!!

    村上さんは、読書体験を積み重ね(インプット)、29歳で初めて小説を書いた。

    「僕はこれまでに自分が読んできたヨーロッパやアメリカの作家の作品から、あらゆるものを片端からかき集めるようにして借用したわけです。文体や、ストラクチャーや、とにかく何もかもをごたまぜに。その結果、僕は自分自身の日本語の、オリジナルなスタイルを獲得することができた。(p.214)」
    というのを読んで、文学版フリッパーズギターみたい!と思ってしまった。

    村上春樹はロックスターなのだ、だから自分は惹かれるのだなと思った。


    20年来、わたしは村上春樹の熱心な読者です。
    内容はもちろん、登場する料理やら音楽やら、
    そういうものから受けた影響も大。
    ドアーズ、ビーチボーイズ、ビートルズ、ビル・エヴァンス、スタン・ゲッツ、ブラームスやベートーベン…思い返せば、随分と追いかけて聴いてきた。
    今のわたしの音楽的趣味の基盤を作ったといえるほど。


    だからこのインタビューはすごく興味深かった。
    どんな小説を読んできたか、どんなふうにして小説を書いているのか、小説で何を表現したいのか、長編小説と短編小説を書くときの違い、これまでの小説はどこで書いたのか、日本について、日本の小説についてどう考えているか…そういうことがよくわかって、とても面白い。

    話される言葉も小説の文体のようにリズムがよく、ぐいぐい読んでしまった。


    ご自身のエッセイや安西水丸さんの村上さん評、あるいは「エルサレム賞」受賞時のスピーチなどから、その人となりについての基本的な知識やイメージは持っていて、この本を読んで意外に思うようなところはまったくなかったけど、何しろもこんなにまとまったインタビュー集は初めて。
    もれ聞えてくる情報とはボリュームが違う! お腹いっぱい。楽しめました。


    村上春樹さんは人として実にまっとうな方であり、ストイックで健康的な生活を送り、混沌とした世の中にあっても良い物語で世界が変わると信じ、常に前に進もうとしておられることがよくわかった。

    また小説を読み返したい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「お腹いっぱい。楽しめました。」
      やっぱり早く読まなきゃ~
      「お腹いっぱい。楽しめました。」
      やっぱり早く読まなきゃ~
      2012/12/06
    • ゆきさん
      nyancomaruさん
      花丸とコメント、ありがとうございます!
      春樹さんがご自身について語られる機会は決して多くないと思うので、このインタ...
      nyancomaruさん
      花丸とコメント、ありがとうございます!
      春樹さんがご自身について語られる機会は決して多くないと思うので、このインタビュー集は貴重です。
      ぜひ読んでお腹いっぱいになってくださーい!
      2012/12/07
  • 制作活動に対してとにかくストイックなところ、
    世の中に対して絶妙な距離を保っているところ、
    ぶれることのない軸を持って生きているところ。
    全てが好きです。私も自分だけの時間が流れる
    世界で生きたいです。

