愛才 (文春文庫 お 21-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167512071

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  • いろんな形の愛があるなぁ

  • 【本の内容】
    あなたは好きだけど、セックスはしたくない。

    僕の奥さんは、僕も恋人も必要だという―どこか風変わりな妻は、自分の恋愛すべてを夫の「僕」に話す。

    そんな彼女が破滅型の役者と大恋愛、それでも続く夫婦の不思議な関係の行方は?

    十数年に及ぶ奇妙な三角関係を人気脚本家が綴った初の書き下ろし長篇小説。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    とても不可解で、とても滑稽で、それでいてとても魅惑的な関係。

    でも渦中にいたら(自分が「おとうさん」だったら)たまらんなあと思いながら一気に読んだ。

    男女の三角関係を描いた小説は数あれど、ここまで夢中になれたのは初めてかもしれない。

    現実の世界で三角関係を経験したことのない僕には、なんだかんだで他人事だったから。

    登場人物がどんなに切なさを募らせても平気な顔で読み進めることができた。

    ところがこの『愛才』はどうだ。

    「奈子が問題を起こすたびに思う。この一風変わった女を、僕以外の誰が許容できるだろうか」という「おとうさん」の愚かなる自問は、激しく僕の心をゆさぶる。

    自堕落な生活を続ける周造を愛せるのは私しかいないと息巻く奈子の言動もまた然り。

    こういう変わった恋愛小説が好きだなんて俺もやっぱりダメな奴だなあと嬉しそうにしている自分が不気味だが、それくらいチャーミングな物語なのである。

    特に、爆笑なしには読めない周造のキャラクターが秀逸。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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著者プロフィール

大石 静(おおいし しずか)
1951年東京都生まれの脚本家・作家・女優。日本女子大学卒業後、女優になるため青年座研究所に入る。1981年、永井愛と「二兎社」を設立、二人で交互に女優と脚本を担当。1986年『水曜日の恋人たち 見合いの傾向と対策』で本格的に脚本家としてデビュー。
以降、多数のテレビドラマの脚本を担当することになり、1991年脚本家に専念するため俳優を廃業、二兎社を退団。1996年『ふたりっ子』で第15回向田邦子賞、第5回橋田賞受賞。2008年『恋せども、愛せども』により文化庁芸術祭賞テレビ部門(ドラマの部)優秀賞受賞。2011年『セカンドバージン』により東京ドラマアウォード2011脚本賞、放送ウーマン賞2010を受賞。アニメ『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』の脚本も務めている。
飛躍する若手俳優を見抜く眼力に定評があり、内野聖陽、佐々木蔵之介、堺雅人、長谷川博己を自らのドラマに登用してきた。2019年、NHK札幌放送局が制作する北海道150年記念ドラマ、嵐・松本潤主演「永遠のニシパ~北海道と名付けた男 松浦武四郎」(ニシパは小さいシが正式表記)脚本を担当。
『セカンドバージン』等、ドラマ脚本作の単行本・文庫化作は多い。2018年に対談を書籍化した『オンナの奥義 無敵のオバサンになるための33の扉』を刊行している。

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