陰陽師 瀧夜叉姫 上 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2008年9月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784167528171

みんなの感想まとめ

物語は、陰陽師の清明と博雅のやり取りを中心に、平将門の最期に焦点を当てています。上巻では、将門が抱える哀しみと憎しみが描かれ、彼の言葉が心に深く響きます。「哀しみと憎しみは、人を変える」というテーマが...

感想・レビュー・書評

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  • 清明と博雅のやり取りが好きな陰陽師シリーズ。

    滝夜叉姫は上下巻からなる大作で
    上巻は、あまりにも有名な平将門の最期が
    おぞましい。。。
    そんな将門の言葉で、心に残ったのが

    『桔梗よ、哀しみと憎しみは、人を変えるのじゃ…』
    『変わりとうて変わるのではない。
    変わらずにおれぬから変わるのさ。
    もはや、もどることはできぬ』

    『鬼』というものは
    さまざまな環境が
    己の心に住まわせてしまうものなのか。。。

    将門のこの思いが
    下巻へ続くのか。。。

  •  都の怪異に関わるのは、平将門?彼は、呪怨の言葉を口にして消え去った、謎の人物。下巻の展開が気になる。

  • 陰陽師初読で長編
    夜順番間違えたかもしれないが、読みやすかった。

  • 陰陽師シリーズ長編の第二弾、今度は上下巻なのでシリーズ最長。一応発行順で読んでます。短編鉄輪の焼き直しだった前回長編(生成り姫)と違い、今回はいつもより派手でグロめ、登場人物も豪華(歴史上の人物が沢山出て来る)で読み応え抜群でした。以下あらすじ。

    都で不穏な事件が続いている。盗らずの盗人、連続妊婦殺し、そして平貞盛の奇妙な瘡病。まず「盗らずの盗人」は、小野好古の屋敷を襲い、「雲居寺から預かったもの」を寄こせというが、好古が何も知らないとみてとると何も盗まずに去っていった。首領はどうやら若い娘で、牛ではなく巨大な蜘蛛が牛車を引いていた。

    後日、今度は同じ盗賊が、俵藤太(藤原秀郷)の屋敷を襲うが、豪傑・俵藤太は、即座に察して愛刀の黄金丸を傍らに離さずにいたため、敵を迎え撃ち撤退させる。このときの盗賊たちの目当ては黄金丸。この剣は、20年前、俵藤太が若かりし頃、琵琶湖を荒らす巨大蜈蚣退治をした礼に、琵琶湖の大蛇から貰ったもので、この剣で斬られた傷は20年間癒えないという。

    平貞盛の瘡については、賀茂保憲が晴明のもとを訪れ、調査を依頼してくる。平貞盛は20年近く前の古傷から瘡が出来ては治ることを繰り返しており、祥山という医師の治療を受けていたが、今回は何をしても治らないという。晴明の前に蘆屋道満も治療半ばで放棄していた。貞盛の瘡は顔の半分以上を覆い人相もわからぬほどグロテスクなもの。晴明・博雅と二度目の対面の際、別人が乗り移ったかのような言動を見せる。

    晴明はこれらの被害者のメンツからある予想をたて、博雅に源経基と藤原師輔の様子を調べるよう依頼。源経基のほうは、実はしばらく前から謎の女が夢に現れ体に釘を打ち込んでゆき、目覚めるとその箇所が痛むということが続いており、今や満身創痍で寝込んでいるという。晴明は早速おもむき、彼にかけられていた呪(血錆のついた釘か隠されていた)を解く。藤原師輔のほうは、女の家に通う途次で、五つの頭がある蛇に襲われていた。

    小野好古を襲った盗賊が言った「雲居寺」にいるのは浄蔵という高名な僧。浄蔵、小野好古、俵藤太、平貞盛、源経基、藤原師輔、この6人の共通点は、いずれも20年前の承平天慶の乱で、平将門・藤原純友の討伐に参加したこと。

    20年前、平将門の乱は当初は親族間の諍いに過ぎなかった。そこに興世王という謎の人物が現れ、以来ふつうの人間だったはずの将門が、別人のように巨大化、肌は黒くなり、瞳に光彩が二つあるなど異様な変化を遂げ、さらに六人の影武者まで引き連れるように。朝廷側は苦戦するが、討伐におもむいた平貞盛と将門が一騎打ちとなり貞盛は顔に負傷。俵藤太は浄蔵から託された矢で将門を射たあと、黄金丸で首を落としたが、それでも将門は死なず首が喋り続けたため、五体をバラバラにしてそれぞれ違う場所に埋めたのだった。

