陰陽師 瀧夜叉姫 下 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 991
レビュー : 87
  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167528188

感想・レビュー・書評

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  • 博雅が、あいかわらず良い漢だ。
    人によっては「やりすぎ」だと言いたくなるくらいだろうが、私はこれくらい徹底してもらっても全く気にならない。
    純友へ滔々と語りかけるところなど、博雅でなくてはできないことだろうと思う。
    博雅は純友を「おかわいそう」だと言って泣いた。
    あれは、あのように産まれついた純友の自然(じねん)を嘆いたのか、それとも、あのように産まれついたと思ってしまっている純友を嘆いたのか、どちらだろう。
    私は、人の思いを育てる環境というものを侮れないと思っているので、後者かと思っている。
    今回の物語で、晴明がはっきりと「博雅がいるから都も悪くないと思っている」と口にした。
    思考の良く似た晴明と道満が、はっきりと道を違えているのは、おそらくこの博雅という人物に出会えたか出会えなかったかの差異であろうと思う。
    出会いの妙というものを、強く感じた巻だった。
    将門と樺太の、あるいは将門と純友との、出会いというものの妙もまた然りである。
    将門と樺太はよく似ていた。
    だのに、刀を構えて対峙することになってしまった。
    よく似ていた、だが、決定的に道を違えた。
    純友という人物との出会いの差異によるものである。
    だが、将門の自然は、純友のせいで捻じ曲げられていただけで、本来は気持ちの良い好漢だったのだろう。
    「おもしろかったなあ、樺太――」
    最期に清清しく笑ってそう言った、将門の自然はおそらくこれなのだ。
    もっと違う、もっとさっぱりとしたあり方が、将門にはあったかもしれない。
    それを思うと哀しくなる。
    最後の最期を笑って逝った、それだけが救いだ。
    物語としては、純友の登場がいささか唐突に感じられ、面食らったのが少々残念である。
    興世王が黒幕であることは早々に示唆されており、興世王=純友であろうという図式も後半になって示唆されてはくるのだが、その展開がめまぐるしくて、「ああ、そうなのか」と納得に浸る前にエンディングが来てしまった感覚だ。
    あの辺り、もっとじわじわと描いてくれたら、更に面白かったろうなと思う。

  • あとがきにも書いてあったけど、映画化を想定して書かれたお話というのには「やっぱり!」と納得。
    賀茂保憲、蘆屋道満、浄蔵・・・陰陽師シリーズオールスター出演で、過去最大級のスケール。

    上巻の伏線バシバシが、どんどん解けていく快感。
    晴明が幼少期に遭遇し、その才能を師に認めさせたことで有名な逸話・百鬼夜行がこんな風に繋がっていたとは!
    あと、東の将門・西の○○、そういえば同時期に起こった出来事だったことに改めて気づかされ、
    当然物語としても面白かったのだけど、歴史のお勉強にもなった(笑)

    黒幕、やっぱりこの人か。

  • 唐突ですが、ジャンル問わず(漫画除く)100冊読むことを今年の目標にします。
    現時点で4冊。

  • 晴明と博雅は俵藤太とともに、平将門の死の謎を追ううち、将門の遺灰を盗み出した者がいたことを突き止める。事件の裏に見え隠れする将門との浅からぬ因縁。誰が、将門を復活させようとしているのか?そして、その背後に蠢く邪悪な男の正体とは?ラストまで息をつかせぬ展開と壮大なスケールで読ませる人気シリーズ長篇。

  • 上巻からのテンポで進むけど、後半から少しテンポアップ。
    少々裏技のような進め方もあり。
    今までの作品に比べて、すこしグロイ表現もあり。
    そのせいか、雅な平安というよりも、血なまぐさい戦というイメージ。
    そのなかで生きてきた弱い立場の人間たちの悲しみや辛さが描かれている。
    今までとはちょっと違う陰陽師だった。

  • 甦った平将門をあやつる興世王の正体は、こちらも有名な、あのお方だったんですねぇ。。。ということで、久しく忘れていた日本史を思い出しました。


    (2008/10/25)

  • ここがこうなってこうつながるのか、となんか感心させられてしまいました。
    禅問答のような、本能のような、なんとも言えない言葉の数々に踊らされてる気がしてならない……。
    なんか不思議な小説でした。

  • 「この桜が桜であるが如くに、俺も俺でありたいものだなあ」

    相変わらず博雅は良い漢だ。

    陰陽師の良い点でもあり悪い点でもあるのは
    ミステリー仕立て(論理性を要する)でありながら、伝奇ものであるために
    時として事件の真相に拍子抜けしてしまうところ。
    さああの不思議をどう説明するんだ、という部分で超常現象を使われてしまうと
    勝手に期待しておいてなんだけれど消化不良を起こしてしまう。
    だけれどその掴めなさ、霧のような雰囲気が陰陽師という作品なのですよね。
    それは可でも不可でもない。優と良という訳でもない←

  • 「陰陽師」シリーズは、一話完結の短編の方が良いのかなと思いました。でも、長編も面白いですけどね。ちなみに今回、博雅はあまり活躍しませんが、代わって俵藤太が印象的でした。彼と愛刀黄金丸だけで、別の妖怪退治の物語ができそうです。

  • 最新作の下巻。

    内容の割りに長かったような気がする。
    けどおもしろかったからいいや。
    分冊になると急に高くなるんだよなー、本って。

    京極作品みたく根性で一冊にすればいいのに。

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著者プロフィール

1951年、小田原生まれ。「上弦の月を喰べる獅子」で第10回日本SF大賞を受賞、「神々の山嶺」で第11回柴田練三郎賞を受賞。平成11年4月朝日新聞に「陰陽師(おんみょうじ)」を連載、陰陽道ブームの火付け役となる。著書に「魔獣狩り」シリーズ、「闇狩り師」シリーズなど。

「2019年 『キマイラ20 曼陀羅変』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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