月への梯子 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2008年12月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167531072

みんなの感想まとめ

物語は、軽度の知的障害を持つ主人公が、母親の遺したアパートでの平穏な生活を送っていたところから始まります。しかし、ある日アパート内で殺人事件が発生し、彼の人生は一変します。この作品は、単なるミステリー...

感想・レビュー・書評

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  • 『月への梯子』

    ミステリー ⭐️⭐️⭐️
    刹那さ   ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

    1.購読動機
    通っている理髪店の店主の方と、いつからか小説談義になっている仲です。
    伊坂幸太郎さん、宮部みゆきさん、東野圭吾さんなどお互いに読む作家さんが近しいです。
    その店主の方からのオススメでした。

    2.ミステリーと現代世界。
    物語の概要は、ほかの方のブクログをご覧ください。
    ミステリー、これを犯人探しと定義した場合、伏線は少なく難解ではありません。

    それ以上にこの小説が描く世界が問題を提起しているのでは?と考えます。

    介護施設のなかの働き手と通う家族。
    廃れゆく街中の商店街。
    区画整理のもと新築される中高層住宅。

    日頃見慣れた風景、心情の描写。
    それが刹那すぎる物語でした。




  • 軽度の知的障害者である「ボクさん」こと福田幸男。死んだ母親が遺してくれたアパートの管理人として、またちょっと風変わりな住居人たちと平和に暮らしていたが、ある日アパートで殺人事件が起こって、ボクさんと周囲の人たちの人生が一変する。
    従来の作品群とは一線を画す異色作。ファンタジー感を匂わすラストといい、早々と犯人が現れて、さあどんでん返しの真相はと思いきや、実は作品の主題はそこじゃないというある意味の裏切り感。樋口作品を数多く読んでいる者ほどこの衝撃は堪えます。

  • 『アルジャーノン~』に似たストーリーだが切なくはならない。まるで夢を見ているような‥

  • 解決したようで何も解決してないなんて、スッキリしない結末だこと。それと、寺向の話がわかりづらい。

  • すごくお腹がすく。お惣菜たべたくなる。

  • 知能は小学生程度だが、死んだ母親が遺してくれた小さなアパート「幸福荘」の管理人として、平和に暮らしていたボクさんこと福田幸男、40歳。
    ところがある日、アパートで殺人事件が起きたことをきっかけに、ボクさんとその周辺に変化が起こりはじめる。

    知らないほうが幸せであり、知ってしまった時にどう思いどう行動するのか。
    樋口有介らしくない設定、切ない話だった。

  • 「幸福荘」の管理人のボクさん。知能は小学生程度だが愛すべき存在。ある日梯子から落っこちて頭を打って何故か頭がクリアに。アパートで起きた殺人事件をきっかけに住民の本当の姿が見えてくる。クリアになった頭で住民の真の姿を知り事件の真相にも迫っていくのかとおもいきや、なんとも不思議な物語。

  • 知的障害を持つ40歳の男性、ボクさん(僕、僕と言うから)は、母親が遺してくれた全6室の小さなアパートの管理人をしています。小学生程度の知能であっても、管理人としてのボクさんの仕事は完璧。入居者やご近所さんにも恵まれて、平穏な日々を送っていました。ところが、ある日、アパートの1室で殺人事件が起こります。第一発見者はボクさん。梯子にのぼって外壁の修理をしていたとき、窓から見えた部屋の中に死体を発見してしまったのでした。驚いた拍子に梯子から落ちたボクさんは、頭を打って病院へと運ばれ、しばらく意識不明に。目が覚めたときのボクさんは、それまでのボクさんとは変わっていました。頭の使われていなかった部分がフル活動しているかのように、いつか聞いて覚えていたのであろうことが次から次へと溢れ出てきます。こうしてボクさんは、殺人事件のこと、そして事故直後になぜか姿を消してしまったアパートの入居者全員のことを調べはじめます。

    ……という、一風変わったミステリーです。

    樋口有介の小説の主人公は、たいてい「ワイズクラック」な話し方。人によっては小バカにされていると感じそうな話し方なのですが、頭の回転の速さを思わせる会話が軽妙なテンポで進み、私のツボに。ハードボイルド小説で多用される、いわゆる挑発表現を指すらしく、確かにそうかもしれません。で、本作に関しては、最初は「おっ、いつもの主人公とちがう」と思って読んでいましたが、ボクさんが頭を打ったあとはしっかりワイズクラック。なんや、またかいなと思いはしたものの、おもしろい。

    ボクさんのお母さんの教えは、きっと多くの人の心に響くもの。「人には誰にでも親切にすること。親切にした結果、自分が損をする事があったとしても、不親切にして被害を受けるよりはマシ」。「人の悪口を言わないこと。それがたとえ独り言であっても、他人への悪意は必ず自分に返ってくるから」。「何か悪いことをした人だって、僕がその人に悪いことをしなければ、その人も僕にはいい人になる。僕がいい人になれば、まわりの人もみんないい人になるよ」。ボクさんはそう言います。ボクさんのまわりに悪い人は一人もいない。「お母さんが僕のことを心配して、悪い人は近づかないようにしてくれた」と。

    ワイズクラックになってからのボクさんにも共感。「試練なんて好きじゃないけど、せっかくの試練を無駄にしたら、試練に対して失礼になる」。共感するといっても、そんな強い気持ちで試練には立ち向かえないものですけれども。

    予期せぬファンタジックなラストが悲しすぎる。しかしこれでまた樋口有介の本を何冊か買いたくなってしまったのでした。

  • 一応はミステリにカテゴライズしたが、
    この作品は色んな意味で特殊だ(^ ^;

