陰陽師 付喪神ノ巻 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1973
レビュー : 121
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167528058

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第三作目のこの巻は、
    今までシリーズを読んできた中で一番好き。

    「鉄輪(かなわ)」「迷神(まどわしがみ)」
    「ものや思ふと・・・」と、人間の業の深さ、
    内に抱えている情の哀しさや暗さが
    切な過ぎる位よく描かれている名作が収録されている。

    「鉄輪」のラスト近くの博雅と徳子の会話は
    何度読んでも涙が出そうになる。
    「迷神」でタブーを犯してしまった妻籐子の
    気持ちも分からなくないし、
    「ものや思ふと・・・」の壬生忠見に対しては、
    「もうずっと宮中にいなよ、忠見・・・。」と思うまでに到る。

    たとえ頭の中では「最早どうする事も出来ない」と
    分かっていても、かつて愛した人に対し、
    またはあまりに無残な己の運命に対する、
    凄まじい悲しみや憤り、内に抑え込む事すら
    出来なくなった想い。

    己の内で燃えたぎる自分を裏切った男への恨みの炎。
    病で喪った夫への断ち切れぬ未練。
    歌会で敗北を喫した男の歌に対する執念。

    いつの間にか人の心に入り込んだ悲しみが、
    やがて狂気となり、恐ろしい鬼を生み育てていく。

    そのような鬼となってしまった者達の断ち切れぬ想いを
    浄化させてやるのが晴明の役割。
    あまりに重い任務である。
    博雅と酒を飲み、上手に気分転換をして欲しいと
    冗談ではなく本気で思う。

  • 丑の刻、貴船神社に夜毎現われる白装束の女が鬼となって、自分を捨てた男を取り殺そうとする。そんな男の窮地を救うため、安倍晴明と源博雅が目にしたものは!?女の悲しい性を描いた「鉄輪」他、全七篇。百鬼夜行の平安時代。魍魎たちに立ち向かう若き晴明と博雅の胸のすく活躍、魅惑の伝奇ロマンシリーズ第三弾。

  • 2006年6月16日読了

  • 収録の全7編、どれも文句なしに面白いです。
    占いを勉強中の私には、陰陽師という存在は、とても興味深い。
    「神泉苑の池は、風水で言うなら、船岡山の地龍が、地下の地脈を通って頭を伸ばし、水を飲するところなのだ。雨乞いの場所としてはふさわしかろう」(By『血吸い女房』)なんていうのを読むと嬉しくなっちゃいますね。

    以前からこの陰陽師シリーズのテーマの一つ「呪」の考え方が好きでした。

    「人が、それを見、それを石と名づけて――つまり、石という呪をかけて初めて石というものがこの宇宙の中に現れるのだ」
    石と人と、人が「石」と名付けるもしくは思うことによって初めて石は存在する。

    「言葉は呪を盛るための器」
    「呪というのは、とりあえず神とでも呼んでおこうか。神へ捧げられる神のための供物なのだ。言葉というのは、その供物を盛るための器なのだよ」(By『ものや思ふと・・』)

    「神とはな、煎じつめれば、結局、力なのだ。その力に、タカオカミノカミとかクラオカミノカミという名を、つまり呪をかけたものが神なのだよ」(By『鉄輪』)

    博雅と晴明が呪について話している会話から考えてみると、呪とは「念」じゃないかと思いました。深見先生がよく言ってる「念」。

    桜と呪がテーマの「迷神」、和歌を愛する鬼が出てくる「ものや思ふと・・・」が特に気に入りました。
    陰陽師シリーズは全巻読破したいシリーズです。

  • ■笛の音が文字から聞こえる。

  • くま様んちにお引越し。

  •  魍魎たちに立ち向かう若き清明と博雅の胸のすく活躍、魅惑の伝奇ロマンシリーズ第三弾。<br><br>

     今までよりも、いわゆる“良い話”が多かった。私としましては、バリバリ鬼を倒していってもらいたいのに、倒さずに丸く収められると、煮え切れない気持ちになる。つまり、切なくて悲しい鬼の話である『ものや思ふと・・・』よりも、清明様がチョチョイと事件を解決しちゃう『血吸い女房』のが好き。前作と繋がる部分の多い『打臥の巫女』は、完全な読み切りじゃないので何となく疲れた。要するに、陰陽師は頭を使わずにサラサラ読んで楽しみたい。<br>
     第三弾目にして、ちょいと飽きが来た・・・<br><br>

     表紙の鬼が、今までの中で一番好き。動きがあって、文字とのバランスも良い。

  • 高校

  • 時は平安。陰陽師・安倍晴明と三位の源博雅が京の「不思議」を解決していく。高校時代、割と古典が好きだったあたしは懐かしい思いをしながら読む。1、2巻は誰かに借りて読んだので3巻から。晴明と博雅が“出陣”する時に使われるせりふ“「ゆこう」「ゆこう」そういうことになった。”はいつもワクワクさせてくれる。この巻では、瓜にかけられた呪の元をたどる「打臥の巫女」がお気に入り。博雅が晴明に「おまえ、本当は淋しいのだろう。この世に自分しかいないと思っているのだろう。」と思いやると、晴明が「おまえがいるではないか、博雅」と返す友情が素敵。しかしこの二人、あたしはなぜか友人というより恋人に見える。

  • 07.4.1

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著者プロフィール

1951年、小田原生まれ。「上弦の月を喰べる獅子」で第10回日本SF大賞を受賞、「神々の山嶺」で第11回柴田練三郎賞を受賞。平成11年4月朝日新聞に「陰陽師(おんみょうじ)」を連載、陰陽道ブームの火付け役となる。著書に「魔獣狩り」シリーズ、「闇狩り師」シリーズなど。

「2019年 『キマイラ20 曼陀羅変』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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