腐りゆく天使 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2004年5月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784167528126

みんなの感想まとめ

テーマは、実在の詩人萩原朔太郎と、美貌の神父、そして埋められた屍体の記憶のない魂が織り成す幻想的で耽美な物語です。最初はそれぞれの物語がバラバラに展開されるものの、やがて一つに収束していく様子が魅力的...

感想・レビュー・書評

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  • 萩原朔太郎の静かに追い詰められていく心が…終章の、明らかに書き過ぎている手紙が本物の引用というのも狂気的でした。室生犀星からの返事は創作だろうけどこちらも良いです。
    埋められている「僕」、神父、萩原朔太郎の三つの視点でお話が進んでいくけれど、この三人の関係性は昏い。腐りゆく天使の甘い腐臭。
    引用されてる朔太郎の詩は勿論、作品の文体も好きでした。

    「しかし、心の裡にその美を感知する能力のない者にとつては、そこには美は存在しないのです。(中略)言ひかへるなら、心の裡に美を持つ者だけが、その美に感応することができるのです」「心の裡に神を持つ人が、神を見ることができるのです」「人の、裡なる神の量によつて、外なる神の量もまた決まつてゆくのではないでせうか」。印象的な神父の言葉です。

  • 実在の詩人萩原朔太郎と、美貌の神父と、埋められた屍体の記憶のない魂の話が最初はバラバラにスタートするが、最後の方にそれぞれの物語が一つに収束する様が面白かった。
    萩原朔太郎がいい具合に病んでて、詩や手紙から感じるイメージ通りで良かった。
    幻想的で耽美だった。
    まさに菊が腐っていくような嫌なような美しいような雰囲気。

  • 教会の香部屋になぜか浮かんだ一体の天使……それは神父にしか見ることができない幻影なのか?なんだか凄惨なイメージの作品だなあ、と思って帯をながめておりました。しかも、登場人物にはあの荻原朔太郎がいるらしい。そして、冒頭の一文「この七年間もの間、わたしが考えつづけていたのは、いったい、誰がわたしをここに埋めたのかということだ」を目にしてぶっとんでしまった。これは「頭の中の湿った土」ではないか?
    同じ物語なのか、そうではないのか?朔太郎、神父、腐っていく天使、そして頭の中の湿った土……。もはや頁を繰る手ももどかしいのである。ああ、何と病的で、何と美しくて、何と切ない物語なのでしょう?こんな物語があってよいのでしょうか?読んでいる最中にいったい何度胸苦しい思いにみまわれたかわかりません。はじめ、あまやかな腐臭をはなっていた天使がだんだんとほんとうの腐乱した何かに変化していく。それは、あたかも天上に属すると自らを欺いてきた愛情がじつは世俗のものにすぎないと見せつけられるようなものではありませんか?心はどこに向かいますか?そして肉体はどこに向かいますか?詩の中にあるのは、そして残るのは何ですか?

  • 萩原朔太郎の詩といえば、病的で文語体
    それを踏襲しての物語
    うーん、病的だ

  • 2020年1月再読
    作者も後書きで「傑作を書いてしまった」といっておられるけれど、私もそう思います。
    朔太郎の詩の雰囲気をよく取り入れて物語が構築されている。

    しかし『月に吠えらんねえ』を読んでから読むとエレナに関する部分の解釈違いがすごい。
    女性と詩人との関係に、夢見させてくれてる。

  • 死体が語り出す幕開け。ちょっとびっくりします。さてその死体は誰なのか…三者三様の語り手。
    萩原朔太郎が「ビョーキ」に描かれていてなんか笑える。

  • 延々と、しつらこーく続けていくのが夢枕獏の持ち味だし、おもしろくないことはないのですが、ネタ的に、短編のネタだなぁと思います。

    まあ、もとの短編を読んでいるからそう思うのかも。別に、短編を長編に焼き直すのは、わるいことではないと思っていますが……。

    じゃあ、なんで、この死体は、こんな力(?)を持っていたのだろう?
    他の死体とは、いったいどこがちがったんだろう?

    という疑問は、残ってしまいます。

    でも、イメージは、すごい。
    それから、詩で、そういうもやもやしているものを召還していくすがたも、けっこうすごかったです。

  • 萩原朔太郎に興味をもつきっかけになった作品。お耽美。

  •  朔太郎の狂気が美しく詰まった物語というか何と言うか、表現しがたい本だった。
     読み始めはどんな話かわからず、ただ淡々と読み進めたものの物語が進んで行くににつれ、さらに意味不明にw意味不明なんだけど、先が気になって手が止まらなくなる。夢枕獏の独特な書き方は、狂っていく朔太郎の描写にすごく合っていた。
    不思議な世界観にビョーキになりそうだった。

  • 2011/12/26読了

  • なんだか、ぐおおってしてて物凄かった
    腐りゆく天使の描写とかすばらしい

  • 萩原朔太郎の詩を引用しまくって上手く幻想的な世界観を作られたなという印象。
    腐りかける直前の桃の香りがする。

  • 詩人・萩原朔太郎の恋愛と、ある神父、そして土に埋められた男の
    視点で話が進みます。
    とにかく湿った雰囲気で、様々な謎の中進むストーリーが面白くて
    一気読み確実。
    特に土に埋められた男の章は、紙面で様子を表現していて、
    圧倒されました。

  • 朔太郎のがんじがらめな狂気に持ってかれます せんちめんたるの詩人さくたろはくるってをります
     この時代の人たちっていうのは誠実ですよね でもこの本のどこがいいかって本筋は埋められた屍体と神父さまの方で
    しかも時間の流れに太刀打ちできない身体の成長とそれに反比例するあどけなさや無垢さを愛すってところで

  • 妄想の世界と言うかなんというか

  • 艶めかしさとグロテスクな感じが混ざり合って何とも言えません。
    とても好き。

  • なんというか、美が醜へ変じていく混沌としたプロセスとか、その辺がもうホント夢枕獏だなぁ…と。
    個人的に「上弦の月を食べる獅子」の向こうを張る傑作だと思う。

  • ダークで、幻想的な世界観。好きです。真面目に考え過ぎる人には不向きかも。

  • 初めて読んだ夢枕作品。
    ずぶずぶはまってゆきそう。

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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