    そののち、奇妙な百鬼夜行に遭遇した人々がいる。まずは若き日の晴明。そして蘆屋道満。鬼たちはおのおの、バラバラになった人間の手足を持っており、道満はそのなかの誰かが落とした片腕を拾う。そして、上巻では名前があかされないある男性が女性と逢引していたところへその鬼たちはやってくる。彼らを呼び集めた男と、男が連れている少女が、鬼たちの持ち寄った手足を検分して選り分け、やがて1体の人間分が集まる。だがどこかで落としてきた片腕(道満が拾ったやつ)と、首はない。悲鳴をあげた女は鬼たちに喰い殺されるが男のほうは浄蔵のお札を身に着けていたため無事だった。

    これらの話を総合すると、20年前バラバラに埋められた将門の死体を集めた人間がいる。なんらかの魔力で不死となっていた将門だが、俵藤太の黄金丸で斬られたため、20年間は傷が塞がらない=復活できない。20年目の今年、いよいよ将門を蘇らせようと企んでいる者たちがおり、将門を討伐した者たちに復讐をしようとしている。20年前バラバラ死体をより分けていた少女は、今や大人になり盗らずの盗人の首領となっており、さらに彼女を操っている男が、貞盛を治療していた医師・祥山であったことが判明。祥山が連れていた如月という娘が件の少女であり盗人たちの姫だった。

    平将門を甦らせようとしている祥山、そして姫の正体とは…?晴明たちは彼らを阻止できるのか…?というところで下巻に続く。

    いつもの短編だと晴明と博雅ふたりだけで行動することが多いけれど、今回はなんというか、団体戦みたいになってるのが楽しい。賀茂保憲はいつも黒猫の式神(名前は沙門)を連れていて、虎に変身させて乗ってることもあれば、懐に猫を入れてることもありなんか可愛い。今回は頼もしい味方。道満は完全に味方ではなく面白いほうに肩入れして邪魔するみたいなとこはいつも通り。そして陰陽師ではないけれど浄蔵(彼もれっきとした歴史上の人物で、父の三善清行は『菅原伝授手習鑑』で道真の雷に打たれて死ぬ三善清貫のモデル。道真調伏に関する伝説もある)もタダモノではないので強くてカッコイイ。

    俵藤太(藤原秀郷)は蜈蚣退治のエピソードが有名なので、歴史上の人物とはいえ、金太郎(坂田金時)と同じく、おとぎ話のヒーローめいている。武勇にすぐれ真っすぐな性格、将門とも気の合う友人だったことから、討伐にむかう際も逡巡したり人間味もある好人物。あと小野好古は、小野篁の孫なんですね。

    平将門の乱(承平天慶の乱)についてはあまりよく知らなかったので勉強になりました。そして一応史料に名があるけれど謎だらけの興世王という人物がめちゃめちゃ怪しくてびっくり。実在したのかなあ、これは小説の題材として取り上げたくなりますよね。

    そしてタイトル滝夜叉姫な時点で、平将門がらみなのは想像つくし、女性の主要キャラは一人しか登場しないので、彼女が滝夜叉(※将門の娘)なのは自明ですが、この感じだとラスボスではなく諸悪の根源は興世王のほうぽい。

  • 腹の底では、ぬしも、この都なぞどうなってもよいと思うているのであろうがよ(p.198)/ビッグネーム、瀧夜叉姫がタイトルになっている巻。どういう展開になるか/将門の乱から二十年弱/主要登場人物は晴明、博雅、道満、賀茂保憲、平貞盛、俵藤太、祥仙、桔梗、滝子姫/そして、将門の乱。

  • 前回の長編の生成り姫より相関図が分かり易い。
    言わずと知れた平将門や滝夜叉姫が題材。
    確か映画もあったような…うろ覚え。
    一行が短いので厚さのわりに読みやすかったです。
    蘆屋道満が晴明の式神見抜くシーンのやり取りがかっこいいなと思いました。なんか、こう…直接口には出さないでお互いニコニコしながらやり取りしてるところが怖い笑

