ハラスのいた日々 増補版 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1990年4月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784167523015

作品紹介・あらすじ

感動再び! 「永遠の愛犬物語」が新カバーで登場。

ハラスはいまも、私たちの心に生きている――。

庭付きの家への引っ越しを機に、子のない夫婦のもとへ、一匹の柴犬がやってきた。
ハラスと名付けたその犬は、たちまち家族の一員となり、
朝夕の散歩や日々の暮らしのなかで、ともに歩き存分に遊び、
かけがえのない毎日を過ごす。

愛すること尊さと生きることの喜びにあふれた、時代を超えて読み継がれる名作。

新田次郎文学賞に輝く感動の愛犬物語。

感想・レビュー・書評

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  • 「ハラス」というのは、筆者が飼っていた柴犬の名前。本書は、ハラスが筆者の元にやってきてから、亡くなるまでのハラスと筆者家族に関してのエッセイ。
    筆者と筆者の奥様がハラスをどれくらい愛していたかが、ひしひしと伝わってくる。私自身は犬を飼ったことはないが、それでも、ハラスが亡くなった場面では涙が出そうになった。犬を飼ったことのある人、あるいは、現在飼っている人は涙なくして読めないのではないか。
    筆者は、ハラスと過ごした何でもない場面を思い起こして、それがどれだけ幸せなことだったことかを理解する。それは、もちろん、犬と過ごした時ばかりではなく、また、筆者ばかりではなく、後から考えて、あ~、あれが幸せな時だったのだな、という時間が誰にでもあるということだ。

  • また犬を飼いたいと思わせてくれる、犬への静かだけれど愛情深い本。
    文章がキレイで心洗われるよう。
    手もとに置き、また読みたい。
    そして、また犬と一緒に暮らしたい。

  • 志賀高原でマイナス20度のなか、ハラスが失踪してしまった事件の描写に胸が締めつけられる。
    ハラスが冬山に飛び出して行ってしまった理由を作者が推測して書いているのだが、そこには『ハラスの行動を冷静に分析している、愛情の眼差しをもった飼い主の姿』が浮かび上がってくるからだ。
    言葉は通じないけれど、犬とたしかに気持ちが伝わっているな、と思う瞬間は犬と暮らしている者にとってはとても身近なものだと思う。その、以心伝心の瞬間を楽しく心温まるシーンだけでなく、ハラスが雪原に飛び出していったまま行方がわからなくなってしまったという悔恨と焦りと緊張のシーンでも、我がことのように追体験してしまい、涙が止まらなかった。

    犬と人間の不変の愛とつながりを描く本作は、犬を飼ったことのある人にとっての『(飼い犬)のいた日々』であり、いつの時代でも人の心を動かす作品なのだろうと思う。

  • 30年ぶりに再読。自分が作者に近い年齢になったからか、より共感する部分が多く感じる。
    文中、ハラスを探す折り込みチラシに作者の住所や電話番号が書いてあるのは当然だが、それをそのまま出版物に載せてしまうところが時代だなぁと感じる。中野孝次さんが、まだご健在であったならば手紙を送りたかった。

  • 著者の犬への気持ちがよく出ている名著である。

    最初、虐待のシーンがあり、読むのを止めようかとも思ったが、最後まで読んでよかった。本当に同感するところが多い。
    「文春文庫に収めるにあたって、本文に若干の修正を加え」たのなら、あのシーンもそうしてほしかった。

  • 自分にも、いつか愛犬との別れがくる事を思い、涙しながら読みました。

  • 子供のいない夫婦の下にやってきた、1匹の柴犬。それがハラス。
    小さな仔犬が成犬になり、やがてその命を終えるまで、家族として過ごした13年間を綴ります。

    近所の老犬との触れ合い、友達のじゃれ合い、失踪事件、じっと帰りを待つ姿、そして…別れの時。ハラスは家族であり、いかに夫婦にとってかけがえのない存在であるかをひしひしと感じます。
    犬を飼ったことがある人なら、その子を思い出す。そして今飼っている人なら、思わずその子の側に行って触れたくなる、温かくも切ない本でした。
    実際に読んだのは単行本ですが、文庫版はその後の話も入っているようです。

  • 一月末に愛犬レモン(ミニチュアシュナウザー雌10歳10ヶ月)を亡くし、たまたま新聞の本紹介(犬がテーマ)で目に留まり、早速図書館で借りて読みました。 いやー 泣きましたね。 結構古い本なのに昔な感じがしなくて、愛犬を亡くされた方々は、皆こんな気持ちになってるのかと思いました。 正直こんなに悲しくなるとは自分でも想像できませんでした。 おそらく自分の親が亡くなるより悲しいと思います。 犬って言葉をしゃべらないでしょ。 でも飼い主にはその子がなにを訴えてるかがほぼ理解できるんですね。
    それでいて、留守番させられたりしてもご主人が帰ってくると不満など訴えずに全身で喜びを表現するんですね。 そして最後のそのときまで苦しいはずなのに私達家族の傍にずっと寄り添って亡くなっていくのです。 そんな気持ちがこの本を読み進めていくうちに、みんなこんなふうに感じていたんだなと、心がすーとしました。 私の犬仲間にもおすすめしたい一冊です。

