鳥葬の山 (文春文庫 ゆ 2-2)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167528027

作品紹介・あらすじ

チベットで鳥葬に立ち会ってからというもの、毎夜夢に現れる面妖な光景……。怪奇、幻想が広がる表題作ほか、「羊の宇宙」「渓流師」「超高層ハンティング」など七篇を収録。(中島らも)

感想・レビュー・書評

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  • 得意のブックオフ徘徊…
    ちょっと前に読んだ夢枕さんのが良かったのと、カバーのイラストとタイトルが気に入って…
    これ30年前の作品やん。
    何か、この作品で世を悟ったんちゃうか?…みたいな凄い世界観。
    幻想小説のハシリみたいな。

    何か、血ドバドバはないけど、気色悪い〜というか、何というか…
    これ多分、後々、頭に残るで!
    みたいな…何か怖い…

    全てが、西洋っていうより、東洋よりな感じ…
    大自然の神秘というか、人間なんて、その中の一部であって、生かされてるんやで〜!
    もう少し、謙虚に生きないと何かが起こる気がして…

    ゾワゾワ感満載!
    めっちゃ、ええ感じや〜!

    殴り書きになってしまった…(−_−;)

  • すごい世界観の短編がいくつも。文体は本来の私の好みからいうと苦手なはずなんだけど、それを凌ぐ魅力があった。幻想的で恐くて、フィルムが傷んだ昔の映画を観ている感覚というか。

    「やわらかい家」「鳥葬の山」「あやかし」が中でも面白かった。

  • これは、必死に探し回ってようやっとありつけた、わたしのごちそうである。
    「陰陽師」シリーズを買い集めていたわたしは背表紙の数字の抜けに気付いた。この世のどこかに「幻の“ゆ 2 2”」があるのだとわたしは確信し、必死に探した。
    見つけたときは、運命の人を探し当てた人みたいな反応になった。そんな人は見たことがないが、そう思った。
    表題作「鳥葬の山」は非常によくできた話だと思う。なにがいいと訊かれたら、無粋だなと思いながら言うだろう「チベットと日本の空の描写、鳥葬にされる屍体の描写、登山靴という小道具、鳥という天への運び手のチョイス」とりあえず現状わたしが言葉にできるのはこのくらいだ。あまり言葉にしようと躍起になるのも如何なものかと思う。そのくらい衝撃的である。
    この短編集には、解説で中島らも氏が述べている通り、山の匂い、母性、死臭が漂っている。それらはただ漂うのではない、透明な宇宙という時間と空間にぴったりとはまり込んでいる。どこにも逃げ場のない絶望感はその香りに想起される受け手の感情だ。どこまでいっても『甘美な闇』。この本は夢枕獏の見えているものを、ほんの少しだけ我々に間接的に見せてくれる。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    都内で小さなデザイン事務所を経営する夏木は、あくせく働く日常の代償に、二週間の休みをとり、チベットで過ごすことにした。ラサの町でハゲワシに人間の死体を処理させる鳥葬を見ることができると聞き、夏木はその場に立ち会った。以後、毎夜夢に現われる奇怪な光景の謎。表題作以下、夢枕ワールド八篇。

  • 「夢枕獏」の短篇集『鳥葬の山』を読みました。

    「夢枕獏」作品は6年前に読んだ『神々の山嶺』以来なので久しぶりですね。

    -----story-------------
    都内で小さなデザイン事務所を経営する「夏木」は、あくせく働く日常の代償に、二週間の休みをとり、チベットで過ごすことにした。
    ラサの町でハゲワシに人間の死体を処理させる鳥葬を見ることができると聞き、「夏木」はその場に立ち会った。
    以後、毎夜夢に現われる奇怪な光景の謎。
    表題作以下、『羊の宇宙』『渓流師』『超高層ハンティング』等の「夢枕」ワールド八篇。
    -----------------------

    おどろおどろしい作品から、SF作品、渓流釣りをテーマにしたドキュメンタリータッチの作品まで、バラエティ豊かな「夢枕獏」ワールドを体験できる8篇が収録されています。

     ■柔らかい家
     ■頭の中の湿った土
     ■鳥葬の山
     ■閑古鳥〈かっこう〉
     ■あやかし
     ■超高層ハンティング
     ■羊の宇宙
     ■渓流師
     ■あとがき
     ■解説―蚊屋と恐怖 中島らも

    印象的だったのは、やはり『柔らかい家』、『頭の中の湿った土』、『鳥葬の山』、『閑古鳥〈かっこう〉』等の不気味な後味の残るおどろおどろしい作品ですね、、、

    特に主人公の男が、夜道に迷い、たどり着いた山中の一軒家での恐怖体験を語る『柔らかい家』は、ホントに怖い… 奇妙な生き物が溢れ、家がひとつの生態系を成してるような世界観は圧巻でしたね。

    怖いし、気味が悪く、悪夢のような作品ですが、「夢枕獏」の想像力の素晴らしさには感動を覚えましたね。

    『鳥葬の山』の主題となっている鳥葬って、遺体をそのまま岩の上に放置して鳥に食べさせるものだと思っていたんですが、跡形もなく全てを鳥が食べ切り、この世から存在を消し去るために、料理で言うところの調理・仕込みにあたる、様々な手順を踏むということを初めて知りました… 凄惨なシーンですが、崇高な儀式なんでしょうね、、、

    その後、チベットから日本に帰国してからの映画『鳥』のようなシーンも印象に残りましたね。

    『羊の宇宙』は、カザフ族の少年が語る宇宙の心理に関する話の聞き役にまわっている老物学者が「アインシュタイン博士」だったというオチが印象的… 科学のことを、もっと良く知っていれば、何倍も愉しめたんじゃないかと思います、、、

