安岡正篤: 昭和の教祖 (文春文庫 し 20-2)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167516024

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  • 戦前から戦後に渡って昭和の政治史に隠然たる影響力を持ったとされる安岡正篤の評伝です。

    安岡は、戦前には北一輝や大川周明と並ぶ右翼思想家と目されながらも、非実践的な立場にとどまったことから「白足袋の運動家」と揶揄され、戦後は「歴代総理の指南番」と呼ばれながらも政治の現実に踏み込むことを避け続けました。著者は、みずからのイメージが「虚像」にすぎないことを知りつつ、戦前から戦後にかけて日本の保守勢力の中に居場所を保ち続けた安岡の生き方をたどっています。また、晩年の細木数子との関係についてもページを割いています。

    安岡の説いた東洋哲学に踏み込むことを注意深く避けて、その政治的影響力の大きさを冷静に測定する著者のスタンスが、効を奏していると言えるように思います。ただし、安岡の思想も含めたその全体像を測る上では、別のアプローチが必要でしょう。

  • 政治家との関わりを中心に書かれた自伝。安岡正篤は陽明学者としては大碩学者だったと尊敬し教えを請いたいと思うが、政治に関わった部分では個人的に好きになれない。政治の世界に限った事ではないが、人とのつながりを重視する人がいる。誰々に師事している、政治家のご意見番、、、政治の裏で政治家をコントロールしているような書き方、中国へのコンプレックスから、中国哲学の大家へ寄り添う政治家。政治は誰の物か考えれば、宗教がかった崇拝や、信仰にも似た心酔は、今から見たらおかしいと思うのだが。

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著者プロフィール

塩田 潮(シオタ ウシオ)
作家、政治評論家
ノンフィクション作家・評論家。1946年生まれ。高知県吾川郡いの町出身。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。雑誌編集者、記者などを経て、1983年、著書『霞が関が震えた日』刊行でデビュー。同年、同作で第5回講談社ノンフィクション賞受賞。著書に『霞が関が震えた日』(講談社文庫)、『東京は燃えたか』(朝日文庫)、『大いなる影法師』(文藝春秋)、『一〇〇〇日の譲歩』(新潮社)、『昭和の教祖 安岡正篤』(文藝春秋)、『日本国憲法をつくった男 宰相幣原喜重郎』(朝日文庫)、『金融崩壊』(日本経済新聞社)、『郵政最終戦争』(東洋経済新報社)、『田中角栄失脚』(朝日文庫)、『新版 民主党の研究』(平凡社新書)、『憲法政戦』(日本経済新聞出版社)、『熱い夜明け でもくらしい事始め』(講談社)、『内閣総理大臣の日本経済』(日本経済新聞出版社)、『密談の戦後史』(角川選書)、『内閣総理大臣の沖縄問題』『解剖 日本維新の会』(ともに平凡社新書)など多数。

「2022年 『大阪政治攻防50年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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