  • 愛犬ハラスとの笑えたり、泣けたりする心温まるお話。
    「清貧の思想」の著者である中野孝次氏と奥様の3人が織りなす人生模様。ハラスを中心に目に映った景色、行きかう心。すごくリアルでかつて自分の相棒(愛犬)シュンを重ねて読んでしまい。まるでそばに彼が蘇ってくるような思いを感じます。

    ほろっとするところ。愛らしいところ。時に憎たらしいところ。
    人間と一緒ですね。

  • ドイツ文学者の著者が、50代になってから初めて飼った柴犬
    ハラスとの日々を綴ったもの。
    子のいない夫婦の間で、ハラスは話題を提供し、コミュニケーションの橋渡しさえしており、かけがえのない家族となっていった。
    些細な事であっても、犬の飼い主なら誰もが頷け、自身の犬に置き換えて共感できる一冊。

    そして、晩年の部分は、涙なしでは読めません。
    私は3度読み、3回泣いてしまいました。

    増補版は、始めにでていたものより、写真やあとがきが加えられているようです。
    1988年新田次郎文学賞受賞

  • とにかく著者の、ハラスという犬への優しく暖かく偽りのない愛おしむ気持ちが、文章のここそこに表現されていて、その思いを共有するだけでも一読の価値がある

  • 冒頭の2行がすべて。「犬なんてみな同じようなものだと、前は思っていた」が、「あとになってみれば」「かけ替えのない犬になっていた」。そう、ハラスと名づけたこの柴犬を飼わなければ、著者の後半生はまったく違ったものになっていたに違いない。
    ハイライトは志賀高原での失踪事件。著者の不注意で、ハラスは姿を消す。捜しに捜した4日間、後悔、落胆、失意、希望、諦念、さまざまな想いが去来する。しかし、ハラスは戻ってきた、やせ衰えて。内田百閒の『ノラや』のような結末でなくて、こちらもなんだかほっとする。もちろん、生き物だから、別れはかならず来る。3年後、著者は老齢のハラスを看取り、悲嘆にくれはするのだが。
    単行本はハラスの不鮮明な写真が30葉。増補文庫版は66葉に増え、鮮明。コロナブックス『作家の犬』の表紙カバーには、このハラスの写真が採用されている。お澄ましのいい顔だ。

  • もともと、かなり昔に書かれた本みたい。今とはペットに対する感覚も違うのかなと思って読み始めたけど、そんなことなかった。作者のハラスに対する愛情がとても共感できるものばかり。
    スキー場での友犬との交流はすごく心が温まった。だからこそ、その後の出来事がショックでしかない。保健所に連れていかれた犬たちのことを思うといたたまれない。そしてハラスにとっても突然の別れがどれだけ悲しかったのか。
    ハラス行方不明ではハラハラしたし、もどかしくも感じた。帰ってきてくれた時は本当に安堵した。ハラスが何を思って彷徨っていたのか。なぜすぐ戻らなかったのか。色々と考えてしまう。

  • 我が家に暮らす犬は…

  • 姉からもらった本

  • よい本でした。
    犬に対する愛情、とってもあたたかいです。
    雪山で迷子になってしまうところ、晩年だんだんと体力が弱まってくところ、最期を看取るところ、もちろん子犬・若犬時代の楽しいエピソードも、どれも良かったです。
    思わず犬好きな人にプレゼントしました。

  • おしっこして定規で叩くのは良くないと思うけど、書いてあること全てが同んなじ気持ちだった。

  • 小学生か中学生かの時の読書感想文で読んだというか、読まされた本。

  • 中野さん夫婦の愛情深さが、とても感動的です。

  • 犬を飼ったことがある人なら、
    すごくわかる状況、心情が描かれていて、
    たくさん切なくなりました。

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著者プロフィール

ドイツ文学者、小説家、評論家。1925年生まれ、東京大学文学部独文科卒業。元國學院大學教授。カフカ、マックス・フリッシュ、グラスなど現代ドイツ文学の作家を多数翻訳。1972年に最初の著書を刊行後は、『ブリューゲルへの旅』(日本エッセイスト・クラブ賞受賞)、『麦熟るる日に』(平林たい子文学賞受賞)、『ハラスのいた日々』(新田次郎文学賞受賞)などを発表し、『清貧の思想』(1992年刊行)がベストセラーとなる。元神奈川文学振興会理事長。2004年に死去。

「2025年 『犬の年 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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