    まず主人公が軽度の知的障害者だというのが珍しい。
    さらに、殺人事件は起きるが、その謎解きやら
    犯人探しやらは途中であっけなく終わる。
    つまり、それがメインテーマではない。

    ...という訳で、ミステリと言っていいのかどうか...(^ ^;

    ストーリーについてちょっとでも紹介すると、
    即ネタバレとなる恐れがある作品で...(^ ^;

    とても詳しくは書けませんが(^ ^;
    何とも言えない不思議な魅力を持った作品です。
    つまらない日常会話こそが幸せとイコールである、
    という主張には、強くうなずける。
    特に主人公やその周辺人物のつらい過去を知ると、
    「何にも無いようなことが幸せだ」というのが
    しみじみと実感できる。

    最後の最後は、え、そう来るか、という感じ。
    幸せになって良かったね...と言っていいのかどうか...(^ ^;

    とにかく読んでみてください(^ ^;
    損はさせません。

  • 少し頭の弱いアパート管理人「ボクさん」40歳が,頭を打った拍子に目覚めて,アパートの事件を調査する話。
    終わってみればかなりのトンデモ話だが,ボクさん他の人情と会話のセンス諸々の雰囲気がよくて楽しめた。

  • 発達障害のある、アパートの管理人さんが主人公。

    そのアパートで事件発生と同時に、奇跡的に管理人さんが
    健常者以上の推理力・行動力を発揮開始!。

    見事に事件解決するまでは、男としてカッコよくなった
    その変貌ぶりに、若干のうらやましさも交えて面白い展開
    と思ったが、最後は消化不良な終わり方に感じた。

    ひねりすぎのラストだったものの、全体的には面白かった。

  • 小学生並の知能であるボクさんは、アパートの管理人さん。良い人たちに囲まれて幸福に過ごしていたけど、ある殺人事件が起きてからボクさんはすっかり頭が良くなっちゃった。知らなかったから幸せなこともあったし、知らなければ解決しなかったこともある。ボクさんの変化が面白くてどんどん先に先に進みたくなる。ミステリとしての結末はあっけなくて、オチはがっかりとは言わないけど物足りないというか、さみしい。ミステリとしてじゃなければ悪くないかと。しかしいかんせんオチで評価を落としてる気がする。

  • 知能がやや停滞している主人公が、梯子から落ちて頭を打ったことをきっかけとして、どんどん頭が良くなり、なんだか別人のように。亡き母の言いつけを守りながら、アパートの管理人として慎ましく暮らしていた主人公ですが、事故の後からは、周囲の人々の素顔がどんどん見え始めて……というお話。

    お膳立てはまるで『アルジャーノンに花束を』。作者はアルジャーノンを未読だそうですが、こういった類のお話は必ずアルジャーノンと比較されてしまうのがカナシイところですね。
    うーん、最後のオチは、アルジャーノンの勝ち。(←それネズミ)

  • 12月-1。3.5点。
    アパート経営する、知恵遅れの主人公。住人が殺害され、頭を打つ。
    頭が良くなり、事件捜査。癖のあるアパートの住人たち。
    まあまあ面白かった。ラストが意外。
    えって感じ。

  • ほのぼの悲しい不思議なミステリ

    知能障害を持つ主人公、事故をきっかけにそれが回復する。
    前半の和やかな団らんシーンも、事件に迫る推理場面もどちらも違った面白さを味わえました。

    障害から復活したことで様々な幸不幸を体験する訳ですがそれはいいとも悪いとも言えませんよね。様々な出来事にどう対応するか、内面が個人では大切ですね。

  • 小学生並みの知能しかない、主人公のボクさん。
    周りの人たちの優しさに包まれながら、日々を平和に送っていました。
    …その平和な日々が、ある事件がきっかけで壊れて行きます。
    ラストは「ええー」って感じでした。

  • 感動を狙ったものだろうが、どうも感情移入できなかった。作風を逆手に取った有効な仕掛けだとは思うのだが。密室もお粗末に過ぎる。

  • 知的障害のある主人公が管理するアパートで起きる事件を巡り、温かみのある雰囲気で展開されていくミステリー……というのが、読了直前までの感想だった。
    人々の描き方が良く、又、主人公が自然に興味を持っているために自然や色彩に関しての描写も多いので、辛い現実も描きつつ、終始平和な日常への愛を感じる物語。
    脳味噌がぎゅっと絞られるような神経に迫る急展開はほぼあらず、事件の謎は勿論追うのだが、そういった雰囲気が、ミステリーには珍しい展開だという印象。

    とにかく最後まで読んで欲しい。
    実は、読んでいる最中は、面白い小説だが推理物だし、お金のない今は売りに出そう、くらいに思っていた。
    ところが読み終えてからは、まだ手元に置いておきたくなってしまった。
    この物語の重要なエッセンスなので語れないのがもどかしいが、最後の最後に心にぎゅっと迫るものがある。

  • 知能は小学生程度だが、死んだ母親が遺してくれた小さなアパート「幸福荘」の管理人として、平和に暮らしていたボクさんこと福田幸男、四十歳。ところがある日、アパートで殺人事件が起きたことをきっかけに、ボクさんとその周辺に、驚くべき変化が起こりはじめる...。哀切に満ちた長篇ミステリー。

  • P144
    「梯子から落ちて頭を打って、
    四日間意識不明だった。
    意識が戻ったとき、こんなふうにかわっていた」

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著者プロフィール

1950年、群馬県生まれ。業界紙記者などを経て、88年『ぼくと、ぼくらの夏』で第6回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。『風少女』で第103回直木賞候補。著書に『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の思惑』、「船宿たき川捕り物暦」シリーズの『変わり朝顔』『初めての梅』(以上、祥伝社文庫刊)など。2021年10月、逝去。

「2023年 『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の策略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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