森に降る雨 (文春文庫 せ-3-2)

  • 文藝春秋 (1992年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167519025

みんなの感想まとめ

エッセイ集である本書は、著者の独自の視点から描かれた日常の出来事や思い出が繊細かつリリカルに綴られています。特に、中高生の頃のエピソードが印象的で、青春の一瞬を切り取ったような感覚が読者を引き込みます...

感想・レビュー・書評

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  • 本書はエッセイ集である。
    本書に収載されている文章は、一部を除いて、「コミックアクション・キャラクター」(双葉社刊)誌上に、1987年から1988年にかけて連載されたものであるとの説明がある。「コミックアクション・キャラクター」って何だろうと思いネットで調べてみると、それは、「別冊漫画アクション」が1986年9月12日号から改題されたものであるらしく、1991年までの5年間で休刊・廃刊となったものであるようだ。
    そういえば、関川夏央は、双葉社から発行されていた「週刊漫画アクション」に「海峡を越えたホームラン」というノンフィクションを書いていたはずだ。これもネットで調べてみると、1983年6月から1984年7月まで連載されていたようである。なにしろ古いことなので、時代の前後関係が既に曖昧ではあるが、「週刊漫画アクション」には、いしいひさいちの「がんばれ!!タブチくん!!」や、「博多っ子純情」「ルパン三世」「じゃりん子チエ」等の面白い漫画が連載されていたはずで、大学生の頃から新人サラリーマンの頃にかけてはよく読んでいた記憶がある。「海峡を越えたホームラン」もそこで読んでいた記憶があるし、そうやって考えると、未だに関川夏央が好きで読み続けているきっかけとなったのは、「週刊漫画アクション」だったのだ。
    冒頭の「コミックアクション・キャラクター」は読んだ記憶はないが、同じ双葉社からの発行であり、「週刊漫画アクション」の流れをくんだものなのだろう。
    関川夏央は1949年の生まれなので、本書収載のエッセイが連載されていた1987年から1988年は、彼の30代後半であり、また、「海峡を越えたホームラン」や、その前の「ソウルの練習問題」等で、世に出てから数年後にかかれたエッセイである。率直言って、後年の関川夏央ほど文章はうまいと感じなかったし、エッセイそのものも、さほど面白いと思えないものだった。ということは、関川夏央という人は、40歳を超えてからエッセイの文章が上手になり、また、面白いものを書くようになった人なのだろう。大器かどうかは分からないが、晩成ではある。

  • 1989年刊。エッセイ、43篇を収める。
    関川夏生、風体から予想される豪放さとは違って、エッセイは繊細でリリカル。このギャップが堪らない。中高生の頃のことを書いたエッセイがとくに際立っている。
    「夏休み。一九六五年」。高一、夏休みの終わる日の朝、3週間の家出旅から、なにごともなかったかのように帰宅。午後には、自転車で市営プールに出かけてゆく。街並みが、風景が、知ったはずのなにもかもが、初めて見るかのように新鮮に感じられる。さあ、明日から新学期。
    「雪は降り積む、思いは沈む」は「38豪雪」の時のエピソード。雪国の少年の思いが綴られている。住んでいた長岡の市街地も、数日で4メートル以上の降雪があった。このエッセイ、なんと、映画『シェルブールの雨傘』のラストシーンで始まるのだ。

  • 上原隆の「雨の日と月曜日は」つながりで。関川夏央の「私コラム」のうちの一編。同じ連載の前半をまとめたのが「水のように笑う」とのことで、こちらも手に取りたい。印象に残ったのは以下の箇所。◆スリランカの山の中での奇縁。◆昔ながらの真面目に働くことが報われない社会はろくでもないという思い。◆わけなどあるものか、と思った。ひとはこんなふうにときどきひと知れず泣く、奇妙なカタルシスを感じてじきに忘れるp45-46 (昔の思い人との何度かの逢瀬の後に)◆われわれはついきのうからきた、そしてわずかにあしたまでしか行かないのだ◆「おれがおれであるために」「ここよりほかの場所へ脱出する」日活アクション1957-71の本質的テーマ◆「鉄火場で感傷なんて百円にもならないわよ」「そういうやつは絶対早死にするんだわ」◆「人生に脈絡なんて必要ないのよ。大切なのは決断だけよ。ねっ」◆あなたちゃんとしなきゃ駄目なんだから。少なくとも相手が結婚したからようやく口説くなんてコソクなやり口はほんとに駄目なんだから。

  • フィクションとノンフィクションの淡い境目。キレイにまとめるために、いろいろ盛り込まれていると想像。それ自体が作家の素晴らしいセンスだから非難しているのではない。

  • 読み終えて1週間くらい経つ。とても面白かったんだけど、心に強く残っている小編は無かったみたい。読んだ後はじわっと心に広がるいい話が多いのだけど。

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著者プロフィール

1949年、新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。
1985年『海峡を越えたホームラン』で講談社ノンフィクション賞、1998年『「坊ちゃん」の時代』(共著)で手塚治虫文化賞、2001年『二葉亭四迷の明治四十一年』など明治以来の日本人の思想と行動原理を掘り下げた業績により司馬遼太郎賞、2003年『昭和が明るかった頃』で講談社エッセイ賞受賞。『ソウルの練習問題』『「ただの人」の人生』『中年シングル生活』『白樺たちの大正』『おじさんはなぜ時代小説が好きか』『汽車旅放浪記』『家族の昭和』『「解説」する文学』など著書多数。

「2015年 『子規、最後の八年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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