  • 本作は「陰陽師」というシリーズの中の1作である。「陰陽師」とは、実在した安倍晴明(921-1005)という陰陽師をモデルとしているという主人公が活躍するシリーズで、長く書き継がれていて多くの小説作品が在り、それらを原案とする映像作品も多く制作されている。
    “呪”(しゅ)というような事は、現代の目線では酷く判り悪いが、平安時代に在っては誰かが書き綴った日記等にも言及が在って、数々の説話文学にも材料を供している、「確りした“歴史”」という側面も在る、大きな存在感を示しているモノだ。この「陰陽師」というシリーズは、そういう辺りに題材を求めたファンタジーで、なかなかに愉しい。怪異な事件が在って、優れた陰陽師である安倍晴明が、色々な話しを聞き付けて伝えると同時にそして行動を共にすることも多い源博雅と共に解決に向けて奮闘し、周辺に色々な人達の物語が在るというような展開が基本だ。長短様々な作品が在るのだが、本作は「少し長いモノ」ということで構想され、足掛け3年、正味丸2年の雑誌連載を経て纏まった作品であるという。
    上巻では、序章で何やら怪異な出来事が起こっているが、ここに未だ少年という極若い年齢だった安倍晴明が居合わせたという様子が描かれる。そして長じてシリーズのよく在る雰囲気で話しが始まる。表立った公な感じの場では、より高い地位なので丁寧に話す源博雅が、個人的な友人として安倍清明の所を訪ねて、酒を呑みながら談笑する訳だが、博雅は清明に酷く気になる出来事の話しが拡がっていると伝える。或いはシリーズの物語の最初の方の「パターン」なのだが、こういうのが何となく好い…
    博雅が清明に伝えるのは、孕んだ女が惨殺され、腹を裂いて胎児が引出されたという惨い事件の散発が話題になっているという事と、実際に金品を奪うのでもない、不思議な強盗が現れているという件だった。その不思議な強盗に関しては、少し名前が知れた年配の人達の屋敷に現れているということであったが、清明はその被害に遭った人達の名を観て気になることが在った。

  • 最近、ドラマになった。
    滝夜叉姫。

  • 陰陽師シリーズの長編。都で次々と怪異が起き、それらがとある人物の復活に繋がる。

    ポイントポイントの良いとこで道満(晴明のライバル)が出てくるのがちょっと笑ってしまう。

    ストーリー内のエピソードも凄まじく、読み応えがありました。

  • 恐ろしい。不穏な空気が都を覆い始めて。ばらばらに思われた奇妙な現象がひとりの男将門へ繋がっていく。幼い頃から知っている昔話の俵藤太のむかで退治が出てきたので、藤太目線での将門像が印象に残る。藤太と将門の戦の後の会話、どうみても怪しすぎる興世王の存在、祥仙って一体何者なのか?道満はどう出るのか。謎が深まる上巻。このまま下巻に直行。

  • 膨張し過ぎて既に清盛は人ではなくなってしまった!晴明と博雅の会話が好き。

  • あら長編

  • さくさく読めて読みやすかった!
    次は下巻

  • 今回は平将門の話がベースになっている。
    相変わらずの博雅、晴明なのだけど、話が進むにつれ、将門が切なくて悲しくなってくる。
    道満は晴明のことが好きだよねといつも思う。

    読み終わって、将門の話を読みたくなり、永井路子さんの怨霊列伝を読み返した。

    下巻が楽しみ。

  • 日本語の美しさを噛み締められる、私にとって大切な一冊。
    何度も何度も読み返してしまいます。
    リズミカルで柔らかな文章、鮮やかな風景。
    神秘的な晴明に、彼の心を揺らす紳士的な博雅。
    これを好きにならないはずがない。
    このシリーズがきっかけで、バディものに目覚めたと言っても過言ではないのです。
    本当に二人の関係性がいい。
    掛け合う言葉、向ける心のひとつひとつが美しくて透き通っている。
    出会えてよかったと思える物語です。

  • 久しぶりに陰陽師シリーズを読みました。
    映画化原作とのことで、シリーズを初めて読んでもついていけますし、夢枕獏先生が初めての人にもオススメです

  • 京都では将門ゆかりの人物に次々と事件が起こるようになっていた。将門が謀反したのが20年前

    p344 女に釘を打たれる夢をなん度も見て苦しむ平経基。晴明は女の生き霊(隠態)だという。
    p360、平将門登場!!

    まさか陰陽師に出てくると思わず、びっくり

    将門は俵藤太が、久々に会いにいくと顔が変わって、性格も荒々しくなって(興世王の影響?)、戦いでは分身6つを使ってくる。

    児干?

  • 今度見る歌舞伎の原作なので予習のために読んだ。
    最初は新鮮な世界(日本の昔のホラーテイスト)で楽しかったけど下巻を読むのは少し辛いかも。すごく続きが気になる!ほどではなかった
    シリーズものだから順番に読めば違ってくるかも

  • 眼に痛いほどの柔らかな緑って不思議な表現だな。

    昔読んでいた小説が原因で
    平氏といえば平将門という印象を持っているけれど
    興世王は知らなかったな。打てば変換されるほど有名とは。

    薄紅天女の藤太は、ここに出てくる藤太から字をとったり
    しているのんだろうか?大分キャラクターは異なっているが。

    桜が桜であるごとくに、博雅は博雅のごとくにありたい
    確かにそういう物言いをする人をあまり知らないかもしれない。

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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