  • 背表紙見てるだけで落ち着きます。

  • インタビュアーの春樹愛がすごい。
    村上春樹のぶれなさもすごいけど、頑固な感じがしない。
    話し言葉がもうあの文体ってなぜ。

  • 二年半前の震災から、小説というものをほとんど読む気がしなくなっていた。いま起きている事は小説の世界を超えていて、フィクションの世界に浸って夢を見ている場合じゃないような気がして、今までのようにフィクションに没頭する事が難しいような気がしていた。また、あの圧倒的な震災後(しかもフクイチはまだ継続して汚染をまき散らしてる)、文学の世界にいる人たち(とくに著名人といわれる人々)が個人的にもまた作品を通しても大きな声を上げてこなかったことにとても残念な気持ちがあった。しかし、村上春樹が震災後行ったいくつかのスピーチやインタビューは、そんな中でちょっとした希望のようなものを抱かせてくれた。真摯で謙虚な態度というのがこの作家の一貫した姿勢だと思うのだが、日本人の作家として震災後に何ができるか、そういうことを真剣に考えてくれている事がとても嬉しかった。
    私は村上春樹がどんな思いで各作品を書いたとか、正直あまり興味がない。作品を読んで面白かったらそれでよいから。だから本人からの解説とかはどうでもよい(実際村上春樹はそういうことはあまりしない)。私がいまいちど確認したいのは、フィクションの中にある物語が、どんなふうに自分の中で開花して生きる力につながるかということである。どう考えても絶望的な現実の中で(放射能汚染されて好戦的で全体主義国家的な様相を帯びてきた超資本主義自由主義経済/反福祉/自己責任社会である日本は、どう考えても私には明るい社会には思えない)、フィクションが私たちに与える意味はなんなのかと。そして、日本は国を挙げて自前の「物語」(つまり幻想のようなもの)を積極的に推進しようとしている。絆がそうだし、食べて応援もそうだし、復興もオリンピックもそうだ。本当に必要なものってそんなことじゃないのに、いまだに自然を削り取って箱ものを作って人を呼べばなんとかなると思ってる。汚染された場所に子どもたちを置き去りにして、スポーツで夢と希望を与えましょうと言う。農家や漁師に、汚染地でも作物を作って頑張って生きろと言う。そしてそれが美しい事であると信じ込ませようとしている。そういう場所から、日本語で、同じ言葉をもって読者の中に何かを生まれさせようという努力を怠らない村上春樹は、私は数少ない信用できるものの一つであると思う。
    村上が、僕たちは僕らの物語で彼らの物語に対抗しなければならない、というとき(このインタビューでもページは見つけられなかったがそんなことを言ってた)、私は自分の中に力強いものが生まれるような気がする。私がこうありたいと思う私、生き方、社会は私の中から生まれ得るんだという確信、それはフィクションのような物語によって励まされるんだという、味方を得たような心強さがある。そういうことができる作家というのは、正直、あまりいないのである。村上春樹の技術的な部分はもちろん超一流なのだが、そういうものを超えた根本的な魅力というのは村上春樹が物語に絶対的な信頼をおいてるからだろうなと思う。

  • ストイック!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ストイック! 」
      この本は、と~っても有用でした。繰り返して出てくるキーワードとか。。。
      「ストイック! 」
      この本は、と~っても有用でした。繰り返して出てくるキーワードとか。。。
      2013/07/18
    • クマコ・ヘンリーさん
      飛ばし読みしちゃいましたが。村上春樹氏はアスリートみたいにストイックでしたね。走る事も早寝早起きも翻訳もビールを飲む事もすべてよりよい小説を...
      飛ばし読みしちゃいましたが。村上春樹氏はアスリートみたいにストイックでしたね。走る事も早寝早起きも翻訳もビールを飲む事もすべてよりよい小説を書くためにやってるのだな〜。と思いました。
      2013/07/19
  • 読んで本当によかった。借りて読んだけど、買ってもよかった。付箋を貼りたい箇所がたくさんあった。と言うか、こんなん出していいのかな、と思うくらい、一挙にまとめて読むと村上春樹と言う人となりと作品の世界観がよく理解できる。職人的だったり天才的だなと思う小説を書くうえでの細かなテクニックの話も面白かったし、彼の哲学・美学もたくさん知り得ることができて、ますますファンになった。次の新作を読むのが楽しみ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「次の新作を読むのが楽しみ。 」
      4月に文藝春秋から長編出るそうですね。私も今から楽しみです(と、書いてるけど文庫派なので、文庫になるまで我...
      「次の新作を読むのが楽しみ。 」
      4月に文藝春秋から長編出るそうですね。私も今から楽しみです(と、書いてるけど文庫派なので、文庫になるまで我慢するんですけどね)。。。
      2013/02/21
  •  バカですか?わたしは。586ページもあるものを年始2日目にして読み終えてしまったという。今実家。どれだけ何も無いんだよ実家。いやいや、ゆっくり過ごさせていただいてます。


     今日この本を読みながら、転寝をしてしまい、小さな夢を見た。

     夢の中で、私は本を読んでいて、そのお話を夢の中で想像している夢だった。

     不思議なことで、そのお話の内容を、私は今でもよく覚えている。妙に想像が鮮やかで、話としては変なのだけど映像がとても美しい夢だった。


     女の人が、道端でタクシーを捕まえ、運転手さんとつかの間お話をするという夢だった。
     その運転手さんは、とても孤独な人で、そして木が好きな人だった。木を見つけるたびに、邪魔にならない程度に、その木について乗客に話して聞かせていた。この女の人(若くてボブの髪の毛の可愛らしい人)のときもそうだった。どうやら車を進めていくうちに、洋梨の木を通りすぎた。運転手は、洋梨の木にまつわるうっとりするようなお話を女の人の聞かせた。とても穏やかな時間が過ぎて言った。