    それでも、なんだか解らないけど、科学のことがわかったような気分を味わえましたね。

  • 個人的夏のホラー特集。ブックオフコラムから、かな。それなりに古い一冊だし、正直期待はしていなかったけど、やっぱりな、って感じ。SF要素がかなり絡んでくるけど、ホラー的観点からは、正直あまり有効な気がしない。

  • 初めの何話かは入り込めなくて合わないと思ったけど、後半は凄く好きだった。
    特に「羊の宇宙」はぶっちぎりで好きだ。美しい。

  • 8編からなる短編集。
    鳥葬の山と羊の宇宙が面白かった。
    鳥葬を見る機会を得た主人公。無事に日本に帰ってきたら…。鳥葬の情景が細かく描写されている。
    羊飼いと老人との物理学についての会話。光より速い物はあるのか、ないのか。

  • 作者本人もあとがきで「どこかなんとも言えない不思議な味が残る話が何篇かある。」述べているように、その不思議な世界へ入っていってしまいそうな怖さを短編ながら感じる。解説で中島らも氏が大好きだといっている短編が私も同じように好きです。表紙の絵も気持ち悪いが優しいタッチで描かれていていい感じです。

  • 病み付きになってしまう本です。

  • ちょっと怖い感じの雰囲気の短篇集です。表題の「鳥葬の山」は、具体的な鳥葬の表現が印象的です。(ちょっとグロテスクですが・・・)

    どの短編も、非日常の世界に遊べて、非常に面白いので、現実を忘れたい人にはお勧めです!

  • グロテスクとホラーと哲学と郷愁が一時に楽しめる短編集。「頭の中の湿った土」のイメージにはぞくぞくした。

  • 不気味な世界観

  • 私好みの短編集だなと思い、手に取ってみたのですが
    どうも入り込むことができませんでした。

  • 『ふむっ!』という話と『そんなに橅の森が好きなら橅の森以外の何処かに埋めてやろうな』という気持ちになる話が同時に載っているぞ!気をつけろ!

  •  通勤時に電車内で読んでたのだけど、これはすごくぶっ飛ぶ。夢枕世界に引き込まれすぎて危うく何度か電車乗り過ごしそうになった。

     タイトルに書いてある「鳥葬」はやはり衝撃的。死体を解体したりしなかったり、宗教によって違うそうだ。途中、親族が葬儀に来ないのはどうなのだろうと思ったけど、その解釈を見た瞬間すごく納得。ま、それでも「解体屋やれ」と言われたら100%「だが断る」だけどね。

     そして「頭の中の湿った土」は、これまた最近読んだ『腐りゆく天使』にまったく同じ文章があったからコピペかと驚いたw ただ途中からそれぞれ別の物語に繋がっていくのだけど、違う本に2回も出てくるくらいだから、すごく思い入れの強い物語だったんだろうな。

    いずれにせよ、どの短編もすごく面白くて夢枕獏にしばらくハマってしまいそう。文章に中毒性のある作家さんだ。

  • 中島らものエッセイから興味を持って読んだ一冊。
    表題作もですが、巻頭のヤツが不気味でした(^_^;)
    陰陽師とか他の作品は未読ですが、これに限って言えばあまり一人の夜中に読まない方がイイかと・・・

  • まるくとけてしまいそう

  • ちょっと気持ち悪いけど面白かった
     柔らかい家
     頭の中の湿った土
     鳥葬の山
     閑古鳥(かっこう)
     あやかし
     超高層ハンティング
     羊の宇宙
     渓流師

  • 短編集ですけれども、本当に濃縮された夢枕ワールドを楽しむことが出来ます。
    私はこの、濃密な文体と、言葉の力で宇宙の真実に迫ろうとする筆致が大好きです。
    そして、闇とエロスをまとわりつかせた様な怪談?風なお話も好きだし。
    ちょっとバイオレンスな所も夢枕ちっくでいいし。

    とにかくあらゆるジャンルに手を伸ばして、それぞれで成功を収めている夢枕獏ワールドを、これでもかというほどに楽しめます。

  • 山ってタイトルだから登山系だと思って手にしたのに
    よく読んだら鳥葬の〜・・・!?焦

    かなりグロテスクな『柔らかい家』から始まり期待を裏切られる。

    8篇の短編で成り立っていて、個人的に気に入ったのは
    『頭の中の湿った土』と『羊の宇宙』。

    夢枕さんは本当にいろんなジャンルの話が書ける人なのね。
    どれをとっても独特の文体で夢枕流なのだけど。

    『頭の中の湿った土』は山の中に埋められた自分が
    (というか、殺されてるから、意識(魂?)だけ、なのだが)
    なぜ殺されたかを一生懸命回想するという話。
    ちょっと乙一の夏と花火と私の死体にアングルが似てるなと思った。

    「宇宙は音楽に満ちている」

    『羊の宇宙』は、老物理学者と羊飼いの少年の議論。

  • 何故か“鳥葬”という言葉がものすごく気になった時があって、
    検索したらそのものずばり。を見つけました。

    「ふいに、胸が、痛くなるような感覚が僕を襲った。
     もうとっくに無くなっているはずの心臓が、柔らかなベルベットのリボンで、
     優しくしぼりあげられるような傷み・・・」

    この一文にやられてしまいました。
    この人の内臓にくる感覚表現。
    すごいです。

  • これはオススメです。かなりおもしろかったです。ヒットですな。表題作もさることながら、他のもかなりきてます。怖いよ。オソロシイよ。かなりチカラ込めてお勧めします。

  • どのお話も大好きです。
    夢枕獏の世界観が濃縮されてる感じがあって、大満足の一冊です。

  • 美しい自然を舞台に描く、哲学の物語。「頭の中の湿った土」は涙なくしては読めません。入手し難いかもしれませんが必読。

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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