     そこから・・・私の脳は極端なつじつまを合わせ始める。女の人が、とても速い車が隣りの車線を通りすぎた瞬間、「その車を追いかけて下さい!」という。どうやら女の人には事情があるらしい。
    運転手さんは、自分の話を穏やかに聴いてくれた女の人のことをとても好意的に思っていたので、なんとかその望みにこたえようとしたのだが、ちょっとした運転ミスを犯して女の人に怪我を負わせてしまう。

     運転手さんが、怪我をした女の人が入院している病院にお見舞いに行くシーンに変わる。
     謝罪と共に、何か償いをさせてくださいと運転手が申し出る。(そもそも原因は女の人にあるのだけどね。)女の人は、「また、お見舞に来てください。そのときは、あなたの話してくれた香りの良い洋梨を持って来てください」と言う。「今はまだ、実の熟すシーズンじゃない。」と運転手が答える。彼女は、「では、洋梨の木の葉をください。あなたの話してくれたお話の香りを、いつでも私が思い出せるように。」というような話をして終わる。

     ここまで状況説明を書いてみて、わたしは死んでも作家にはなれんだろうと思ったのですが、まだ夢の中です。

     「今読んでるこのインタビュー集にこんな話、載ってたっけ?っていうか、村上春樹はこんな(変な)話書いてたか?」と手にしている本を見返した所で目が覚めました。「これから十年は再び理想主義の時代になるべき」というページを開いたままの自分に気づき、全てが夢だと気づくという。

     初夢は、なんだか覚えていませんが、何かを追いかけている夢だった気がします。私の夢は大概何かを追いかけているか、何かに追いかけられているか、歯が抜ける夢です。恐怖心が夢に出てきている気がします。でももしこの鮮やかに覚えている夢を「初夢」としていいのなら、とても穏やかに一年が過ごせそうな、暖かい気持ちになります。寝る前に頭に入ってきていた、膨大なイメージと活字がこの夢を見させてくれていたのであれば、わたしは想像力の偉大さと脳みその可能性についてとても敬服します。

     なんのこっちゃ、この感想。

    • ikusaさん
      村上春樹の文章は、読む者の無意識の深いところを刺激してくるのですね。私も、村上春樹の短篇集『回転木馬のデッドヒート』を読んだあと、ネクタイが...
      村上春樹の文章は、読む者の無意識の深いところを刺激してくるのですね。私も、村上春樹の短篇集『回転木馬のデッドヒート』を読んだあと、ネクタイがうまく結べなくなったことを思い出しました。
      2013/01/03
  •  初めて村上春樹を読んでから、ちょうど10年が経つけど、どうして新作が出るたびにニュースになるほどの魅力があるのか、よくわからなかった。この本を読んで、初めて魅力がわかったように思う。読んでいる途中で再読した「羊をめぐる冒険」はとても面白く読めて、それがとても意外だった。初めて気づくことがあるのが、たぶん純粋に楽しかった。「小説はあれこれ言う前に、まずは文体だと思う」。同じことを大学で学んだけれど、この本を読むまでは理解できなかった。別の作家の本も読んでいたが、面白さががらっと変わってしまった。「フィクションを書くのは、夢を見るのと同じです」という言葉に込められた、物語を書く楽しさは、読者である僕たちでさえわくわくさせられるような子どもっぽさがある。佐藤優氏が「1Q84」の書評で、村上春樹と同時代に生きていることを感謝したい―というようなことを書いていた。密度の濃い文章をじっくりと味わえる、そんな稀有な小説家の存在に気づけた本書に感謝したい。

  • 村上春樹のインタビュー集。
    日本人によるインタビューは、知りたいことが書かれているが驚きはない。外国人によるインタビューは、逆に「そんなこと聞く⁈」と知りたいと思ってもいなかったことが飛び出して楽しい。

    日本人によるインタビューは、舞台裏を聞く、その時の気持ちを聞く、文体(テクニック)にこだわる、という傾向がある。これは、実はワイドショーをはじめとするマスコミにとてもよく見られる着眼点ではないか、という発見があった。インタビューアーは文芸誌の編集者たちなのに、外国の編集者より日本のマスコミ記者に似ている。知らないうちに視野狭窄になるわけだ...

    村上春樹についての最大の発見は、上記にもかからわず、どちらのインタビューに対してもまったく同じ態度や慎重さで向き合い答えを探り言葉を選んでいること。そして、それは、繰り返し繰り返し聞かれる同じ質問であっても変わらないし、翻って、小説を書いているときもそうなんだろうなと思い至るような隙のなさだった。感嘆。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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